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2016.08.20

メーカーズボイス

"テニスラケットの名器" 人々を魅了し続ける Pro Staffの系譜

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"テニスラケットの名器" 人々を魅了し続ける Pro Staffの系譜

Wilson Pro Staff。これこそ"テニスラケットの名器"と呼ぶべきだろう。
32年前の1984年、歴代最多優勝109勝を誇るレジェンド、ジミー・コナーズとウイルソンの共同開発によって「Pro Staff MID」は誕生した。その名前は、ウイルソン契約の伝説的選手ジャック・クレーマーが使用していたウッドラケットと同じものだ。ラケットの完成度が高いからこそ、同じ名前が冠されたことは想像に難くない。そのPro Staffが2001年までの17年間もの間、長らく発売されていたというのが何よりの証拠である。



「85平方インチ」、「フレーム厚17mm」も特徴的だが、忘れてはいけないのがフレーム素材に「ケブラー」を用いたこと。防弾チョッキなどに使われる素材で引っ張り強度の高いケブラーは、17mmのフレーム厚とは思えないボールの食い付きと、弾きの良さを発揮した。そしてその最大の特徴は<PWS>。PWS(Perimeter Weighting System=周辺加重機構)は、1978年に取り入れられたシステムで、ラケットフェイス面の3時と9時方向に"重り=ウエイト"を加えるというもの。そうして周辺を加重すると、ボールを捕らえた時のフェイス面の揺れ(ブレ)を押さえることができるのが特徴で、それがコントロール性や打球感の良さにつながるのだ。このPWSは、Pro Staffシリーズだけでなく、BURNやULTRAなどのラケットにも搭載されていることから、初搭載から36年を経ても"色あせない技術"と言うことができる。さらにPro Staffを使用した主なプレーヤーの名前は、それこそ圧巻である。コナーズ、クリス・エバート、ステファン・エドバーグ、ピート・サンプラス、ジム・クーリエ、シュテフィ・グラフ、ロジャー・フェデラー...歴代の世界ランクNo.1となった王者、女王たちに愛されるラケットだったのだ。
※1993年にステファン・エドバーグが使用していた「Pro Staff Classic 85」というモデルが数量限定で発売されている。(通常販売モデルはラウンド形状タイプ)



トッププロが使えば、一般ユーザーも追随する。110平方インチのデカラケ隆盛の中、85平方インチを扱えるのは上級者で、「憧れのラケット」と感じていたユーザーも少なくないはず。加えてセント・ビンセント製、シカゴ製、台湾製など工場にこだわる人まで現れたのも、「Pro Staff MID」の絶大な人気を表していると言っていいだろう。

 そしてこのPro Staffが大きく生まれ変わったのは2002年のこと。伝統のダブルブレード製法に強靭なハイパー・カーボンを加えた「Hyper Pro Staff 6.1」が誕生したのだ。これがPro Staffで初めて90平方インチを採用したモデルとなり、その後の進化の序章となったモデルだ。(日本発売モデルはラウンド形状の95、106のみ。フェデラーはボックス形状の90平方インチを使用)

※実はこの2年前の2000年に、ハイパー・カーボンを搭載した Pro Staff 2000 Limited Editionが2000本限定で発売されている。そして翌年の2001年には爆発的人気の影響を受け、Pro Staff 2000 Special Editionが1000本のみ追加で発売されている。



翌2003年には「Pro Staff Tour 90」を発表。これは当時32歳となり、新時代のパワーテニスの波に飲み込まれつつあったピート・サンプラスが今一度タイトルを取るために、WilsonがHyper Pro Staff 6.1を進化させたモデルだ。 またスロート部分にサンドペーパーのようなざらついた手触りを再現することで、シングルハンドのサンプラスが、左手でラケットを引く際に求めたこだわりの感触を実現していた。(結果的にサンプラスは試合ではこのラケットを使うことなくUS OPENで引退を表明した。その後にラケットの進化を受け入れなかったことを後悔する発言も見られた)
※日本で発売された90平方インチのPro StaffはこのPro Staff Tour 90が初めてのモデル。



そして2004年にはナノテクノロジーを採用した「n Six. One Tour 90」を発表。(このラケットから3世代は商品名からPro Staffという名が消されることに。)グラファイトファイバーの隙間をナノレベルのシリコン・オキサイドを埋めることで、ラケットのパワーを向上したモデルだった。

また2006年には、フェデラーとウイルソンの現役生涯契約締結を記念して、3時9時部分のストリグスホールピッチが広がった「n Six. One Tour 90 Federer」が数量限定で発売されている。このモデル以降からフレームにフェデラーのサインがプリントされることになった。


さらにパワーの向上は図られ、2007年に「[K] Six.One Tour 90」が発表される。これはシリコン・オキサイドにカロファイト・ブラックを加えることで、更なる剛性を高めたモデルだった。

 その後は"より良いフィーリン"を求めた進化が始まり、2010年に衝撃、振動をスムーズな信号に変えるバサルト・ファイバーを搭載した「Six. One Tour BLX 90」が発表される。このモデルはその打球感も非常に評価の高いモデルとして人気を博した。



2012年には再びPro Staffの名前を冠した「Pro Staff Six. One 90」が発表される。これは更なるクリアな打球感を生むために、グリップ内部までバサルト・ファイバーを採用したモデルだった。

そして「90平方インチ」、「フレーム厚17mm」を採用した最後のモデル「Pro Staff 90」が2014年に発表される。このモデルは素材の進化により、使用されなくなっていたケブラーを再び採用したモデルだった。その打球感は古きPro Staffを髣髴させる打球感ではあった。 (フェデラーはツアーで使用することはなかった。)

これらのPro Staffが守ってきたのは、フレーム厚17mm、85-90平方インチ、ボックス形状のフレームを貫いてきたということ。 しかし時代と共に変化する現代テニスに対応するため、大きな進化を遂げることになる。


そのキッカケとなったのが、フェデラーの要望で開発された2014年発表の「Pro Staff 97」である。このPro Staffは、フェース面積は97平方インチ、フレームがボックス形状とラウンド形状を組み合わせた50/50フレーム、フレーム厚は21.5mmへと変化。スイートエリアの拡大、パワーアップ、面安定性、いずれの部分でも進化させた歴代最高モデルとなる。



しかし、その最高作ですらも、フェデラーにとっては、満足できないものだった。"感触を良くしたいんだ"、その要望に対するウイルソンの答えとなったのが、最新のコーティング技術、「VELVET PAINT(ベルベットペイント)」である。

1984年に誕生した"テニスラケットの名器"は今日現在、形状、素材、コーティングに改良を加え、史上最高のパフォーマンスを発揮するラケットに進化し、まさにパーフェクトな一本となったのだ。








Pro Staff 97S
価格:37,000円+税
フェイスサイズ: 97平方インチ
レングス: 27インチ
ウェイト: 310g
バランスポイント: 32.5cm
フレーム厚: 19.5mm
グリップサイズ: 2、3
ストリングパターン: 18×17
推奨テンション: 50-60p
2016年9月発売


Pro Staff 97LS
価格:34,000円+税
フェイスサイズ: 97平方インチ
レングス: 27インチ
ウェイト: 290g
バランスポイント: 32.5cm
フレーム厚: 23.0mm
グリップサイズ: 1、2
ストリングパターン: 18×16
推奨テンション: 50-60p
2016年9月発売


Pro Staff 97ULS
価格:31,000円+税
フェイスサイズ: 97平方インチ
レングス: 27インチ
ウェイト: 270g
バランスポイント: 32.5cm
フレーム厚: 23.0mm
グリップサイズ: 1、2
ストリングパターン: 18×16
推奨テンション: 50-60p
2016年9月発売

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