close

2021.11.15

選手情報

[車いすテニス奮闘記・高野頌吾/川合雄大]“2021BNPパリバ・ワールド・チーム・カップ優勝を振り返って”

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

SHARE

  • 著者をフォローする
  • 記事を保存

日本のレベルを世界に轟かせた優勝

車いすテニスの国別対抗戦、「2021BNPパリバ・ワールド・チーム・カップ」で優勝を成し遂げた日本ジュニア代表。小田凱人(岐阜インターナショナルテニスクラブ/ジュニア世界ランク1位)と共に偉業を成し遂げた高野頌吾(トップアスリートグループ/同13位)、川合雄大(高崎テニスクラブ/同31位)から、奮闘記が届いた。

特集「車いすテニスTOPICS<そのおもしろさ、難しさ、奥深さを紹介>」




高野頌吾
■所属: トップアスリートグループ
■同13位

今回の優勝は、自分の人生の中の
一大スペクタルとして存在し続ける

皆さん、こんにちは。高野頌吾(トップアスリートグループ)です。今回、「2021BNPパリバ・ワールド・チーム・カップ」の日本ジュニア代表としてチーム全員で世界一になることができました。今大会の優勝をとても嬉しく思っています。

今大会は、自分自身2020年1月以来の大会出場となり、大会に行く前までは試合感覚などを思い出すことができるのか、などの不安が少しありました。しかし、現地に着き、チームの仲間たちと話したり練習していったりする中で、「チームのみんなが支えてくれるから大丈夫」という安心感が生まれました。

そして迎えた予選リーグ初戦。僕は第1試合のシングルスに出場しました。とても重要な試合ということもあり、かなり緊張して第1ゲームは感覚が合わず、体が硬くなってしまいました。しかし、日本チームの声援を受け、そこからどんどん調子を上げ6-1、6-1というスコアで勝利しました。

そして日本ジュニアチームは予選リーグを1位通過し、決勝リーグに駒を進めました。
決勝リーグ1回戦はオランダとの対戦でした。シングルス初戦は僕が出場しましたが、セットカウント1-2で負けてしまいました。自分に何が足りないのかを実感させてくれた試合であり、これによって、自分の中のいろんな部分がとても成長したと感じています。

ついに迎えたイギリスとの決勝戦。
準決勝同様、僕はシングルス初戦に出場しましたが、結果は敗戦。シングルス第2試合に出場した小田凱人(岐阜インターナショナルテニスクラブ)選手に「頼んだ」と言って僕はコートを後にしました。結果、小田選手はしっかりと勝利をして、最終戦のダブルスに繋げてくれました。

第2試合と第3試合の間に設けられた45分の休憩の間にチーム全員で作戦を出し合い、「絶対勝つ」と言い合い、コートに入りました。ダブルスに出場したのは小田選手と僕です。日本チームの方々からのとても熱い声援もあり、序盤から相手ペアを圧倒し、とても良い雰囲気の中、第1セットを先取します。

第2セットは、3-5と追い込まれましたが、監督、小田選手と僕とで話し合い、お互いがすべきことを実行でき、タイブレークに持ち込みました。常にリードしながら迎えたチャンピオンシップ・ポイント。僕が「大丈夫」と小田選手に声をかけ、互いに気持ちを高め合い、最後は小田選手のサーブで優勝を決めました。

世界一になった瞬間は、「言葉に表すことができないというのは正にこのことか」とそれから1時間くらいは思っていたと思います(笑)

このダブルスの中で、僕は僕の成すべき重要な役割をやり続けました。小田選手や相手選手と比べ、自分は身体の自由がきかない方なので、真っ向から勝負しても力負けをしてしまいます。
それを加味し、様々な戦術などを考えながら、試合を展開させていました。今までの試合の中で1番頭を働かせていたと思います。かなり頑張りました(笑)
日本チームやジュニアチームの方々からそのことを褒められたことを今でもうれしく思っています。

今大会の優勝というのは、自分の人生の中の一大スペクタルとして存在し続けると思います。これは、サポートをしてくださった日本代表スタッフの方々、今大会の関係者の皆様、現地やSNSなどで応援してくださった方々のおかげです。本当にありがとうございます。これからも車いすテニスというスポーツを多くの方々に知っていただけるよう頑張っていきます。



Profile/6歳の時に新型インフルエンザに感染。人工心肺装置を装着し、3日間生死の境目をさまよう。結果、インフルエンザ由来の呼吸不全、心筋炎に併発した脊髄梗塞による両下肢の機能全廃と診断され、車いす生活に。その後、東京のリハビリ施設で国枝慎吾選手と出会い、大会でそのプレーを見たことがきっかけとなり、「自分も国枝さんのようになりたい」と思ったところから車いすテニスのプレーを始めた。



無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録