ドミニク・ティエム(オーストリア/第2シード)
2-6 4-6 6-4 6-3 7-6(6)
アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
US(全米)オープンも最終日を迎え、フェデラーやナダル、ジョコビッチの“BIG3”がいない男子決勝は錦織が準優勝した2014年以来のこと。初のグランドスラム制覇を目指す2人の過去の対戦は、ティエムの7勝2敗。直近の3試合はティエムが勝っている。
注目の試合は、ズベレフが先にブレーク。ティエムは緊張からこれまでの試合にはない硬さが目立ち、ファーストサーブの確率が低く苦しい展開が続く。結局2つのブレークを許し、わずか30分あまりでセットを落とす。
一方のズベレフはリラックスして臨んでいるように見える。
第2セット第1ゲーム、決勝までの6試合を通じて13本のダブルフォールトが、この試合だけですでに4本と多いティエム。緊張はまだ取れていないブレークポイントを握るもキープしてスタートしたが、次のサービスをキープできず、1−2。ここまでズベレフのパフォーマンスが良いというより、ティエムの攻撃がかみ合わないプレーが続く。
一方、ダブルスフォールトや逆襲される甘いドロップショットでもサービスキープができているズベレフのサービスゲームの内容にアメリカの解説者も驚き。それだけ今日のティエムのパフォーマンスはナーバスになっている証拠だろう。2つ目のブレークを許したティエムは、ズベレフのサービスゲームを一つ返すも5本目のセットポイントを許し、このセットも落とす。
アレクサンダー・ズベレフ (c)Simon Bruty/USTA
動きが止まったズベレフの隙を
見逃さなかったティエムの逆襲
これまでのグランドスラム決勝にはない消化不良気味の展開で、この試合は3セット目へ。
ティエムがファーストゲーム、またもや自身のサーブを落としたが、ズベレフもダブルフォールトを絡めてブレークされてしまう。まだお互いの本来のゲームではないが、5-4でティエムがブレークに成功し、このセットを6-4とする。
疲れからか足が止まり出したズベレフに対し、ティエムは強打で試合を動かす。第4セット、スッキリしない展開が続くもサービスキープの4−3ズベレフのサービスゲームをティエムが長いデュースの末にブレークに成功。そのままこのセットを取り、勝負はファイナルセットへ。
運命の第5セット。ティエムがブレークすると、ズベレフもブレークし返すという、まさに死闘に。この試合に勝って、次のレベルに行きたい2人。互いの持ち味を出しながらも、いつもと異なるプレーを見せる両者はユニークだ。ともに初めてのグランドスラムタイトルの重圧と戦っている。
ズベレフはセカンドサービスで、ファーストサーブのような時速200kmを超える一方で、時速113kmの遅い極端なショットで相手に揺さぶりをかける。
4-3でブレークしたズベレフだったが、まさかのブレークバックされてしまう。これには解説者も「Oh boy…」とコメント。ズベレフが試合を締められずイーブンに戻ってしまう。
ティエムは次のズベレフのサービスゲームもブレークし、初めてこの試合のリードを奪ったが、再びブレークされ、勝敗の行方はファイナルタイブレークへ。
ティエムは痙攣したのか足を引きずり、本来の動きができなくなった。足に不安のあるティエムは、2本のマッチポイントを逃したが、7-6でティエムの3本目のマッチポイントを取り、初優勝を決めた。
ライバルと言うだけでなく友人でもある2人。まさに死闘、死力を尽くした4時間2分の試合の健闘をハグで称え合った。
(c)Pete Staples/USTA
トロフィーセレモニーでズベレフは何度も目を抑えながらティエムを祝福した。悔しさのあまり涙で言葉に詰まったが、両親や自身のチーム、大会関係者への感謝の気持ちを忘れなかった。涙は、いつものパフォーマンスではなく自分のプレーを見せられなかった悔しさからくるものだったのだろう。
ティエムは、ズベレブに続き昔のエピソードを交え、共にランキングを上げライバル関係を築いていき今に至るまでのことを引き合いに出してライバルの健闘を称えた。
グランドスラム決勝を4度目のチャレンジにしての栄冠を掴んだ新チャンピオンのティエム。タイブレーク制度を導入し、初めてとなる2セットダウンからの逆転勝利の記録に残る試合となった。
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