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2021.09.02

選手情報

観客の「ワクチン接種証明の提示義務」を大会直前に発表した背景[USオープン]

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本戦3日前に観客への「ワクチン接種証明の提示義務」を発表したUSTA

USオープンは、当初100%の観客を入れて開催と発表していた。最初は、予選でも同様にファンを入れて開催予定だったが、ニューヨーク市の要請などもあって無観客開催に。予選の観戦を楽しみにしていたテニスファンやジュニアたちにとっては残念な反応となった。

【動画】観客からの歓声がこだまする入場シーン


それというのも、予選は無料で観戦ができる期間だからだ。試合だけでなくトップ選手の練習を見学できる。本戦では味わえない興奮があったのだ。それに、オフィシャルグッズの売り場もオープンしていて、本戦より、早く購入できるというメリットもある。

現状、アメリカでは新型コロナウイルスのワクチン接種を進めたことで、規制を緩和することができている。しかし、変異株の流行などもあって、再び感染拡大しつつあるのが実情。そういった状況を踏まえての決断だから仕方ないものではある。

経緯としては8月中旬に、ニューヨークのデブラシオ市長によって、室内レストランでの飲食時に「ワクチン接種証明の提示」を義務化し、さらに各種企業・団体の接種も義務化となった流れがある。それを受けて、USTA(アメリカ協会)もUSオープン観戦には「ワクチン接種証明の提示が必要」と発表したのだが、そのタイミングは予選決勝が行われた8月27日(金)、本戦開始3日目と少し遅いものだった。

ニューヨーク市がワクチン接種証明提示を施工して10日以上経過してからの発表だから、もちろん遅いと批判も少なからず出ている。なぜ遅れたかというと、その背景には、スター選手たちの欠場があるようだ。今大会、ロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)、ウイリアムズ姉妹といったツアーの顔が欠場したことはご存じのはず。スターたちの欠場によってチケット販売が伸び悩むことを懸念し、決定・発表が遅れたというのが背景にあるのだろう。

早い段階で「ワクチン接種証明提示必須」というアナウンスをすると接種をしていないテニスファンのチケット購入はなくなるからだ。ちなみにアメリカのワクチン接種率は61.9%である。

個人の自由を尊重するアメリカにあって議論の対象となるところだが、その発表後、ディスカウント・チケット(割引販売サイト)の価格が下落。初日、午前中の出足こそ悪かったものの、結果的に会場内は大勢の人でにぎわい、観客のほとんどはマスクはせず、20ドルするカクテルやビールが飛ぶように売れ、歓声を上げる。
当初の予測より、観客動員が少なくなることも織り込み済みの100%観客動員のグランドスラムの是非は大会終了後に結果が出ることになる。

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