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2026.06.30

選手情報

シナー、転倒の危機と52本のミスを乗り越えて連覇への道のりスタート。薄氷の勝利で5年連続の初戦突破[ウィンブルドン]

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Photo by Getty Images

シナー「すぐに頭を切り替えた」 王者の修正力が光る


今年3つ目のグランドスラムとなった「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン)が6月29日に開幕。男子シングルス1回戦が行われ、大会連覇を狙う第1シードのヤニック・シナー(イタリア/世界ランク1位)がセンターコートのオープニングマッチに登場し、ミオミール・ケツマノビッチ(セルビア/同50位)を4-6,6-3,6-7(6),6-2,6-3で下して5年連続で初戦突破を果たした。

【動画】前年覇者のシナー、フルセットマッチを制して初戦突破 1回戦ハイライト

シナーは、前哨戦の芝大会に出場せず今大会に臨んだ。グランドスラム連覇を狙うにあたり、例年とは異なる調整法を選択したことになる。

大会前の記者会見でシナーは、前哨戦をプレーしない利点について言及した。「前哨戦で思うような結果が出ないと、疑念を抱えたままここに来ることになる。プレーしなければ、そうした疑念を持たずにただ試合に臨むことができる」と語り、自身の選択に自信を示した。

さらに、先の全仏オープン2回戦で勝利目前から逆転で敗れた後は、身体の状態を確認するための総合的なテストを実施。結果は良好であり、ここ2週間半は暑さ対策を見据えた長時間のハードなトレーニングや、細かいディテールの修正に時間を費やしてきた。

シナーは「魔法のような方程式はない。長期間のプロセスであり、ここでの取り組みがすぐに結果に直結するわけではないが、準備は十分にできている」と述べ、メンタル面およびフィジカル面での仕上がりの良さを強調していた。その言葉通り、初戦という難しい状況にも動じず、センターコートのオープニングマッチを勝利で飾った。

しかし、大会連覇への第一歩は決して平坦なものではなかった。

1年ぶりの芝コートでの公式戦ということもあり、試合開始直後は硬さが見られた。シナー自身も試合後に「最初は少し緊張していて、ベストのプレーができなかった」と振り返った通り、序盤はミスが目立ち、第1セットを4-6で落とす。第2セットこそ6-3で取り返したものの、第3セットのタイブレークではチャンスを活かせず6-7(6)で落とし、セットカウント1-2と後がない状況に追い込まれた。シナーのアンフォーストエラーは試合を通じて52本を数え、センターコートでの大番狂わせを予感させる緊迫した展開となった。

さらにシナーを襲ったのが、芝特有の滑りやすさだ。第3セットの第5ゲーム、ベースライン付近で足を滑らせ、両膝が内側に折れ曲がるような形で不自然に転倒。満員のスタンドからは悲鳴が上がった。幸いにもメディカルタイムアウトを要求することなくプレーを続行したが、タイブレークの最終ポイントでもケツマノビッチの巧みな攻めに翻弄され、コートにダイブする形で再び転倒。怪我のリスクと隣り合わせのタフな局面が続いた。

しかし、ここから世界ランク1位の底力が光る。シナーは「第3セットを落としたのは受け入れがたい結果だったが、すぐに頭を切り替えた」と語り、メンタル面のブレを見せなかった。課題だったアンフォーストエラーを修正して主導権を握ると、第4セットを6-2、最終セットを6-3で圧倒し3時間30分の熱戦をものにした。

ケツマノビッチのフラットなショットと強力なサーブに苦しめられながらも、最後まで自身の動きを信じてプロセスを遂行したシナー。この勝利により、ケツマノビッチとの対戦成績を5勝0敗としただけでなく、グランドスラム通算94勝目をマーク。ニコラ・ピエトランジェリが持つイタリア人選手のグランドスラム最多勝記録に並んだ。

ディフェンディングチャンピオンとしての重圧と、芝の初戦という特有の難しさを乗り越えたシナーは、2回戦でヌーノ・ボルジェス(ポルトガル/同48位)と対戦する。

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