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2026.10.02

選手情報

「銀行のお金がゼロになったような喪失感」錦織圭、現役ラストマッチ後に吐露した本音とプロ生活19年間の誇り

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錦織圭、涙の真相語る「ここまで苦労して頑張ってきたものを手放すのか」


今季限りで現役を引退する錦織圭(ユニクロ/世界ランク436位)が10月1日、「木下グループジャパンオープン」(東京・有明コロシアム/ATP500)で現役最後の試合を終えた。試合後の記者会見では、19年間にわたるプロキャリアを終えた直後の心境を語った。

【動画】錦織圭、ツアー通算12度のタイトルを獲得した英光の瞬間

最後の試合は、先日行われたグランドスラム「全米オープン」でベスト4の好成績を収めた世界ランク8位のフランシス・ティアフォー(アメリカ)に敗戦。錦織は「そんなに良くなかったので、やっぱり悔しさは残ります」と振り返った。

「サーブの入りとリターン、ストローク戦もリズムが合わない場面が多くて、自分がミスヒットしたりっていうのが、まだまだ多かったですね」

試合終了直後には、まだ大きな感情は湧かなかったという。しかし、ベンチに座ったところで、これまで積み上げてきたテニス人生が終わることへの喪失感が押し寄せてきた。

「この20年、30年やって積み上げてきた財産みたいな、銀行に大量にお金が入ってたのに急になくなった、ゼロになったような喪失感みたいなのが襲ってきた」

テニスを通じて得た知識や経験は、今後誰かに共有したり、コーチしたりすることができる。だからこそ、すべてが本当にゼロになるわけではない。それでも、「本気でプレーする」という意味でのテニス人生が終わることには、大きな感情があった。

「36歳で一回終わるんだなっていうのが、特にここまで苦労して頑張ってきたものを手放すのかっていうのがあった」

そして、もう一つ強く残ったのが、最後の試合の内容への悔しさだった。

「ちょっと今日の内容じゃ終われないなっていうのが、大きいですかね」

試合後、涙を見せたことについては、自分でも予想していなかったという。全米オープンなどそれまでの大会を終えた時の晴れやかな気持ちだった。しかし、試合当日の朝、練習のためにセンターコートに一歩足を踏み入れると、流れていた音楽を聞いた際に「ちょっと一滴ぐらい垂れそうな」感覚があった。そして試合後、涙を誘ったのが、かつて自身を指導し、「道を作ってくれた」という松岡修造氏だった。

「修造さんがむちゃくちゃ泣いてたんで。それももらい泣きしましたね」

松岡に最初に育ててもらったことを振り返り、「僕にとっては最初は修造さんから自分のキャリアが最初スタートしたようなもんなので」と語った。

最後の試合を終えても、試合内容への不完全燃焼感から「もうちょっとやってもいいかな」と本音を漏らす場面もあった。「昔だったら取れてたディフェンスのボールをオフェンスにできる動きがあった」と振り返りつつも、「どうしても身体と気持ちと忍耐力みたいなのが追いたついてこない」とし、復帰の可能性を否定した。

19年間のプロ生活を振り返れば、「怪我を減らすことはできなかったか」、「もう1試合勝てていれば……」、そんなことは探そうと思えばいくらでも思い浮かぶ。それでも自身の歩みに対する誇りは強い。

「いろんなことを跳ね除けて、一本ここまで努力できたっていうことは、自分でも誇りに思う部分はあります。正直、別に好きでもないアメリカに行って、テニス人生のために注いできたっていうのは、自分ではいい選択ができた」

5歳でテニスを始め、13歳で親元を離れてアメリカへ渡り、17歳9か月でプロ転向。以降、プロとして19年に渡って世界で戦い続けてきた。まさにテニスのために人生を注いだ錦織の選択は間違ってなかったはずだ。


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写真=田沼武男 Photo by Takeo Tanuma