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2022.12.22

ジュニア選手

ジュニアのトレーニング費も徹底比較! ゴルフとテニスのコーチに聞いた、2つのスポーツの共通点と将来のキャリアパス

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※今回話をうかがったホセ・サンティアゴ(JOSE SANTIAGO MOREIRAS CUERVO)コーチ。子どもの頃からゴルフだけでなくテニスやサッカー、バスケットボールなどを習っていたが、13歳でゴルフに絞った経験の持ち主

ジュニアのトレーニング費用やキャリアパスなど
ゴルフとテニスの共通点や違いを紹介


ゴルフやテニスのコーチによれば、この2つのスポーツには共通点が多い。ラファエル・ナダル(スペイン/世界ランキング2位)や現役引退した元女子世界1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)がゴルフの腕前も一流であることを知っている人は多いだろう。またテニスと同様に、子どもに習わせる場合に費用のかかるスポーツとしても知られている。今回はスペインでプロとしても活動しているコーチやテニスアカデミーで働くテニスコーチに話を聞きながら、2つのスポーツの共通点やトップジュニアのキャリア、またトレーニングにかかる費用などを紹介する。

【画像】 奥さんと妹さんと一緒にゴルフを楽しんだ様子を投稿するナダル

ゴルフもうまいテニスのトッププロたち

今年6月にスペインで行われた「バレアレス諸島ゴルフ選手権」で、プロゴルファーも参加するなか5位という結果を収めたナダル。ゴルフはハンディキャップというレベルを表す指標によって参加できるトーナメントが変わるが、ナダルはプロと同じトーナメントに参加できるほどの腕前であるようだ。ナダルは無類のゴルフファンとしても知られており、タイガー・ウッズ(アメリカ)との親交が深い。

今年引退したバーティもゴルフの腕前が超一流なテニス選手の一人であり、しかも夫はプロゴルファー。引退後は積極的にゴルフをプレーしていることがインスタグラムからうかがえる。他にもキャスパー・ルード(ノルウェー/同3位)やテイラー・フリッツ(アメリカ/同9位)、アレックス・デミノー(オーストラリア/同24位)らがゴルフをプレーする自身の姿をインスタで披露している。

テニス選手がゴルフ好きなのも納得⁉ ゴルフとテニスの共通点

●一人で戦うメンタル
第一に、ゴルフもテニスもどちらも個人スポーツである点が挙げられる。ゴルフではキャディーがつくが、プレーするのは一人だけだ。どちらのスポーツも対戦相手との体の接触はないものの、テニスの試合と同様に、ゴルフのコース上でも気を散らせるような対戦相手からの言葉や観客の立てる音などもシャットアウトし、集中力を保ち続ける必要がある。

テニスにおいて一人で状況を判断し、より良い選択肢を瞬間的に考え抜くことに長けているテニスのプロたちは、すでにゴルフに必要なメンタリティが備わっていると言えそうだ。

●体の回転と体重移動を使ってボールを打つテクニックや、どんなボールを打つか判断する能力
動いているボールを打つのか、止まっているボールを打つのかといった違いはあるが、基本的にボールを強く打つメカニズムはゴルフもテニスも似ていると言える。特に肩、腰、体重移動を利用するという点では類似していると言ってもいいだろう。

ゴルフでもテニス同様、球種の判断も必要になる。コースによってボールにスピンをかけたり、高いボールやフラットなボールを打ち分けたりするためだ。ゴルフとテニスには、テクニックや最適な判断に必要な能力といった面でも似ている部分があると言えるだろう。

どちらのスポーツを志すか決める前に知っておこう! ゴルフとテニスの違い

●一本もミスが許されないのがゴルフ
テニスもミスをしないに越したことはないが、世界1位の選手であっても一球もミスをしない試合はないと言っていいだろう。テニスにおいては、その日サーブがあまり良くないようであればリターンに集中するなどプランBを用意することが可能だ。

一方ゴルフの場合、トッププロは一球もミスをしないことが求められる。たった一球のミスがトーナメントの順位に大きく関わり、また取り返すのも難しい。この部分は自身の性格も影響しそうなので、適性を見極めたい。

●ゴルフでは大学に進学する選手が多い
キャリアの面でもゴルフとテニスでは異なっている。スペインのゴルフコーチによれば、ゴルフのトップジュニアはアメリカの大学に進学する場合が多い。ちなみにウッズはスタンフォード大学出身だ。アメリカの大学は設備が良く、資金も豊富。プロとしてスポンサーを探すより、奨学金を得ながら大学に行くほうが賢い選択であるとされているようだ。大学によってはプライベートジェットで国内のトーナメントを転戦する、なんていう場合もあるので驚きである。

一方テニスでは、トップジュニアは大学に進むよりもプロになるケースのほうが多い。最近では大学に進学してからプロに転向する選手も増えてきてはいるものの、やはりメジャーではないと言えるだろう。

日本にも100歳を超えるプロゴルファーがいたことからも分かるように、ゴルフは長いキャリアを築くことができるスポーツだ。その分大学に進む4年間をロスと考えない風潮が根付いたのかもしれない。

ゴルフプロを目指す場合に発生する費用

●スペインの場合
ゴルフはどこで練習を積むかによって費用が大きく異なる。スペインの地方都市であれば場所代は無料、カゴ1杯分のボール(50球程度)が3ユーロ(約435円)程度。ボールを購入すれば朝8時から日没まで練習することが可能だ。

ゴルフのトッププレーヤーであれば、12歳になるくらいから毎日2〜3時間の練習+週末のラウンドがミニマムだそうだ。例えば、スペインの地方都市では1時間のプライベートレッスンが40ユーロ(約5,800円)。2人から5人程度のグループレッスンでは2ヶ月週1回のレッスンで130ユーロ(約1万8,800円)なので、1ヶ月4回として1回約2,350円となる。プライベートレッスンでは実際にコースに出てコーチとプレーをすることが可能で、その際の費用はドライビングレンジ(打ちっぱなしでイメージする練習場)と同じだ。

ヨーロッパで練習するメリットとしては、陸続きでさまざまな国のトーナメントに出場しやすいということが挙げられるだろう。この点においてはテニスと同様である。

●香港の場合
ちなみに土地が狭く、どんなスポーツをするにも費用がかさむ香港では1時間のプライベートレッスンが1,100〜1,600香港ドル、日本円にして約1万9,000〜2万8,000円、グループでは10レッスン4,300香港ドルで約7万5,500円程度なので、1回で7,550円となる。コースに出るには高額なクラブ会員になる必要があり、ジュニアがトレーニングを積むには非常にコストがかかることが分かる。

●日本の場合
ジュニア向け少人数制ゴルフスクールの「ヨネックス ジュニアゴルフアカデミー」が主催しているクラスは、1回につき4,000円(45分のビジター価格。開催される場所によっても異なる)となっている。都心では練習場が室内である場合も多く、スクリーンに向かって打つシミュレータでの練習となる。ジュニアクラスは1ヶ月1万円以下だが、プロを目指すジュニアとなると当然より高額になる。

“天才ゴルフ少女”としてメディアでも取り上げられることの多い須藤弥勒(ゴルフ5)さんのご両親によれば、遠征を含めた月の費用は約20万円。遠征が多かった年は年間800万円ほどの費用がかかったそうだ。

どちらも厳しい道のりではあるが、トップになれば大きな成功を収めるスポーツ

ゴルフもテニスも、どちらも当然プロを目指すには費用的にも厳しいスポーツであると言える。子どもが習いたいと言っても、環境をどこまで整えられるかが重要になってくる。特にゴルフの場合は、都心よりも地方のほうが圧倒的に練習量を積みやすい。

その一方でゴルフやテニスは、プロを目指すだけでなく趣味としても長く楽しみやすいスポーツだ。リゾートなどに施設が併設されている場合も多く、家族で一緒にプレーするのにもぴったり。さまざまな視点で子どものスポーツを応援していきたいものだ。

※今回話をうかがったのはホセ・サンティアゴ(JOSE SANTIAGO MOREIRAS CUERVO)コーチ。子どもの頃からゴルフだけでなくテニスやサッカー、バスケットボールなどを習っていたが、13歳でゴルフに絞った経験の持ち主

※為替はすべて2022年12月17日現在

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