サロモンとのタッグで本当にいいシューズを作るテニスシューズについて、アナタは騙されているかもしれない。テニス業界には「不都合な真実が存在する」、そんな記事を書いた2000年1月号は多くの反響をいただいた。
<記事はこちら>『不都合な真実』に立ち向かう #ウイルソンシューズは楽じゃない端的に言えば、楽なシューズ=いいシューズと言えないということ。「
#ウイルソンシューズは楽じゃない」の意味は、そういう理由だ。
ウイルソンが改めてシューズ界に参入したのは2013年の事。もちろん、ビジネス面のこともゼロではないが、参入を決めた背景には<本当に履くべきシューズが少ない>という現状があったからだ。テニスというスポーツについては誰よりも知識がある。だからこそ、プレーヤーに好ましいシューズを作りたい。そして同じアメアスポーツのグループ会社であるサロモンとタッグを組んだ。そのサロモンといえば、ウインタースポーツや山用、トレッキングなど、アウトドアのイメージが強い。テニスと関係ないように思えるが、一瞬の隙が事故やケガにつながるのがアウトドアである。いかにシューズを足にフィットさせるか、いかに足本来の機能を発揮させるかという部分においては、No.1と言ってもいいノウハウを持っている。だからサロモンとタッグを組んだわけだ。
そうして、7年間、数多くのシューズを作って来たが、そこには一貫したポリシーがある。まず一つがワイズで、ウイルソンはE・2Eまでのシューズしか作っていない。それは、日本人の足の約8割が2E以下だという調査結果を知っているから。幅広甲高なシューズはもちろん作れるが、ダッシュや急ストップを繰り返すとシューズの中で足が暴れてしまい、ねんざなどのケガを引き起こしてしまう。だから、しっかりフィットする2E以下の設計としているのだ。
次に走り出しやすさの要因となるヒールドロップ(かかと部と前足部の高さの差)は、6mmか9mmに設定している(前足部は9mm、かかと部は15mmか18mm)。シューズ界には、これが高いモデル(=ダッシュしやすい)があるので注意したい。極端な話、それはハイヒールを履いてプレーしているようなもの。ねんざしやすくなってしまうわけだ。中の設計という意味では、かかと部を狭くしていることも注目だ。シューズ自体の衝撃吸収性も決して低くはないのだが、人間のかかとは本来衝撃吸収の役目を担っている。足+シューズで衝撃吸収をして、ケガを防ぐことが目的なのだ。
もう一つ知っていただきたいのがウイルソン・フットウエアの代名詞「フォア・フット・サポート」である。ダッシュ、ストップ、踏み込み、体重移動、回転、バランス保持、あらゆる場面で使うのが前足部。だから、前足部のサポート性能を高めているのだ。ちなみに、今でこそ他メーカーにも定着した前足部のサポート性能だが、ウイルソンがシューズを作り出した当時、前足部に着目しているメーカーは皆無だった。ある意味、“不都合な真実”を正そうとしたウイルソンの主張が認められた形だ。
NEWカラーにNEWコレクションウイルソンのシューズがアツい!『不都合な真実』に立ち向かうウイルソンのシューズ。今回、そのカラーバリエーション、そしてスペシャルモデルが発売となる。
まずは「RUSH PRO 3.0」の追加カラー。メンズ用のネイビー×ホワイト、ウィメンズ用にライトブルーが加わった(いずれも発売中)。中足部に立体的な「4Dサポートシャンク」を搭載し、“#打球が変わるシューズ”というのが今作の売り。すべてをバージョンアップさせた同モデルの履き心地は申し分ないものだ。
そして今回、特に注目したいのが「CITY PACK COLLECTION」である。
これはウイルソンとゆかりある都市をモチーフに作られたスペシャルカラーのモデルだ。今回、ウイルソンが全仏オープンの公式ボールサプライヤー、公式ストリングパートナーとなるPARISシリーズが6月27日(土)、まず登場する。
「RUSH PRO 3.0 PARIS AC】は、レッドクレーからイメージした色調が特徴。ヒール部分には「PARIS」の文字も刻まれている。同じくPARISで「KAOS 3.0 SFT PARIS」も発売となる。こちらはKAOS 3.0をアップデートしたもの。サロモンの特許テクノロジー、クイックレーシング・システムを採用し、アッパーにはSENSIFIT、足首周りにはSYMBOFITを用いて、これまでにないフィット性を実現している。一部店舗で行われた試履企画では、こちらのモデルが大好評だったという。
クイックレーシング・システムと共に、一度は履いてみたいモデルである。とはいえ、限定モデルなので、気になる人は早めに本物をチェックしておきたい。
「CITY PACK COLLECTION」にはもう一つ。なんと「CITY PACK TOKYO」も発売となるのだ。注目はアッパーの外側部分、こちらにはスクランブル交差点とウイルソンロゴがあしらわれているのだ。また内側には、某有名漫画からインスピレーションを得たシルエットも刺繍されている。正にスペシャルらしいモデルである。