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2020.07.14

大会情報

テニス界を活性化させるための大会「UTS」とは? ムラトグルーが踏み出した最初の一歩

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画期的システムで開催された
UTSを「今後も続けていきたい」
6月13日から1ヵ月をかけて、フランスにあるムラトグルー・テニス・アカデミーで行われた「UTS(アルティメット・テニス・ショーダウン)」は、世界ランキング8位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)が、同6位のステファノス・チチパス(ギリシャ)を下し、初代王者となった。

同大会を主催したパトリック・ムラトグルー氏は、「観客を集めた時を想像したら待ちきれない! 今大会では緊張感も見ることができたし、選手は勝ちたいという感情とともに、テニスを楽しむことができていた」とコメント。この大会を今後も続けていきたいという意思を持っているようだ、とアメリカ『ユーロスポーツ』が報じている。

成功裏に終わった要因の一つが、UTSならではの『試合形式』だろう。

ポイントを「1点」と数え、1試合は4セット。各セットは10分間でどちらがより多くのポイントを奪えるかで勝敗を決するという、従来のような3セットマッチやポイント制度などの試合形式とは全く異なる形式だった。これにより、試合時間が大幅に短縮され、4セットの場合は平均58分というものになった。
さらに、「UTSカード」(プレーヤーが試合を有利に進めるために使用するツール。「次のポイントが3ポイントになる」や「サーブを4連続で打てる」などのメリットがある)の存在や、コーチング、ショットクロックなど、試合をよりエキサイティングなものにするためのルールが設けられていた(ルールについては下記参照)。

一般的なツアーとは異なる
ファン層が観戦していた

ムラトグルー氏は、「見てくれたファン層を分析すると、私たちのファンの平均年齢は30歳で、50%が常にテニスを見ているわけではない人たちだった」と、一般的なツアーとは全く異なるファン層を味方につけることができたと分析した。

そんなUTSの目標について、「ファンが夢中になるフォーマットを提供することだよ。現在のテニスのフォーマットは選手に対してファンは遠くから見ているようだ」と、今のツアー大会の問題点を挙げ、UTSのメリットをコメント。続けて、「UTSは、カメラが近くにあり、音が選手の頑張りを伝えてくれる。さらに、解説者や選手の会話が聞けることで、選手の心に近づくことができるんだ。コートチェンジの際には、選手とコーチが話し合っている様子も聞けるしね」と語り、ファンが試合に没頭することができ、臨場感のある試合を楽しむことができると主張している。

2018年のUSオープン女子シングルス決勝では、セリーナ・ウイリアムズ(アメリカ)に対し、ファミリーボックスからコーチングをしたとして物議を醸したムラトグルー。その後、「どうしてテニスはコーチングしてはいけないのか」などと語り、テニスを“一つのショー”として多くの人々を楽しませる方法を探っていたという。

ツアー大会とは一線を画すルールで行われた今大会が、テニス界を盛り上げるための最初の一歩となるに違いない。

<ルール>
1試合4セットに分かれ、各セット10分ずつ。選手は交互に2本ずつサーブを打ち、各セットでより多くのポイントを取った選手がゲーム取得し、4セットのうち3セット取った選手の勝利。2-2の場合、サドンデスが行われ、それまでに獲得ポイントの多い選手がサーブかコートサイドを選ぶことができる。先に2連続でポイントを獲得した選手が勝利となる

<コーチング>
各プレーヤーは試合中に30秒のタイムアウトを4回、1セットに1回取ることができる。タイムアウト中、選手はヘッドセットを着用しコーチと会話。やり取りはすべて英語で行わなければならない。

<ショットクロック>
ポイント間のショットクロックは15秒。それを超えた場合、1度目は警告、2度目は1ポイントのペナルティを受ける。さらに、ショットクロックを5秒超えるごとにポイントペナルティが課される。

<UTSカード>
試合前、各選手に4枚のUTSカードをランダムに提示。各セット前にコーチは4枚のうち2枚を選択し、次のセットで使用することができる。
・次のポイントが3ポイントになる
・サーブを4連続で打てる
・相手のサーブを2本から1本に減らせる
・相手は3本以内にポイントを決めなければならない

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