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2021.09.18

ジュニア選手

ジュニアの進路を広げるための一つの方法。選手に合った道を切り開く“エージェント”の存在

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錦織圭のテニス留学先だったアメリカのニック・ボロテリー・テニスアカデミー(IMGアカデミー)。アカデミー内に住んでテニスプログラムを受けるのが特徴

テニスが大好きで将来プロを目指しているジュニアにとっては、プロになる以外の将来は考えられないかもしれない。夢をかなえられれば最高だが、他の選択肢についてもしっかりと検討しておくことが、将来プラスに働く場合もあるだろう。今回は、さまざまな選択肢について考えるために役立つであろう、筆者が暮らす香港におけるテニスに対する親の考え方や、NCAA(全米大学体育協会)で活躍するためにアメリカの大学に入学する場合に使えるエージェントなどについて紹介する。

【動画】「ミッション・エリート・パフォーマンス」に所属する選手は一日をどんな風に過ごしているのか!?

テニスは進学のツール!?
香港ではテニスがトップ中学校へのチケットになる

ジュニアを育てる親にとって、子どもの進路は非常に気になるところだろう。筆者が暮らす香港では、多くのジュニアの親はテニスをいい中学校や高校、大学に行くためのツールだと考えている。そのため、テニスの練習よりも学校の試験を優先する選手が多い。香港の公立中学校におけるトップ校は、スポーツでの推薦入試を行っている場合が多く、そのためテニスのジュニアランキングが高い選手は入学しやすくなり、入学後は試合などで遠征に行く際に出席日数などが優遇されるケースがある。テニスの成績がいい選手においては、仮にトーナメントで海外に行くことが多くなった場合でも、帰国後に先生を一人つけてしっかりとフォローアップする。

このように香港において子どもにテニスをさせることは、レベルの高い学校に行くためのツールとなり、またレベルの高い学校に入ることが、テニスをよりよい環境で続けていくことにつながっていくのだ。ちなみに、香港のトップ校からアメリカのハーバード大学に進学したテニスプレーヤーがおり、ジュニアたちの道標として憧れられている。

「ラファ・ナダル・アカデミー」や
「ムラトグルー・テニス・アカデミー」も

大学進学に力を入れている

有名なテニスアカデミーである「ラファ・ナダル・アカデミー」や「ムラトグルー・テニス・アカデミー」は、大学への進学に力を入れていることで知られている。テニスを上達させるための施設が充実しているのはもちろんのこと、どちらのアカデミーも施設内にインターナショナルスクールを擁している。セリーナ・ウイリアムズ(アメリカ/世界ランク41位)やステファノス・チチパス(ギリシャ/同3位)らトッププレーヤーのコーチであるムラトグルー氏は「most of the kids are not going to be champions(ほとんどの子どもはチャンピオンになれない)」とインタビューで語っている。子どもたちの夢を信じる一方で、このようなシビアな視点は親として多少なりとも意識しておきたいところだ。

このように、大手のテニスアカデミーには進学のためのコンサルタントが常駐しており、生徒が希望する進路を実現するために尽力すると同時に、生徒とともによりよい進路について話し合っていく。大手のテニスアカデミーへの留学は、ジュニアにとってとてもいい機会となるが、同時に生徒数も多く初めから目をかけてもらえないと埋もれてしまうリスクもある。現在、最も期待の若手の一人であるカルロス・アルカラス(スペイン/同38位)が所属する「JC Ferrero-Equelite Sport Academy」や、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/同1位)による「ノバク・テニス・センター」などもテニスに関する施設は充実しているが、生徒が通える学校は用意されていない。ただ問い合わせたところ、ノバク・テニス・センターは、来年からアカデミーとしてより多くのジュニアを育成できるようなシステム発足させることを計画しているそうだ。

アメリカのNCAAへの進学を
サポートするエージェントの存在


ラファ・ナダル・アカデミーのような大手のアカデミーに留学しなくても、テニスプレーヤーの進路についてサポートしてくれるエージェントが存在する。カナダの「ミッション・エリート・パフォーマンス」はそんなエージェントの一つだ。ミッション・エリート・パフォーマンスは、プロテニスプレーヤーのサポートを行うと同時に、ジュニアのスポンサー契約のサポートから大学進学などをサポートしている。所属しているプロプレーヤーは、デニス・シャポバロフ(カナダ/同12位)の彼女としても知られる、女子世界ランク252位の23歳、Mirjam Bjorklund(スウェーデン)や男子236位の26歳、Brayden Schnur(カナダ)らだ。

また、オンラインによるさまざまなトレーニングも提供している。クラスは英語であるため最低限の英語力は必要となるが、英語が苦手な場合でもやりとりはチャットや、メールで行うこともできるため、翻訳しながら行う可能だ。

ミッション・エリート・パフォーマンスは、さまざまなアカデミーとも提携して選手の進路をサポートしている。またNCAAでプレーするための大学入試についても熟知しており、アメリカの大学を目指したいジュニアにとっては、強力なサポーターになってくれる存在と言えるだろう。

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写真=加藤誠夫