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2020.12.27

選手情報

【田中愛美プロコラム⑥】車いすテニスのダブルスってどんな感じ?

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進化していくダブルス
男子での最新の変化とは!?

こんにちは、車いすテニスプレーヤーの田中愛美です。
今回は車いすテニスのダブルスについてご紹介していこうと思います。

最近はテレビでもパラ競技を取り上げることが多くなり、車いすテニスを見かけることも多くなっていると思います。しかし、その多くはシングルスの映像で、ダブルスの映像が流れることはほとんどありません。

連載 : 車いすテニスコラム<そのおもしろさ、難しさ、奥深さを紹介>

以前テニスと車いすテニスの違いをご紹介させていただきましたが、それ以外にダブルスにはどのような違いがあるのでしょうか?

一番大きな違いは、車いすテニスのダブルスは「ツーバックが基本」という部分です。
車いすではどうしても座った状態でプレーするため、真横や上の守備が難しくなっています。もしボレーに一人の選手が出てしまった場合の、後衛の守備範囲が通常よりも多くなってしまうのです。
また、車いすテニスの特徴である2バウンドの返球ができるため、二人ともベースラインでポジションをとっている方が、コートカバーリングが簡単なのです。

しかしながら昨今の車いすテニス界ではダブルスの進化も著しくあります。
特に男子ダブルスでは、今までもベースライン上のラリーの中でチャンスがあれば前に出るということはあったものの、最近ではサーバー側のペア(サーブを打たない選手)が1球目からボレーに出ることが増えてきたのです。
また、トップ選手たちはシングルスコートを普段守っているので、守備範囲がコート半分になったことで、より速いペースのラリーでポイントを作ることも出来ます。
シングルスの競技性アップにより、今までよりも立体的で、スピード感のあるダブルスが可能となったのです。

基本的に男子の進化の後を追う女子ですが、現在ダブルスに関しては“少し遅れが大きい”ように感じます。どちらかというと女子ダブルスは長いラリー戦になることが多いのですが、もしかしたら東京パラリンピックが開催されるころには、女子も男子のような試合をし始めているかもしれませんね。
この大会がない期間にもしかしたら劇的な進化がどこかで生まれているかもしれないので、乞うご期待です!

ちなみにクアードクラスは一風変わっていて、ラリー戦に持ち込むパターンの方がむしろ今までマイノリティーだったように見受けられます。
クアードクラスの紹介をした時にパワーよりもテクニック、と書きましたが、ダブルスでもいかに先に前を使うか、という短期決戦での戦いがおそらくずっと主流だったのではないかと思います。リオ・パラリンピックでクアードクラスに出場していた諸石選手・川野選手ペアは10ポイントのファイナルセットに持ち込めば負けない、と言われるような毎度痺れる戦いで魅せてくれるペアでした。

次の記事で男子クラスのダブルスのプレーを詳しくご紹介したいと思いますので、お楽しみに!

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Izumi Nakagawa/NBP