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2025.12.13

メーカーズボイス

はじめてシリーズ「グリップテープ選び」#10 ~自分が好きなグリップテープ選択は、「タイプによる握り感覚の違い」を知る~

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グリップテープを巻くのが当たり前になっちゃったけど、タイプは千差万別。サイズ選択は慎重に!


グリップに巻き付けるカラフルな「グリップテープ」、または「オーバーグリップ」は、1980年代前半に誕生。当時のラケットには「天然レザー製グリップ」いわゆる「グリップレザー」が巻かれていましたが、使っているうちに滑りやすくなってくるので、それを防止するのに包帯のようなテープを巻いたのが始まりです。

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日本では「不織布メッシュに粘着液を沁み込ませた」テープなども発売されましたが、世界のプロたちが青紫色の【トーナグリップ】を使い始めたことで世界的にブレイク。今現在も「ドライタイプ」の代表モデルとして、愛用者も多く、その後は手のひらに吸い付くタイプの「ウェットタイプ」も出現して、いろんなメーカーが参入したのです。

グリップテープ大流行のおかげで、1990年代になると、ラケットレザーは天然→シンセティック……つまり最初からグリップテープと同じような素材のグリップが巻かれて出荷されるようになり、グリップテープの必要がなくなるか? と思ったら、みんなさらにその上にグリップテープを巻くんです。

ぶっちゃけ、今のテニスラケットは「グリップテープなしで完璧なプレーができる」ほど、高品質テープがデフォルトで巻かれているのに、やっぱりグリップテープは巻かれ続ける。いったい……なぜ?

■「巻き替え交換が可能」こそがグリップテープの命!


そんなことになったのは、ショップが「どれを巻きますか?」と、必須かのようにお客さんに働きかけ、「300円くらいで巻き替えられるのなら」という軽い気持ちが「風習化」したからでしょう。

そう! みんな最初は「巻き替えるつもり満々」なんですよ。でも悲しいかな、かなり多くの方が「それ、いつ巻いたヤツ?」というくらい汚れ、ボロボロになっても、まだ使っているんです。

どうか「巻き替え直後の握り感」を思い出してください。なんてったって気持ちいいし、清潔です。言ってみれば、それこそがグリップテープの存在理由なのに、巻き替えられないグリップテープはどんどん握り感が悪くなり、見られて恥ずかしくないのか?というほど不潔に汚れていきます。グリップ(手のひら)は、プレーヤーの動き・パワーをラケットに伝える唯一の接点ですから、存在意義のなくなったグリップテープはさっさと外し、新しいフレッシュなテープに巻き替えましょう!

またグリップテープの巻き替えで楽しいのは「テープのカラフルさ」です。「みんな大好き:白いグリップテープ」もいいですが、ラケットに合わせたり、季節によって色を変えてみたり、遊んでみてください。

「グリップテープは下着と同じ」なんです!
たった300~400円くらいでラケットをリフレッシュできるんですから、こまめに巻き替えて、清潔なグリップを保ちましょう。



■グリップテープのタイプは「ドライ」「ウェット」「セミドライ」 


グリップテープが登場してしばらくは、握ったときに手のひらにサラサラ感がある「ドライタイプ」が主流でした。巻き替えてからしばらくは、手のひらの汗を吸ってくれて、たしかに滑り止めになるのですが、1か月も使うと、表面がボロボロになってしまいます。それでも貧乏学生にとって、【トーナグリップ】の巻き替えは「3か月たまった家賃を一気に払う!」くらいの思い切りが必要でした。

その後、各メーカーから、類似ドライタイプが発売されます。どれも、表面のウレタンが剥げると、汗を溜めるだけでなく、なんとも悲惨な姿になったものです。ただドライタイプって、巻き替え直後の感触は素晴らしく、汗を吸い取ってくれる感じも爽やかです。今、あらためて思うのは「ドライタイプは、きわめて頻繁に巻き替える富裕層プレーヤーが使ってこそ生きる」と悟りました。

ドライよりちょっとだけ遅れて登場したのが「ウェットタイプ」。たしかバボラから発売された【グリプシー】で、ドライよりも、ものすごく薄くて、伸縮性が高いものでした。やはりウェットタイプも、次々と類似品が発売されますが、その特徴は「手のひらにペターッと吸い付く吸着感」。滑らないという点では優れていますが、「くっつきすぎてイヤ」という人もいましたし、やはりしばらく使っているうちにペタペタ感は跡形もなく消え去るわけで、ドライもウェットも、それぞれに一長一短があるわけです。

ならば……と登場したのが「セミウェットタイプ」。「ウェットなんだけど、ペタペタ感を減らしてあります」というテイストで、「中庸」が好きな日本人にぴったり。いつの間にか、あえて「セミ」を謳わなくても、「ウェットタイプ」の大部分を占めるようになっていきました。今ではむしろ「ドライだけど、ちょっとだけウェットっぽい吸い付き感」ということで『セミドライタイプ』なんてのも流行り始めています。

初めてグリップテープを巻こうという方は、まずは「3タイプあるんだ」ということを知って、早めに交換しながら3種類すべてを試し、どれがいちばん自分好みかを見極めるとよいですね。もちろん、テニスショップに「巻き上げサンプル」が置いてあれば、それを握って感触を確かめましょう。




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文=松尾高司
1960年 生まれ。『月刊テニスジャーナル』で 26年間、主にテニス道具の記事を担当。試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。テニスアイテムを評価し記事などを書く、おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。

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