「ピュアドライブ2021」はいったいどんなラケットなのか!?2020年9月24日、ついにニュー「ピュアドライブ2021」が発売となる。日本で8代目※となる今作は、その発表のタイミングから大きな注目を浴びるモデルとなっている。なぜ“モンスターラケット” という異名があるのかはご存知だろう。それは「ピュアドライブ」が、テニスの歴史を塗り替えたからだ。“フレーム厚が厚いものは、競技者には適さない”、そんな定説を覆したのが、ピュアドライブであり、バボラのラケットだった…なんてことを書き出すと、止まらなくなるので今回はここらへんで止めておく。
※日本での発売を開始した初代モデルからの通算
【解説】ピュアドライブ2021モデルのテクノロジー紹介
【関連記事】ピュアドライブの出現がテニスの歴史を変えた!新たな「ピュアドライブ」は、いったいどんなものなのか? これを読んでいる皆さんは、それこそが知りたいポイントだと思う。端的に言えば、<より洗練されたものになった>という表現がしっくりくるだろう。「プレーヤーが求めるピュアドライブを出すことは、バボラにとっての<使命>なのです」と語るバボラの大塚氏曰く「より快適なのに、よりパワフルになった」という表現になる。その上で、何よりも大事なことは、 “ピュアドライブファンを困惑させないこと”。だからこそ「極端な改良ではなく、より完成度を高める研究となったのです」。新テクノロジーで<面内剛性>を高め高機能素材でフィーリングを味付け一つのキーワードは<面内剛性>である。今回、「ピュアドライブ」を開発するにあたり、バボラはカーボンのレイヤーの編み方、組み方を一から考え直したという。その中でたどり着いたニューテクノロジーこそ「HTRシステム<ハイ・トルション・リジディティ>」だ。「ピュアドライブ」と言えば、ラウンド形状(断面が丸いフレーム)の象徴的モデルで高い剛性が特徴。今回、同テクノロジーにより、その剛性は新たに強化。インパクト時のネジレを可能なかぎり抑えることで面安定性を高めて、さらなる爆発力を生むように調整された。
しかし、剛性を高めるということは、良い点ばかりではない。その分、フィーリング、振動はどうしても増えてしまう。その解決のために採用されたのが「SWX PURE FEEL<SWXピュアフィール>」である。前作では、同じフランス企業であり、振動吸収面での世界的権威であるSMAC社(海底プラントやF1など過酷な状況下での衝撃吸収技術を得意とする企業)の高機能素材を用いたという話を覚えている人もいるだろう。今回も、SMAC社の高機能素材「SMAC WRAP」を採用しているのだが、カーボンのレイヤーを一から考え出したのと同じく、同素材の組み込み位置、量も再考の上、スロート部にカーボンレイヤーで挟む形で搭載した。実は、SMAC社にとって、振動を限りなくゼロにすることは難しいことではないのだという。しかし、プレーヤーにとって振動は、有益な情報(ボールをどう捕らえたかなど)にもなりうる。だからこそ、ユーザーにとって本当に有害となる部分の振動を取り除くようにしたというのが、今回の「SMAC WRAP」テクノロジーなのだ。
もちろん、ピュアドライブを“ピュアドライブ”たらしめる「FSIパワー」は、搭載されている。マス目を上下に拡大したストリングパターン、そしてウーファーを内蔵したダイヤモンドグロメットによって、スイートエリア、ストリングの可動域を拡大。苦しい体勢や、オフセンターで捕らえた際も、しっかり飛ばしてくれるのだから、プレーヤーにとっては、これ以上なくうれしいテクノロジーである。
より快適なのに高いパフォーマンスを発揮それが新モデルの魅力の一つ大人気となった前作では、実はプロから「ホールド感がやや強い」という報告を受けていた。それが悪いというわけではなく、そこと飛びとの関連性に違和感を覚えるプレーヤーもわずかにいたのだという。ホールド感を高め、ボールをわずかでも長く捕らえることは、コントロールを高める上で重要なことはわかるはず。今回、ニューテクノロジーを作用することで、狙ったのは<ホールド感と飛び>のさらなる融合なのだった。それに関しての大塚氏の表現がおもしろい。「軽自動車で時速100kmを出すのは誰もが恐怖を覚えるはずです。しかし、足回り、シャシー、すべての面で性能を高めた高級車で同じスピードを出すなら、まったく違うような快適さを味わえます。今回のピュアドライブは、まさにそういうイメージ。より快適なのに、高いパフォーマンスを発揮する。そういうラケットなのです」。確かにそのとおりである。新たな方向性を示す繊細なコスメはピュアドライブだからこそできるものまた、今回、特に力を入れている<コスメのデザイン>についても、注目してほしい。「わかる人なら、わかると言ったらおしまいですが、今回のコスメは特に出来が素晴らしい。繊細なグラフィックがあしらわれたデザインが一つ、それを再現するためにどれだけの工程があるかというと、バボラだからできたと自負します」(大塚氏)デザインというのは、流転していく物。近年、ラケットのデザインは、シンプルな方向に進んできている。その中で、新たな方向性を示すデザインにしたのは、ピュアドライブだからこそできるものと言ってもいいだろう。
シリーズ9モデルの先陣を切って「ピュアドライブ」が発売に!まず発売となるのは、100平方インチ、300g、バランスポイント320mm、フレーム厚23.0〜26.0mmという黄金スペックの象徴「ピュアドライブ」である。
2021年1月には、315gのエキスパートモデル「ピュアドライブ ツアー」、0.5インチロングの「ピュアドライブ+」、285gにして圧倒的パワーも生み出す「ピュアドライブ チーム」、270gのオールラウンドモデル「ピュアドライブ ライト」、ジュニアラケットからの移行も考えた255gの「ピュアドライブ スーパーライト」、ラージサイズの「ピュアドライブ107」「ピュアドライブ110」と7モデルの発売も待っている。まずは※8代目、「ピュアドライブ」がいかなるものか? 歴代最高作ともいえる、そのパフォーマンスをぜひともその手で味わってみてほしい。
次号は、テニスクラシック編集部による徹底インプレッションをお伝えします。
続きを読むには、無料会員登録が必要です。
無料会員に登録すると、記事全てが読み放題。
記事保存などの便利な機能、プレゼントへのご招待も。
いますぐ登録
会員の方はこちら