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2022.09.26

選手情報

1日120〜150本サーブ練習するという好調サムソノワが、失セット0で初優勝! 決勝で中国の19歳ジェンを下す[東レPPO]

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「東レ パン パシフィック オープン2022」で優勝したリュドミラ・サムソノワ(右)と準優勝のジェン・チンウェン(左)

8月以降、好調を維持しているサムソノワが
全5試合ストレート勝ちで優勝

9月25日、「東レ パン パシフィック オープン」(東京・有明/WTA500)シングルス決勝が行われ、リュドミラ・サムソノワ(世界ランキング30位)がジェン・チンウェン(中国/同36位)を7-5、7-5のストレートで下し、大会初出場にして初優勝を決めた。

【動画】東レPPO決勝戦マッチハイライトをチェック

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サムソノワは、夏の北米ハードコートシーズンに入ってから好調を維持している選手。先のUSオープンでは4回戦でアイラ・トムヤノビッチ(オーストラリア/同35位)に敗れたものの、USオープン直前に行われたWTA250の2大会(「テニス・イン・ザランド」[アメリカ・クリーブランド])と「シティ・オープン」[アメリカ・ワシントンDC])で優勝を果たしている。

今大会も、1回戦でウィンブルドン覇者のエレナ・リバキナ(同22位)を撃破すると、2回戦ではワン・シンユ(中国/同78位)に対して13本のエースを決めて勝利。準々決勝では第3シードのガルビネ・ムグルザ(スペイン/同12位)を、準決勝ではジャン・シューアイ(中国/同28位)を下し、決勝に進んだ。


一方の中国の新鋭19歳のジェンも、今年に入って勢いに乗っている選手。昨年の今の時期は世界ランキング150位台だったが、今年の1月末にトップ100に入ると、今年の全仏オープン4回戦で優勝したイガ・シフィオンテク(ポーランド/同1位)に1セットを奪う活躍。その後WTA125バレンシア大会(スペイン)で優勝するなど、順調にランキングを上げてきている。

今大会は1回戦で土居美咲(ミキハウス/同107位)を下すと、続く2回戦では第1シードのパウラ・バドサ(スペイン/同4位)にストレート勝ち。その勢いのまま準々決勝ではクレア・リュー(アメリカ/同84位)に、準決勝では第4シードのベロニカ・クデルメトワ(同13位)に勝利し、決勝へ勝ち上がってきた。


この2人の過去の対戦は一度だけあり(昨年のWTA250パレルモ大会1回戦)、その時はジェンがストレートで勝利。この時のサーフェスはクレーコートで、ハードコートでは今回が初対戦となった。

そんな今季好調の2人の決勝戦は、第1セット序盤から激しいラリーの応酬に。第2ゲームで、ジェンに15-40とブレークポイントが2回あったが、サムソノワが武器のサーブでポイントを重ねピンチを凌ぐと、その後はお互いにブレークポイントを許さず。セット終盤までサービスキープが続く緊迫した展開となる。


ゲームが動いたのは5-5で迎えた第11ゲーム。サムソノワが集中力を上げ、ストロークをベースラインの深いところに打ち込みプレッシャーをかけると、ジェンに初めてのダブルフォールトが出るなどして、サムソノワがブレークに成功。6-5とする。これが決定的となり、第12ゲームをサムソノワがサーブで攻めて確実にキープし、第1セットを7-5で先取する。

第2セットもスタートから、両者ともにサービスゲームをキープしていくが、第5ゲームでミスが増えたジェンに対し、強いショットをベースラインの深いところに決め続けたサムソノワが先にブレークする。しかし直後の第6ゲームで、ジェンがサムソノワのセカンドサーブを積極的に強打してポイントにつなげ、ブレークバックに成功。その後はお互いに2ゲームずつキープし、5-5となって迎えた第11ゲーム、集中力がやや切れたジェンは大事な場面でストロークのミスを犯してしまう。サムソノワはそこを逃さず攻撃し、再びブレークに成功。6-5とすると、次のサービスゲームをしっかりとものにし、このセットも7-5で奪取。サムソノワがセットカウント2-0で勝利し、今大会1セットも落とさずに優勝を決めた。

試合後、「今日は非常に厳しい試合になると想像していたし、実際に彼女(ジェン)は素晴らしいプレーをしていた。そうした中でも、自分で本当に信じられないほどの試合ができたのではないかなと思う。自分の出来に感心している。とにかくうれしい気持ちでいっぱい」と笑顔を見せたサムソノワ。ここ数ヵ月の好調の理由については、「ウィンブルドンに出場できなかった*期間にしっかり練習に取り組めた」ことを挙げ、「この時の練習でさまざまなことを変えてみた。その一つがメンタル。もう一つ言えるのは技術面で、サーブのフォームを変えた。可能な時は1日120〜150本ほどサーブを打って練習している。コーチにも言われているし、自分としてもそれは大事なことだと考えているので。今、セカンドサーブのポイント獲得率では、私はツアーの中でトップにいると思うので、その点は自分でもうまくできていると思うし、満足している」と、特にサーブの強化が結果につながっているようだ。

現在はリターンのフォームについて探っていると明かし、「少しずつ成長しようと今も努力を続けている。毎週、そして毎月、何か新しく取り組めることを見つけて、それに焦点を当てて練習している」と常に自分のテニスの向上に励んでいるという。

一方、惜しくも敗れたジェンは「今日の試合は相手の選手がとてもよかった。サーブは素晴らしく、ベースラインからのストロークもよかった。しかもとても速いボールだったので、私はそれをうまく返せなかった。また、ブレークポイントで相手のセカンドサーブという場面でミスしてしまった。チャンスをたくさん得ながらも、それをうまくいかせなかったところもあったし、そういった場面で相手のほうがうまくプレーしていたところもあった。その点は反省して、これを糧に今後さらに多くのことを学びたい」と敗戦の弁。しかし、大会1週間を通してみると「自分としてはいいパフォーマンスができたと思う」と笑顔を見せ、「今回(ツアーレベルで)初めての決勝進出という貴重な経験ができたので、今日できなかったことは今後に向けて修正し、次の機会では、もっといいテニスをしていきたい」と今後のさらなる飛躍を誓った。

*=ウィンブルドンはロシア人、ベラルーシ人選手のエントリーを拒否。そのため、ロシア人のサムソノワは欠場となっている。それを受けてATP、WTAがポイント付与しないと決定している

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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma

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