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2020.05.29

メーカーズボイス

ロジャー・フェデラー 「PRO STAFFと成し遂げてきたGS20冠の史上最強伝説」


グランドスラム20冠

フェデラーの歴史は

Pro Staffの歴史でもある

「Pro Staff mid」といえば、オトナにとっては懐かしであり、憧れであったラケットである。そのラケットが誕生したのは1984年のこと。以来、Pro Staffはチャンピオンたちの相棒であり続けた。その最後の継承者となったのが、ロジャー・フェデラーである。史上最多となるグランドスラム20冠、すべてはフェデラーとウイルソンで歩んできた結晶と言える。その歴史を改めて、振り返って行こう。



14歳の少年が手にした

“チャンピオンのための武器”
 「Pro Staff mid(Pro Staff 6.0 85)」がすべての始まりだ。
 ロジャー・フェデラーが、名器と言われるラケットを手にしたのは14歳の時だったという。フェイス面積85平方インチ、ケブラーを使用したフレーム厚は17mmフラット、今では信じられないスペックだが、これぞ歴代王者が愛したラケットである。
 1984年、ジミー・コナーズとの共同開発で誕生した「Pro Staff Mid」は、ステファン・エドバーグ(フェデラーの前コーチでもある)、ピート・サンプラス、ジム・クーリエという歴代№1が愛用したラケットである。
 1998年、ウィンブルドンJr.を制してジュニア№1となったフェデラーは、プロ転向を果たす。しかし、フェデラーとていきなり大活躍をしたわけではない。徐々に頭角を現していくと、2001年シーズン、19歳で迎えたミラノ国際で初優勝を遂げる(フェデラー曰く「あの大会で優勝できるとは思っていなかった。ホッとしたし、最高の気分だった」)。その直後に、トップ20入りを果たすと、同年のウィンブルドンでは、4連覇中だったピート・サンプラス[7-6(7),5-7,6-4,6-7(2),7-5]を倒す伝説の試合を繰り広げている。



5平方インチ
大きなフェイスサイズに

これが歴史的成功を
もたらすことになる

 翌2002年は、「Hyper Pro Staff 6.1 90」でプレー。当時は、ラケットが一気に進化をしていった時代だ。それに対応するために、5平方インチ大きなフェイスで対応しようとしたわけだ。思えば、この選択が歴史的成功をもたらすことになる。
 この年、フェデラーはハンブルク大会でマスターズ初制覇。年間3勝をあげて、初のトップ10入りを果たしている(年間最終ランキングは6位)。そして2003年、「Pro Staff Tour 90」と共に、ついにグランドスラム制覇の時を迎える。その舞台はウィンブルドンだった。M.フィッシュ、F.ロペス、A.ロディックを下して決勝に進むと、M.フィリポウシスと対戦。第1セットからタイブレークになるなど、簡単な展開ではなかったが、ストレート勝ち。勝利の瞬間、芝にヒザをついて歓喜する。「私のキャリアの中でも、最も重要な試合の一つだった」とその優勝を振り返るフェデラー。間違いなく、フェデラー時代の始まりを象徴とするシーンと言えるだろう。



2004~2006年シーズン
GS12大会中8大会を制す
 前年、ツアー最終戦を制し、キャリアハイとなる2位となっていたフェデラーは、全豪を初制覇。同時に世界ランク1位に。その後、歴史を作る2004年シーズンからの相棒は「n Six. One Tour 90」だった。同ラケットは、新素材“nCode”を採用したもの。マイルドな打球感が特徴のラケットだった。レッド×ホワイトのツートンカラーは、多くの人の脳裏に焼き付いているだろう。
 この年は、さらにウィンブルドン2連覇、USオープン初制覇を含めて、年間11勝をしている。同ラケットを使用した2004~2006年は、グランドスラム8冠。GS12大会中8回も制覇してるのだから、驚愕の強さである。


 続いては、2007~2009シーズンで使用した「[K]Six. One Tour 90」である。「まだ試合中に、自分のイメージと違うショットがある」としてコントロール性アップを求めたというフェデラー。それに対して、ナノテクロジー「[K]arophite Black」を開発して採用。曰く「このラケットが私の支配力を高めてくれた」というラケットを用いて、2007年は全豪、ウィンブルドン、USオープンを、2008年はUSオープンを、2009年は全仏、ウィンブルドンと3年間で6つのGSトロフィーを掲げることに成功した。この中で特筆すべきは2009年全仏を制してキャリアグランドスラムを達成したこと、そして同年USオープンを制したことで、サンプラスが持っていたGS優勝記録14勝を塗り替えて通算№1となったことである(現在までにGS20勝と自身の記録を伸ばしている)。




たゆまず進化を続ける「Pro Staff」
しかし2013年に
大きな転機が訪れる

 2010~2011年シーズンに使用したのは「Six. One Tour BLX 90」。BLXは、玄武岩から生み出されたバサルト・ファイバーを使用したテクノロジー。衝撃吸収性、遮音性、軽量性、剛性に優れた同素材によって、フィーリングに優れたモデルとなった。また、同モデルから“Pro Staff”の名前が復活している。この2年間GS優勝は、2010年全豪のみ。2011年は、2003年以来のGS無冠となるが、前年に続きツアー最終戦を制するなど見せ場を作っている。
 そして2012年シーズンから、フェデラーは「Pro Staff Six. ONE 90」を使用していく。同モデルは、フェデラーからパワーとフィーリングという求めに応じて作られたもの。スペック上は、全モデル同様だが、「アンプリフィール・テクノロジー」を用いることで、さらなるフィーリングアップを図っている。フェデラーは2012年、3年ぶり7度目(史上最多タイ)となるウィンブルドン優勝を成し遂げている。そして2013年、フェデラーとPRO STAFFにとって転機が訪れる。「Pro Staff Six. ONE 90」でシーズンを開始したフェデラーだったが、背中の痛みに苦しみ、シーズン途中から黒塗りのラケットを使用している。それもあって2014年シーズン用に作られた「Pro Staff 90」は、歴代シリーズで唯一、フェデラーが使用しないモデルとなった。




『Pro Staff』シリーズに
<革命の時>が訪れる
 さて、ここでPro Staffに革命が起こるタイミングである。
黒塗りラケット期間、フェデラーは、さまざまなモデルをテストしていた。それはまだまだ第一線で戦うためのラケット探訪である。90平方インチ、93平方インチ、95平方インチ、98平方インチ、100平方インチ、グロメットホールをダブルホールにする、パワーホールにする、パラレルドリルにするなど、あらゆる可能性を探り、127本もの試作ラケットを打ったという。結果、好ましいと判断したのが、ダブルホールなどの機能を使わない95~98平方インチのフェイス面。そこから最終的に生まれたのが、自身のイニシャルを冠した「Pro Staff RF97 Autograph」(レッドとブラックを基調にしたコスメのもの)である。



 フェイスサイズは90平方インチ→97平方インチに拡大、フレームはラウンドとボックス双方の特徴を採用した50/50ジオメトリー、フレーム厚は17mm→21.5mm、バランスポイントは305mm→310mmに。そしてPWS(周辺荷重機構)は薄く小さい形状に。これまでのPro Staffらしい打球感、打ち味を残しながらも、パワーアップを図ることにしたのだ。これがフェデラーのテニスを新たな境地に導いた。同モデルを使用した2014年、ツアー6勝に加えて、ウィンブルドン、USオープン、ツアー最終戦で準優勝するなど復活ののろしを上げたのだ。そして2016年、とびきりこだわったモデルが発売となる。
 キーワードは「アンコンタミネイテッド・デザイン(=汚染されていないデザイン)」「タキシード・スタイル」。フェデラーは、その原案段階からラケット作りに参加し、これまでにないオールブラックのモデルを作り上げた。さらにこだわったのは、その質感。ラケットを持った際の触感にこだわり、最新の塗装テクノロジー「VELVET PAINT」を採用。そしてフレームのトップには、「CO-DESIGNED WITH ROGER FEDERER(フェデラーとの共同開発)」の文字が刻まれている。
 プレーヤーのみならず、すべてのブランドに強烈なインパクトを与えた同モデルを持ち、2017年は全豪、ウィンブルドンと5年ぶりのグランドスラムタイトルを手にした。2018年の全豪も連覇した。そして同年、同じモデル名にてホワイトをあしらったものをリリースするが、フェデラーが使用したのは半年足らず。USオープンより、オールブラックの「アンコンタミネイテッド・デザイン」モデルに戻している。




2020年、フェデラー、ウイルソンから
新たなモデルは発表されるのか?
 改めて書くが、それが2018年のことである。通常、2年おきにニューモデルはリリースされるサイクルを考えると、2020年の今年、新モデルが発表となることになる。
 次はどんな驚きを与えるモデルなのか? フェデラーが要望し、ウイルソンの職人魂が呼応することで進化を遂げてきたPro Staffシリーズ。そして、「アンコンタミネイテッド・デザイン」モデルより両者の結びつきはより強いものになった。次なるモデルが明らかになる時が、刻一刻と近づいている。

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フェデラー写真=ウイルソン、田沼武男  Federer Photos by Wilson & Takeo Tanuma

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