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2020.10.10

ジュニア選手

【ガンバレ日本のJr.!】全仏Jr.帯同コーチがコロナ禍の海外遠征を決意〔アジア通信特別編②〕

写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma

開催中の全仏オープン。そのジュニアの部に、多くの日本人選手が出場していることはご存知かと思う。その選手たちの帯同を務めた沢田氏が、withコロナ下で開催された全仏オープンで見えたものをレポート。新型コロナウイルス陽性者が増加し、警戒レベルが上がっていると報道されるパリの中で、どんな運営がなされていたのか!?

<前編>【ガンバレ日本のJr.!】全仏Jr.帯同コーチがコロナ禍の海外遠征を決意〔アジア通信特別編①〕

Profile


文・写真:沢田昌昭
「Team Macy Project」(タイ・日本代表)。98年にバンコクでMMT(MacyTennisTeam)を設立し、ジュニアの育成とITFに特化した活動を続け、14年にはジュニア育成の新しい独自のビジョンを求め「MaSea Academy=スポーツと教育の共存」をスタート。ITFジュニアは、ツアーコーチとして今年で21年目。これまで多くの日本人ジュニアの遠征を担当してきた。現在はITFプロとジュニアのツアーをサポートする「Team Macy Project」を主宰。タイ、ミャンマー、ネパールのデ杯やナショナルチームのスタッフ、コーチも務め、幅の広い経験を生かし選手育成に情熱を注いでいる。

〔アジア通信特別編②〕
何もないオフィシャルホテルで
複数回のPCR検査

10月1日、私と三井駿介、長谷川愛依は、バルセロナからパリに移動し、全仏オープンジュニアのオフシャルホテルに入りました。

例年であれば、他のグランドスラムでは我々だけでアパートを借りて、大会期間中を過ごすのですが、今回の出場条件は「オフィシャルホテルに宿泊すること」でした。出場選手同士のルームシェアやレストランの使用もNG。基本、各部屋でそれぞれが隔離されます。しかし、部屋には冷蔵庫やポット、グラス、ごみ箱もありません。さらに部屋の清掃やタオル交換、ランドリーサービスもなく、最低レベルでの隔離でした。


部屋には冷蔵庫など何もなく、窓も少し開くだけ

果たして、外国の選手やコーチたちがおとなしく外出もしないで、隔離を実行できていたのだろうか…と疑問も感じますが、大会側からは「ずっと部屋にいろ」「24時間監視をする」とも言われていました。ですが、大会が進むにつれてそれも緩くなり、今ではロビーにウーバーイーツを取りに行ったりもしています。 


ホテルの食事は紙袋に入れたものやプレートがドアの前に置かれる

チェックインを済ませて、まず行われるのが、PCR検査を受けること。

今大会では、女子ダブルスのジュニア選手とコーチから陽性反応が出たようですが、会場で練習をするためには、2度のPCR検査を受けなければなりません。検査ルームはホテル内に設置しており、そこで1回目のPCR検査を受けました。検査を受けると、右手首に黄色のバンドが巻かれます。



検査を受けると黄色いバンドを手首に巻かれる

結果は、部屋に電話が来ると言われましたが、結局来ず…。丸一日ほど待機した後、1回目の結果が聞けないまま、2回目を受けて結果を聞かず、練習会場入りしました。

もし陽性であれば、各エリアの入退場時にプレーヤーパスについているIDチェックで止められます。そのため、私たちは陰性だったのだろうと理解しました。そして、大会3~4日目で、3回目のPCR検査を受けました。



PCR検査後、フランスのナショナルテニスセンターで練習



大会期間中もPCR検査を実施

〔アジア通信特別編②〕
姿を変えたローラン・ギャロス
寂しさもあるが開催に感謝!

観客に関しては、1万5000人→5000人→1000人と計画が削減されました。また、この時期のパリの天候も雨や寒い日が多く、会場は「これがグランドスラムか…」と思うほどかなり寂しいものでした。          



ロッカールームやプレーヤーズレストランの使用制限やジムの縮小、ランドリーサービスの制限(大会4日目から可)等、選手側の負担になることが多々ありました。その一方で、関係者だけが使用できるアプリを利用した各種サービス(ホテルの予約やミールクーポン=食券、試合の動画、写真がもらえる)は良かったと思います。 



パリの感染状況も深刻になりつつある中での開催なので、不自由さや不便さは仕方のないこと。一部、トッププレーヤーが発した大会へ不満がメディアでクローズアップされますが、ほとんどのプレーヤーやコーチ、スタッフ、ゲストは、この厳しい環境下でも、大会を開催してくれたことを心より感謝しています。もちろん、我々も感謝しかありません。


残念ながら初戦で敗れた三井駿介 (c)Takeo Tanuma


ワイルドカードをもらい、ダブルスに出場した長谷川愛依 (c)Takeo Tanuma


ペアを組んだ松田絵理香(c)Takeo Tanuma


初戦をマッチタイブレークで勝利した長谷川/松田ペア

全仏オープンジュニアでは、長谷川愛依がワイルドカードをもらい、松田絵理香と組んでダブルスに出場することができました。地元フランスの選手でもなければ、有名クラブ出身の選手でもない彼女たちがワイルドカードをもらったことは、非常に珍しいことだと思います。

もちろん出場権をくれた理由はわかりませんが、スーパーバイザーにアピールしたことが奏功したのかもしれません。メールも何通も送り、毎日あいさつをしに行く。言うまでもなく、グランドスラムというのはそれだけで出場できるわけではありません。彼女の実力に加えて、「出場したい」という気持ちが伝わったからこそ、ワイルドカードがもらえたのだと思います。

グランドスラムジュニア初勝利を手にしました。また、別の記事で報告したいと思いますが、プロや海外の大学を目指すにあたって非常に重要な1勝になりました。

<前編>【ガンバレ日本のJr.!】全仏Jr.帯同コーチがコロナ禍の海外遠征を決意〔アジア通信特別編①〕

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現在全仏オープンJr.で活動する沢田氏に、大会後にレポートをいただく予定。改めて見た「真実の全仏」を後編としてお伝えしたい。

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