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2026.03.04

選手情報

中東緊迫、内山靖崇に独占インタビュー「爆発音と黒煙」のUAE・フジャイラ脱出へ

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内山靖崇 突如鳴り響いたアラート、立ち昇る黒煙で緊張走る


アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラで開催されていたテニス・チャレンジャー大会が、急激な中東情勢の悪化により急遽中止となった。現地で事態に直面し、日本人選手・スタッフ計16名の一人、内山靖崇(積水化学工業)が現地の生々しい状況と、命がけの帰国ルート開拓について電話取材に応じた。

【動画】内山靖崇「無事にホテルに戻りました…」黒煙上がる緊迫した様子

内山が現地入りしたのは2月26日。当初は「UAEが戦火に巻き込まれるとは思っていなかった」と振り返る。しかし、3月3日の昼過ぎ、状況は一変した。

「会場のレストランで試合に備えて昼食を摂っていた時、突然、全員の携帯電話から一斉にアラートが鳴り響いた。現地の言葉だったので最初は内容がわからなかったが、凄まじい音量に全員が『どうしたんだ?』と騒然となった」

直後、会場から約20km先にある石油貯蔵施設で爆発が発生。立ち上る巨大な黒煙を間近にした選手たちの間に、一気に緊張が走ったという。

「数分後には大会スタッフから『今日は試合をやらないからホテルに戻れ』と指示が出た。昨日までは平穏だったが、あのアラートと黒煙を見てから、みんなの顔色が変わった」

「空港が狙われているのか?」募る不安

内山らが滞在するホテルの目の前には、フジャイラ空港がある。
「ニュースによっては、空港を狙ったドローン攻撃を迎撃した際、その破片が石油施設に飛んだという情報もある。そうなると『空港の目の前にいる自分たちは大丈夫なのか』という不安がよぎる。さらにアメリカ国務省が中東にいる自国民に早期退避を促したというニュースが入り、事態の深刻さを痛感した」

実際、内山は大会が中止を発表する前から昨夜の東京便を予約していた。しかし、その便もあえなくキャンセルとなり、退避の難しさに直面している。

ATP提示の「90万円超チャーター便」への不信感

大会側からは、オマーン・マスカットからイタリア・ミラノへ向かうチャーター便が用意された。しかし、その費用は1人5000ユーロ(約90万円)※。日本人選手の反応は冷ややかだった。

「コストの問題も一つだが、そもそも車で3時間半かかるマスカットまでの陸路が安全なのか。他国の選手が国境を越えられなかったという情報もSNSで回ってきていた。目的地がミラノというのも、パラリンピックが開催中で移動も容易ではないし、日本へ帰るには遠回りすぎる」

選手たちは、高額なチャーター便を待つよりも、ドバイから台北やシドニーなど、動いている民間機を自力で探す道を選んだ。

※その後、ATPから全額を負担する方針に変わったことが選手に伝えられた。しかし、日本人選手らはオマーン・マスカットへ移動しなければならないことや、ドバイの空港から台北行きの飛行機などに乗った方が早く帰国できることから選ばなかったという。

日本人選手団16名の帰国ルート

現在、現地には選手、コーチ、トレーナーを含め16名の日本人が滞在している。JTA(日本テニス協会)への情報提供は行っているものの、現時点で具体的なサポートや外務省との連携による救助策は降りてきておらず、選手らは「自分たちの力で脱出するしかない」と、リスクを承知でライドシェアアプリ等を活用した移動を検討している。

16名の分断と、深夜の台北便への賭け

現在、16名の日本人一行は二手に分かれて脱出を試みている。7名が現地ホテルを出発し、オマーン・マスカットから帰国。内山を含む残る9名は、深夜にドバイを発つ台北経由の便に望みを託している。

内山は「昨日、東京便がキャンセルになった時は絶望したが、台北便が飛ぶかもしれないという希望もあり、不安と希望の繰り返し。ただ、一人ではないことが救い」と現在の心境を語る。

「もし今日の台北便に乗れれば、チャーター便より12時間早く脱出できる。移動手段についても、ウーバーのようなアプリで呼んだ車が安全なのか、強盗などのリスクはないか、慎重に話し合っている」

精神的な疲弊は隠せないが、内山は最後にこう語った。
「命には代えられないが、コーチやトレーナーの分まで含めた高額な移動費をどう工面するかという現実的なハードルもある。爆撃の対象になっていれば迷わず逃げるが、現状はその瀬戸際での難しい判断が続いている」

一行はホテル直結のスーパーで水やカップラーメン、モバイルバッテリーなどの非常食・備品を買い込み、不測の事態に備えた。内山含め多くの日本人は、帰国後に四日市チャレンジャーへの出場を予定しており、まずは無事に日本の土を踏むことを最優先に掲げている。

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