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2022.06.08

スクール情報

【NY便り】名門クラブを託された日本人テニスコーチが重んずる、人と人との「信頼」

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名門クラブを託された日本人テニスコーチ

ハドソン川を挟んでマンハッタンの対岸に摩天楼を望む眺望の立地に有る「エッジウォーター・テニスセンター」(旧ビンガムトンテニスクラブ)に滞米30年を越える日本人テニスコーチの奥田達己氏がクラブオーナーとなった。

【写真】「エッジウォーター・テニスセンター」とクラブオーナーとなった奥田達己氏

「Infinite Future Tennis」(https://www.infinitefuturetennis.com/)を主宰する奥田氏は、主にニューヨークの隣接都市ニュージャージーで活動しており、ジュニア育成に注力。これまで元世界ランク24位のクリスティーナ・マクヘール(アメリカ/同239位)をはじめ、大学ディビジョンIの選手やジュニア全国大会チャンピオンなど多数の選手を輩出してきている。

今回はクラブオーナーになられた経緯と今後の豊富について取材中させていただいた。前クラブオーナーのマリアさんとの出会いは、彼女の息子さんが奥田氏のジュニア育成プログラムで練習していた15年前に遡る。

当時から、奥田氏のコーチとしての情熱と人としての誠実な人柄に信頼を寄せていたマリアさん。2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生し、クラブが一時閉鎖になった際に、今後のクラブをどうしていくのかの決断をしなければならなくなった。マンハッタンの対岸という好立地ということもあり、多くのデベロッパー(開発業者)や投資家からオファーが届いていたが、マリアさんが父親から受け継いだクラブを、奥田氏に受け継いでほしいという決断。クラブ運営を託されることになったのだという。

奥田氏は当時の売却交渉に際して、利益を追求するビジネスの世界ではあるものの、やはり最後には人と人との本当の信頼関係が大切。それをベースとした「託したい」「引き継ぎたい」という強い想いを感じて、感動を覚えたと振り返っている。

また、奥田家は、テニスコーチでプロショップ・マネジャーの百紀子夫人がUSTA(アメリカテニス協会)リーグ全国大会チャンピオン、長女の翔子さん、次女の暁子さん共にアメリカのトップジュニア、カレッジプレイヤーとして活躍したというテニス一家だったことも大きい。家族全員でこの新しいチャレンジに向かっていくエネルギーを感じ取ったことも、クラブオーナーを引き継いだ要因だったという。

「エッジウォーター・テニスセンター」での初めてのミーティングで、奥田氏はスタッフに生徒(ジュニア、アダルトも含めて)一人一人の個性を理解し、欠点もまた個性だと肯定し、決して上から目線ではなく、「対等な立場で生徒と接するべきだ」とスタッフ全員で生徒をサポートしていくことの重要性を強調したという。“信頼”を大切にする奥田氏だからこその言葉なのだろう。

今後はオーナークラブである「エッジウォーター・テニスセンター」(インドアハードコート9面)ともう一つ運営している「バーゲンフィールド・テニスクラブ」(アウトドア4面)のプログラムを軸に、ローカル・プレーヤーやローカル・コミュニティーに対しての活動に限らず、ツアーを回るジュニア、プロ選手、コーチたちの支援、テニス以外でのボランティア、援助など、世界を視野に入れた活動をしていきたいと考えているという。

託された「想い」と引き継いていく「想い」。日本人オーナーによって名門クラブは、どのような未来を描いていくのか。興味深いところである。

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