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2026.09.14

選手情報

ズベレフ、2020年の失望を乗り越え掴んだ悲願の全米初制覇「最高の気分」 今季グランドスラム2冠[全米オープン]

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ズベレフ、6年前の「あと2ポイント」の記憶を塗り替える戴冠


「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク)男子シングルス決勝が現地9月13日に行われ、第1シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界ランク2位)が第8シードのベン・シェルトン(アメリカ/同9位)を6-3, 7-6(2), 5-7, 6-2で破った。29歳のズベレフは大会初優勝を飾り、今年6月の「全仏オープン」に続くグランドスラム通算2度目のタイトルを手にした。

【動画】優勝決定後にシェルトン父に挨拶しに行くズベレフ&決勝ハイライト

ズベレフにとって、今回の優勝は6年前の記憶を塗り替えるものでもあった。

2020年の全米オープン決勝では、ドミニク・ティエム(オーストリア)を相手に2セットを先取しながら逆転負け。あと2ポイントのところでグランドスラム初制覇を逃した。

今回、同じニューヨークの決勝で再びトロフィーを争ったズベレフは、試合後の会見で「2020年にここで味わった失望を考えると、ようやくこのトロフィーを掲げることができて、本当に最高の気分だ」と振り返った。

そして、この6年間で何度も味わったグランドスラム決勝での苦い経験を乗り越え、2026年は大きく変わった。

全豪オープンでは準決勝に進出すると、全仏オープンで初のグランドスラムタイトルを獲得。さらにウィンブルドンでは決勝へ進出し、そして今回、全米オープンでも頂点に立った。

今年、グランドスラムで最初の2タイトルを獲得した男子選手は、2024年のヤニック・シナー(イタリア)以来、オープン化以降では4人目の快挙となった。また、ドイツ男子として複数のグランドスラムタイトルを獲得したのは、6度の優勝を誇るボリス・ベッカーに続いて2人目である。今季のグランドスラムでは25勝2敗という圧倒的な成績を残している。

決勝では、シェルトンの強烈なサーブとフォアハンドを真正面から打ち合うのではなく、ラリーの高さと深さを巧みに使って相手の攻撃力を抑え込んだ。

ズベレフは「大事なのはスピードではなく、高さと深さだ。速くてフラットなボールを打つと、彼はバックハンドでうまく対応してくる。フォアハンドに回り込んだ時、遅いボールを打つのは得策ではなく、より高く、深く打ったほうが良い結果につながる感じがする」と戦術を説明。単純な球速ではなく、ボールの軌道と深さによってシェルトンのバックハンドを崩していった。

第1セットを6-3で先取すると、第2セットはタイブレークへ。ここでは最初の5ポイントを連取し、そのまま7-2で制した。第3セットではシェルトンに5-7と奪い返されたものの、ズベレフは動じなかった。第4セット開始直後にブレークすると、そのまま再び主導権を握り、6-2で締めくくった。

3時間33分の決勝で、ズベレフは69%の確率で入れたファーストサーブから80ポイント中68ポイントを獲得。85%という高い数字を記録し、シェルトンにリターンゲームで主導権を握らせなかった。

また、今大会で見せた精神面の変化も大きい。ズベレフは自身について「自分はどの部分でも、他の選手のように神から与えられた才能があるとは思っていない。自分のテニスのほとんどは、ハードワークと、コートやジムなどのフィジカルトレーニングで過ごした多くの時間によるものだ」と話した。

かつてはグランドスラム決勝に立つたびに「自分はいつか優勝できるのか」という重圧を感じていた。しかし、全仏オープンを制したことで、その感覚にも変化が生まれた。

「パリで優勝する前は、いつも大きなストレスを感じていた。『自分はいつか優勝できるのか』という疑問が常にあった。今は、こういう決勝でプレーすること自体をもっと楽しめている」

今回の全米オープン制覇によって、ズベレフはツアー最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」出場を争うレースランキングで首位に浮上した。8650ポイントとし、7950ポイントのシナーを700ポイント上回っている。

自分が世界最高のプレーヤーかを問われると、「ヤニックがケガをしていて、カルロス(アルカラス)が4か月ぶりに戻ってきたことを考えれば、今この瞬間はおそらく自分がそうだと思う」と語り、続けて「でも、2人が健康で、最高の状態なら、僕はそうではない。ヤニックがまだ一歩リードしていると思う」とも話した。自らの現在地を冷静に見つめながらも、年間1位への可能性を大きく引き寄せた。

一方、惜しくもグランドスラム初制覇に一歩及ばなかったシェルトンは、23歳で初のメジャー決勝を経験。試合後には「これが終わりではない。次に進む。オーストラリアではここよりもさらに強くなって戻ってきたい」と前を向いた。また、ズベレフについて「テニス界で最高のサーブを持っている」と評価し、その総合力の高さを認めた。

2020年には「あと少し」のところで逃した全米オープンのタイトル。6年後、ズベレフは同じ舞台で今度こそトロフィーを掲げた。全仏オープンからわずか3か月。29歳のドイツ人は、グランドスラムの舞台で「勝てない選手」から「勝つ選手」へと完全に変貌を遂げた。





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写真=田沼武男 Photo by Takeo Tanuma