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2026.10.14

選手情報

岩本功ジュニアデビスカップ監督、次世代育成の好循環に手応え。修造チャレンジ、錦織圭、坂本怜から紡ぐ「強さの条件」と日本の未来

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岩本功ジュニアデビスカップ監督が語る、次世代の芽生え


グランドスラムジュニアの2026年シーズンが終幕を迎えた。今季は全豪オープンで田畑遼(むさしの村ローンテニスクラブ)のシングルス4強、川西飛生(湘南工大附)/渡邉栞太(Tension)のダブルス4強と好スタートを切ったものの、その後の全仏オープン、ウィンブルドンでは悔しさの残る結果となり、年間を通してトップ層の壁の厚さを改めて痛感させる一年となった。しかしその一方で、予選通過者の増加や渡邉、奈良恒輝(湘南工大附)ら次世代の台頭など、ナショナルチームとして積み上げてきた育成の構造は確実に実を結びつつある。

現在、現ジュニアデビスカップ代表監督を務める岩本功氏に、今季のグランドスラムジュニアの総括をはじめ、錦織圭から坂本怜へと受け継がれるトップ選手への「導線」、プロで勝ち抜くために不可欠な「人・モノ・お金」の3つの輪、そして過酷な世界ツアーを見据えた育成思想について話を聞いた。


――今年最後のグランドスラムジュニアですが、この一年を振り返っての感想をお願いします。

今年のグランドスラムに関しては、全豪オープンのシングルスで田畑遼がベスト4、ダブルスで川西飛生/渡邉栞太がベスト4といいスタートを切れましたが、全仏オープンでは去年ベスト4だった田畑が2回戦敗退、ウィンブルドンでも3回戦敗退という結果からすれば、思った以上の結果は出ませんでした。ドロー運もあるので比較はできませんが、去年からすると川西もいいし、渡邉はいい形で昨年のスーパージュニア準優勝でランキングを一気に上げることができました。そういう意味ではいい方向に向かっていて、グランドスラムで戦えるところまで来ました。

渡邉に関しては来年も挑戦できるところが大きいですね。また、今回参加している奈良恒輝や櫻井義浩(湘南工大附)など来年グランドスラムジュニアに出られるところに上がってくるので、そういう流れができているという意味では次の世代が形になってきています。今大会は予選を勝ち上がることができませんでしたが、今年のジュニアデビスカップのNo.1で出ている川口孝大(はちおうじ庭球塾)もいます。

今大会は、予選4人のうち2人が突破し、本戦では3人がストレートイン。計7人がトライしたことはいい形で続けていける流れになり、大きな収穫となりました。これからアジアツアーが始まるので、ここでしっかりポイントを稼ぎつつ、その後のヨーロッパで試合のレベルが高い大会を通じ今後に活かしたいです。



――長年このジュニアの流れを継続して引き上げることができている要因には何が挙げられますか。

今年で16年(コロナ禍を除く)続いている7月のオランダ遠征、これは(西岡)良仁が15歳の頃から始めて、毎年継続している遠征です。まずジュニアデビスカップの今年、来年のメンバーを連れて行きました。帰国後にはNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で合宿し、良仁の練習に入れてもらったり、年間を通して合宿をしながら次に繋げる準備をしていることが、このような結果につながっていると思います。

――上のレベルとコネクションを作っているという様子が伺えます。

大人のデビスカップも年齢差が10歳、15歳は当たり前です。なので、ジュニアの頃から13歳の選手が上のカテゴリーの選手と練習したり、幅広い年齢の選手を多く招集した時にはレベルを分けながらも、一緒にトレーニングすることによって縦のつながりができます。下の子が上の子を追い越していくことが理想ですね。私は裏方の仕事もやっています。今のところいい形になっていると思います。「修造チャレンジ」や13歳〜14歳のナショナル合宿をしながらうまく繋げています。

――2年前に坂本怜選手が全米オープンジュニアシングルスベスト4、ダブルスを優勝し、今年はプロの舞台で予選を勝ち上がり本戦に入りました。岩本コーチは以前からよく言われている「エリート」の部類(ジュニアから卒業しATP100位以内で活躍できる選手)に坂本選手に当てはまると言ってもいいでしょうか。

超エリートは速いスピードで上(100位以内)にいきます。怜は今まで色々チャンスがあって、そこでブレイクできなかったのですが、ここで本戦に上がったということは一つの大きなきっかけを掴んだと思います。予選決勝は錦織戦で、本音を言えば当たって欲しくなかった2人です。勝負の世界なので仕方ないことではありますが、彼に関してはこれを機に怪我をしないように頑張って欲しいと思います。



――錦織選手のお話が出たところで、「修造チャレンジ」の時代から見てきた錦織選手が引退することとなりました。

発足当時は松岡修造氏を超える選手をここから育てるというのが「修造チャレンジ」としての夢、目標でした。錦織選手のグランドスラム準優勝や2度のベスト4もあり、アジアの選手として輝かしい結果を出して貢献をしたことは事実です。

前回の「修造チャレンジ」の議題にも目標として上がったのですが、みんな彼そのものにはなれない。ただ、その上の世界に行くために彼が通った道筋は未開の領域であったことも踏まえ、各個人がどうしていきたいかを考える機会がありました。彼がいたからこそ、現デビスカップ監督の添田豪監督や伊藤(竜馬)、杉田(祐一)、綿貫(陽介)、内山(靖崇)もツアーで100位以内に入った。圭がきっかけとなり、日本のテニス界にかけがえのない影響をもたらすと共に大きな貢献をしてきたと思います。

――時代を問わず、これまでジュニアの中に共通する強い選手になっている条件を教えてください。

性格は十人十色ですが、上に行くための環境を整えてあげるというのは大事なことだと思っています。よく言われていることの一つとして「人・モノ・お金」、この3つの輪が繋がっています。

人というのは選手の素材であったり、コーチ達との出会いも挙げられます。モノ、というのは場所を指し、遠征であったり日本でもそういう環境面でトレーニングができ、トレーナーとの出会いも含んでいます。海外の遠征先での拠点みたいなものも必要になってきます。それを満たすには最後の「お金」という輪も外せないところであります。

――プロになるには以前よりお金がかかる時代になっています。プロになるための時間が欲しく「3つの輪」を満たしているところにアメリカの大学を選択する欧米の選手が増えていることについてはどのように考えていますか。

私は勧めています。私自身もアメリカで高校から大学のチームに在籍していた経験からも、(プロになる前の)選択肢の1つだと考えています。日本国内でもスポンサーが付いて、その環境を作れるところもありますが、世界を視野に置いた場合の練習相手に関しては足りない部分も出てきます。

アメリカに行けば、グランドスラムジュニアに出てるような選手がいたり、フューチャーズやチャレンジャーを回っている選手が在籍している大学であれば、6~7人は自分より強い選手がいるでしょう。常に強い人たちと練習できるっていうのが環境面でのアドバンテージになっていて、ITFからジュニアの選手向けのミーティングの時にこういう事例もありますって紹介があるぐらい。資金面でも特にサポートが厚くなってきています。

――今年のジュニアデビスカップの日本チームについて教えてください。

ジュニアデビスカップのアジア・オセアニア予選、準決勝でオーストラリアと10ポイントマッチタイブレークで負けてしまい、3位決定戦でインドに勝利し3位となりました。世界大会出場を決めたのですが、次にオーストラリアと対戦することがあれば絶対に勝ちたいですね。昨年は世界大会2位でしたが、今年もベスト4以上を狙いたいです。

――外国人選手のフィジカルの違いからくる影響には何がありますか。

飛んでくるボールの質に違いがあり、速かったり重かったりします。以前、「動くナショナルテニスセンターが欲しい」(https://tennisclassic.jp/article/detail/7029)とお話ししたことがありますが、男子の場合は(重く速いボールを受けることについて)日本国内では補うことが難しいと思います。

――長年日本男子ジュニアテニスを牽引され、ご自身の想いの根底にあることを教えてください。

結果を残すことです。当然その『結果』が先に続くような結果です。彼らがプロになっても5年後、10年後にどこにいるか、ですね。皆んながその理想通りにはならない場合もあり、優勝しました!というのも嬉しいし目標の一つではありますが、常に先を見続けて行きたいです。

――ジュニアデビスカップ世界大会の活躍を応援しています。貴重なお話をありがとうございました。

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