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2026.01.24

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シナー 酷暑下で痙攣と向き合った3時間45分「今日は少し運が良かった」[全豪オープン]

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「運が味方してくれた」シナー、痙攣に苦しみながらもスピッツィーリを下し3回戦突破


1月24日、「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)男子シングルス3回戦で、第2シードのヤニック・シナー(イタリア/世界2位)は、エリオット・スピッツィーリ(アメリカ/同85位)を4-6,6-3,6-4,6-4で下し、4回戦進出を決めた。この試合でシナーが直面していたのは、スコア以上に、自身のフィジカルとの戦いだった。

【動画】シナー、痙攣の試練を乗り越えて3時間45分の熱戦制す!3回戦ハイライト

大会3連覇を狙うシナーにとって、この一戦は決して楽なものではなかった。異変が現れたのは第3セット序盤。気温の高い中で試合が長時間に及ぶにつれ、シナーの動きは徐々に鈍くなっていった。サーブ時に脚へ十分な力を伝えられず、フットワークも明らかに制限される状況について、本人は試合後、「今日は暑かった。第3セットで少し痙攣が出始めた」と振り返っている。

それでもシナーは動揺せず、状況を冷静に受け止めていた。近年の経験を通じて、自身の体の状態を把握できるようになり、「少し経験を積んだことで、体のことが前よりわかるようになった」と語ったように、無理に押し切るのではなく、症状を悪化させない選択を意識していた。

試合の流れに大きな影響を与えたのが、暑熱対策ルールによる一時中断だった。全豪オープンが独自に定めるヒートストレス指数が「5」に達し、主催者の判断でロッド・レーバー・アリーナの屋根が閉鎖される際、プレーは約8分間中断された。

その間、シナーはメディカルタイムアウト等の治療を受けることはできず、控室で一人ストレッチを行い、5分ほど横になって筋肉を緩めることに集中した。「体温を少し下げて、筋肉をリラックスさせようとした。それがすごく助けになった」と述べており、限られた時間を回復に充てていた。

再開後はプレー内容にも変化を加えた。ラリーのテンポやショットの強弱を調整し、ポイントの組み立てを変えたことについて、「プレーの仕方を少し変えた。それが今日は確実に助けになった」と語った。痙攣は完全に消えたわけではなかったが、時間の経過とともに症状は徐々に落ち着いていった。

さらに、第3セット終了後には大会規定により10分間の休憩が設けられた。この追加の回復時間についても、「今日は運もあった」と率直に認めており、屋根閉鎖や休憩のタイミングが重なったことが状況好転につながったと受け止めている。

痙攣は、ここ数年のシナーにとって向き合ってきた課題の一つ。オフシーズンには暑熱環境への適応を目的にドバイで調整を行ってきたが、それでも「すべてに明確な説明があるわけではない」とし、前夜の睡眠の質が完璧ではなかったことなど、些細な要因が影響する可能性にも言及した。

それでも、こうした状況に直面した際にできるのは戦い続けることだけだと考えている。「ネガティブに考えれば、より悪い方向に行く。ポジティブな気持ちでいれば、良いことが起こりやすい」と語ったように、精神面でのコントロールも勝因の一つとなった。

4回戦では、第22シードのルチアーノ・ダルデリ(イタリア/同25位)とのイタリア人対決が確定している。痙攣という不安を抱えながらも、経験と判断力で状況を乗り切ったシナー。連覇を目指す戦いの中で、この3回戦は、フィジカルの限界と向き合う姿勢を強く印象づける一戦となった。

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写真=田沼武男 Photo by Takeo Tanuma