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2026.01.28

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「重圧は感じていない」20歳ティエン、全豪8強で示した現在地と未来像[全豪オープン]

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20歳で到達した全豪8強、加速するティエンの成長曲線


1月27日に行われた「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)男子シングルス準々決勝で、第25シードのラーナー・ティエン(アメリカ/世界ランク29位)は、第2シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同3位)に3-6,7-6(5),1-6,6-7(3)で敗れた。敗退とはなったものの、20歳での大会8強入りは、彼の急成長を強く印象づける結果となった。

【動画】ティエン、世界3位ズベレフに肉薄するも惜敗で4強ならず 準々決勝ハイライト

ティエンは昨年の全豪オープンで予選から4回戦に進出したことでトップ100入りを果たし、ツアーに本格的に出場を始めた。そして、同年11月にはATP250メスでツアー初優勝を飾り、「Next Gen ATPファイナルズ」制覇、世界ランキングトップ30入りとブレーク。その中で迎えた2026年の全豪で、アメリカ男子として2002年以来となる20歳でのグランドスラム準々決勝進出を成し遂げた。

今大会を振り返り、ティエン自身も手応えを感じている。大会を通じての戦いぶりについて、「1試合ごとに少しずつ良くなっていった。1回戦の第4セットではブレークダウンしていたけれど、そこから準々決勝まで来られたのは本当にすごいことだと思う」と語り、内容と結果の両面に満足感をにじませた。

実際、序盤は万全な状態ではなかったという。シーズン開幕直後を振り返りながら、「ブリスベンの時点ではそこまで良いテニスができていたわけではないし、今大会の序盤も完璧ではなかった」と明かす。それでも試合を重ねるごとに感覚を取り戻し、「日を追うごとに少しずつ楽になって、ボールがよく見えるようになった。大会の終盤には、かなり良いテニスができていた」と成長のプロセスを実感していた。

象徴的だったのが、4回戦でのダニール・メドベデフ戦だ。元世界1位で全豪3度の準優勝経験を持つ難敵を相手に、わずか7ゲームしか落とさず快勝。この勝利で両者の通算対戦成績は3勝1敗となり、昨年のメルボルンに続いて強烈なインパクトを残した。

一方で、ズベレフ戦では経験の差を痛感する場面もあった。第2セットをタイブレークの末に奪った直後、第3セットを短時間で落としたことについて、ティエンは「第2セットを取ったことで少し満足してしまい、集中力が切れた部分があった」と冷静に分析。「こういう場面では、経験があればもっと良い対応ができたかもしれない」と語りつつも、「早い段階でこうした舞台を経験できるのは大きい。将来に必ず生きてくる」と前向きに捉えている。

急激に高まる期待についても、ティエンは意外なほど淡々としている。注目度の上昇や周囲の視線について問われると、「正直、あまり考えていない。肩に重圧を感じたことは一度もない」と言い切り、「今の立場にいられることはとても幸運だし、多くの人が経験できない特別な人生を送っている。世界を回ってテニスができること自体を楽しんでいる」と、自然体の姿勢を崩さない。

今大会での躍進は、今季の明確な目標の一つでもあった。「準々決勝進出は、年初に立てた目標だった。それをシーズン最初のグランドスラムで達成できたのはうれしい」と語り、確かな達成感を示している。

昨年8月から指導を受けるコーチのマイケル・チャン氏の存在も、大きな支えとなっている。ズベレフ戦でのやり取りについて、「彼はいつも落ち着いた存在で、自分が見えていない部分を教えてくれる。『とにかく食らいつけ』と励ましてくれるのが大きかった」と明かし、試合中の精神的な安定につながっていたことを認めた。

さらなる飛躍へ向け、課題も明確だ。自身の成長余地について、「サーブはもっと良くできるし、全体的にまだ伸ばせる部分は多い。フィジカル面も理想にはまだ遠い」と率直に語る。それでも、「こうした大会で得た経験はすべて次につながる。次に戻ってくるときは、もっと良い選手になっていたい」と視線はすでに先を見据えている。

全豪8強はティエンにとって一つの通過点に過ぎない。20歳の若き才能は、重圧を感じることなく、自身のペースで確実にトップへの階段を上り続けている。

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写真=田沼武男 Photo by Takeo Tanuma