300g、バランス32.0cm、ツアープレイヤーも使用するウルトラスペックの「ULTRA 100CV」、重量277gと少し軽量な「ULTRA 100L」、最軽量257gの「ULTRA 100UL」。
そこにラージサイズ・モデル、110平方インチの「ULTRA 110」、105平方インチの「ULTRA 105S CV」が加わることは12月1日公開のウイルソン・ウェブ・マガジンでもご紹介したとおり。フレームのHFST形状、スロート部をインパクト時のしなりに負けないよう屈強にする「パワー・リブ」と、そしてフェイスの6時部分に搭載された打球時につぶれてダンピングを大きくする「クラッシュゾーン」と、搭載テクノロジーは他のULTRAと同じ(ULTRA 105S CVには、衝撃吸収して披露を軽減するテクノロジー「カウンターベイル」が搭載されている)。
同シリーズの特徴は『ネットプレーで優位性を発揮する"ウルトラスペック"』。その特徴をラージサイズ・モデルと、Sラケモデルにも落としむと、どんなメリットが生まれ、どんなパフォーマンスを発揮するのか?
テニスクラシック編集部で、早速試打を決行。新機種2モデルを打ち比べてみた。
「ULTRA 105S CV」試打インプレッションテニスクラシック編集部(広)
ちょうどよいという結論。多くの面でプラスがある
カウンターベイルのテクノロジーは、あらためてすごいなと感じる。打った際"ビーン"と響く衝撃が"ビ...シュン"と消える感じ。これなら、振動止めは不要! という人も多いだろう。さて、「ULTRA 105S CV」のインプレッションだが"イロイロとちょうどよい"と表現したい。
まずフェイスサイズだ。「ULTRA 100CV」とは、言わずもがな5平方インチ分大きい。わずかな差と思うかもしれないが、パワー、スイートエリアの広さでは、確かにプラスを感じることができる。パワーに関しては0.25インチ(=6.35mm)分長いレングスと、さらに厚いフレーム(26.0‐27.0‐26.0mm)も助けになっているだろう。つまりボールを飛ばしてくれるラケットなわけだが、メイン16本×クロス15本というSラケ(スピン・エフェクト・テクノロジー※1 搭載ラケット)なので、意図せずともスピン量が増えて安定感も増す。接地時間も長く感じるし、コントロールもしやすい。
フレーム厚を考えても、打球感は多少ボヤケル感じがしてもおかしくないが、手に伝わってくる感覚はクリアである。285gという重量なので幅広いプレイヤーが使えそうだ。フェイスサイズ、重量、打球感..."イロイロとちょうどよい"というのが私の結論だ。100平方インチのULTRAが何か物足りない、一方で110平方インチまでのパワー、大きさはいらない...という人は、このULTRA 105S CVをぜひ視野に入れてほしい。
※1=ボールにスピンがかかる原理である、ストリングがズレて戻る動き(スナップバック)に着目し、横糸の本数を縦糸より少なくし、効率よくスピンを発生させるメカニズム。ウイルソンが特許を持っているテクノロジー。
テニスクラシック編集部(川)
少しストロークに安定感が欲しいという人に特にオススメ
まず感じたのは、非常に打ちやすいということと、振り抜きの良さ。フェイスが105平方インチという感じはなく、普通の100インチのラケットを持っているみたいにスムーズにスイングができるラケットだと思う。一方で、実際には105平方インチとフェイスが大きい分、インパクトの精度も高まるし、ストロークで左右に振られたときでもインパクトしやすいというのは印象的だった。また、ULTRAらしく、ボレーでしっかりと弾き返すことができる。
フェイスが大きめだからシルバー向けというわけではなく、少しストロークに安定感が欲しいという人に特に勧めたい。それというのも、普通のラケットのように扱うことができるのが、このラケットのいいところ。また、Sラケとあって、スピンもかけやすくて、面を垂直に当てているのに自然とスピンがかかってくれるのもうれしいところである。
「ULTRA 110」試打インプレッション
テニスクラシック編集部(広)
スイートエリアの広さとパワーが特徴。ダブルスで使いたい
まず見た目から大きく感じる110平方インチ。打ってみても、真っ先に感じたのは、ラケットが大きくなったぶん、広くなっているスイートエリアだ。
ULTRAシリーズといえば、「ネットプレーでの優位性」が合言葉。スイートエリアが広い分、ボレーは安心感あるし、球負けしない。さて、ストロークだが、フレーム厚(27.5‐25.5‐25.5mm)と相まって、思っている以上にボールが走る。パワーアシストがあるので、時間がない状況でも楽に返すことができるのはメリット。とっさのプレーが求められるダブルスでは、この特徴は武器となるはず。一方で、パワーアシストがある分、コントロールは多少アバウトな部分はあるのは事実。ただ、それは問題にならない程度だと思う。フレームの安定感、パワーアシスト...という特徴を考えると、レベルが上のプレイヤーと戦う時、強打の相手と戦う時などに、生きるラケットだと思う。また、非力な女性やシルバープレイヤーにも持ってこいのはず。ちなみに、こちらはカウンターベイル非搭載モデルなので、多少は振動もあるものの、個人的にはまったくイヤな感覚はなかった。
テニスクラシック編集部(川)
打ちにくいショットがないオールマイティーなラケット
まず、感じたのは振動である。といっても、不快というのではなく、打った際のボールの情報が手に伝わりやすいということ。カウンターベイルは入っていないものの、ボールの感触、ボールを包み込むような感じは個人的にも好みである。
面の安定性では、相手の強いボールを返そうとすると、スイートエリアから少し外れると、多少だが面ブレを感じるところもあった。ただ、それは相手のボールが速い場合に起こることだと思うので、圧倒的なレベル差がないかぎり、あまり気にすることはないかもしれない。270gと軽くて操作性が良く、打ちにくいショットがないオールマイティーなラケットなので、シルバー世代はもちろん、操作性を求める女性プレイヤーなどにイイと思う。
ULTRA 105S CV
¥32,000(税抜き)
フェース面積: 105sq.inch
レングス: 27.25inch
Av.ウェイト: 285g
Av.バランス: 33.0cm
フレーム厚: 26.0-27.0-26.0mm
グリップ・サイズ:G1, G2
ストリング・パターン:16x15
適正テンション: 50~60ポンド
ULTRA 110
¥30,000(税抜き)
フェース面積: 110sq.inch
レングス: 27.25inch
Av.ウェイト: 270g
Av.バランス: 33.5cm
フレーム厚: 27.5-25.5-25.5mm
グリップ・サイズ: G1, G2
ストリング・パターン: 16x19
適正テンション: 50~60ポンド
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