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2026.10.03

選手情報

上杉海斗、急造ペアで初のツアー4強!グランドスラム優勝経験者のヒジカタと抜群のコンビネーションで前年王者撃破[木下グループジャパンOP]

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上杉海斗がヒジカタとの急造ペアでツアー初の4強


「木下グループジャパンオープン」(東京・有明コロシアム/ATP500)は10月3日にダブルス準々決勝が行われ、ワイルドカード(主催者推薦)で出場している上杉海斗(江崎グリコ/ダブルス世界ランク111位)/リンキー・ヒジカタ(オーストラリア/同183位)が、第3シードのヒューゴ・ニス(モナコ/同27位)/エドゥアルド・ロジェ・バセラン(フランス/同26位)を6-4, 6-4で破った。上杉にとっては、ATPツアーで初めてのベスト4進出となった。

【動画】上杉海斗/リンキー・ヒジカタが会場沸かせるプレー連発!ベスト4入り

31歳の上杉と25歳のヒジカタは、今大会のわずか2~3日前に急きょ結成されたペアである。それでも1回戦ではルチアーノ・ダルデリ(イタリア)/トマス・マルティン・エチェベリ(アルゼンチン)を下し、準々決勝では前年覇者を撃破。短期間で完成度を高め、ツアー4強まで駆け上がった。

この日対戦したニス/ロジェ・バセランは、2025年の同大会を制したペアであり、今季も6月のATP250イーストボーンでタイトルを獲得している。ロジェ・バセランはキャリア通算30度、ニスも9度の優勝経験を持つ実力者である。

上杉は試合を振り返り、まず精神面での変化を挙げた。

「今日は朝から1回戦に比べて緊張が全然なかった。むしろ楽しめるようなメンタルでずっといられたので。試合をまず楽しめたかなというのがよかった」

1回戦ではスーパータイブレークで3本のマッチポイントを握られるなど緊張する場面もあった。だが、隣でプレーするヒジカタが常に笑顔で楽しんでいたことも、上杉のプレーを後押ししたという。

「1回戦はめちゃくちゃ緊張した。ワイルドカードをもらって気持ちがすごく入っていく中、隣でずっとリンキーが笑ってるので(笑)。楽しくプレーしているので、それにつられて自分も試合を楽しめた」

その心理的な余裕は、プレーにも直結した。今大会で上杉は、今年初めてデュースサイドを担当している。もともとはアドサイドでプレーしていたが、ヒジカタとのペア結成を機に役割を変更。自身の武器であるフォアハンドを生かしたリターンにも積極的に取り組んだ。「デュースサイドだからというよりは、アドサイドと同じように。自分が特にセカンドサーブに対して自分の武器でもあるフォアハンドでしっかり回り込む、というところを今年取り組んでいた。それはデュースサイドにも活かせることだった」。サイドの変更を過度に意識するのではなく、「とにかくいつも通りにプレッシャーをどれだけ与えられるか」を考えてプレーしたという。

そして、この快進撃を支えているのが、急造ペアとは思えない役割分担である。上杉はヒジカタについて「後ろで固くやってくれる。もう何でもできる選手」と評価。ヒジカタがベースラインから安定したプレーを続けることで、自身は前衛でより大胆に動くことができているという。「自分が抜かれても後ろにリンキーがいる、グランドスラムチャンピオンがいるっていうのは、やっぱり心強い。それのおかげで、思い切ってプレーができたかなと思います」。

一方、ヒジカタも上杉のプレーを絶賛した。「(上杉)海斗は全部できると思っていて、デュースサイドでリターンもすごく良くて、サーブ、ボレーもすごいプレッシャーを相手にかけている。私は結構簡単(笑)。どこで打ってもカイトがすごくプレッシャーをかけてくれる。ネットでの存在感がすごく大きいから、自分はすごくプレーしやすい」。ヒジカタが後方で安定感を発揮し、上杉がネットでプレッシャーをかける。互いの長所が明確にかみ合っている。

そもそも、2人がペアを組んだのは予定外の出来事だった。上杉は当初、柚木武と組む予定だった。しかし、ワイルドカードなどの発表を控えた前日に柚木がデビスカップで負傷し、急きょパートナーを探すことになった。そこで候補に挙がったのが、ヒジカタだった。上杉自身も「まさかリンキーと組めるとも思っていなかった」と振り返る。

ヒジカタには大舞台での実績がある。2023年の全豪オープンではジェイソン・クブラーとのペアで、ワイルドカードから男子ダブルスを制覇。自身初のグランドスラムタイトルを獲得した。さらに同年のジャパンオープンでは、マックス・パーセルとのペアで優勝。初めて組んだペアでATP500のタイトルを獲得している。そのヒジカタが後方で安定したプレーを続けることで、上杉も前衛で思い切ったプレーができるようになった。急造ペアでありながら、互いの役割を明確にすることで、わずかな時間で形を作り上げた。

また、有明という舞台も上杉のプレーを後押しした。この日はショーコートで多くの観客から声援を受けながらの戦いとなった。「僕はとにかくこの有明で、ファンに囲まれてプレーするのが好き。1回戦と違ってショーコートでプレーして、毎ポイント、拍手と声援をいただいた。今日は特に楽しかったです」。ヒジカタも「いつも日本に戻ってきてサポートが多い。いつも楽しみにしています」と日本でのプレーを喜んだ。

今年8月にトップ100入りを果たしている上杉にとっては、準々決勝では2025年大会の王者を撃破しATPツアーで初めてのベスト4。これまでのジャパンオープンでは「まず1回戦を勝つ」という目標が大きかったが今回は違う。ヒジカタとのペア結成を機に、上杉自身が大会前から「優勝」を視野に入れていた。

上杉は「1つずつ形になってきている。優勝はどの大会も目指してやっているので、意外とその欲は良くも悪くもない。だからそこは気にしてはないというか、1つ1つのプレーをリンキーと楽しんでいきたいなと思っています」と意気込みを口にした。一方のヒジカタも「1個ずつ集中していきたい」と慎重な姿勢を示した。


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写真=田沼武男 Photo by Takeo Tanuma