初の世界一を獲得した日本ジュニア代表を引っ張る皆さん、こんにちは。小田凱人(岐阜インターナショナルテニスクラブ)です。今回、「2021BNPパリバ・ワールド・チーム・カップ」の日本ジュニア代表として世界一になることができました。まず優勝できたことを何よりもうれしく思っています。【動画】ITFも大注目!!小田凱人選手インタビュー[聞き手:上地結衣選手]をチェック【関連記事】日本ジュニア代表初の世界一に[2021BNPパリバ・ワールド・チーム・カップ]大会に行く1ヵ月ほど前から自分のテニスの調子を大会期間中にピークに達するよう準備していました。その中で、上手くいかない時もありましたし、調子が良くないこともありました。ただ“世界一になりたい”という思いを持って、必死に練習し、結果的に好調のままイタリアに出発することができました。現地に着いてからは、色々な国の選手と会ったり、久しぶりに会う選手と交流したり、イタリアン料理を食べたり(笑) たくさんの刺激をもらえました。また現地での練習は自分でもビックリするくらい調子が良く、少しホッとしました。予選リーグは難なく勝利し、試合を重ねるごとにチームの雰囲気も自然と良くなっていった気がします。決勝リーグ1回戦目では車いすテニス大国でもあるオランダとの対戦でした。そこでは苦しい試合もありましたが、持ち前のチーム力を生かし、チーム全員で乗り越えることができました(2勝1敗で勝利)。決勝イギリス戦では第1試合で敗戦絶対に負けられない場を
“作ってくれました”ついに迎えたイギリスとの決勝戦、第1試合に高野頌吾(トップアスリートグループ/同11位)選手が出場しました。結果的にはセットカウント0-2で敗戦。第2試合に出場する自分に絶対に負けられない場を“作ってくれました”。というのも僕は負けられない試合、プレッシャーのかかる試合の方が好き。だからプレーもいつも以上に調子が良かったです。結果的に、自分の試合は2-0で勝利。第3試合のダブルス勝負になりました。第2試合と第3試合の間に設けられた45分の休憩の間に全員で作戦を出し合い、何度も何度も気合いを入れていきました。そして迎えたダブルスに、出場したのは高野選手と僕です。日本チームの皆さんからものすごく熱い声援をいただいたおかげもあり、序盤から相手を圧倒し、2人ともすごく調子の良い立ち上がりで第1セットを6-2で奪取します。第2セットでは、3-5と追い込まれましたが、2人で話し合い、相手の調子を狂わすようなテニスをし、タイブレークに持ち込みました。そこからは、僕らの調子は絶好調となり、常にリード。そしてチャンピオンシップ・ポイント、僕のサーブポイントで優勝を決めました。世界一になった瞬間は、本当に心の底から声が湧き出て、この瞬間をもっと味わいたいと思いました。その後、SNSなどでたくさんの方からメッセージももらい、そこで自分たちが成し遂げたことの大きさに改めて気づいた気がしました。これは裏話になりますが、試合が終わって部屋に帰ってからは3人でずっと“ヤバイヤバイ”としか言っていませんでした(笑)今回の遠征の中で自分たちが得たものは、優勝という形のあるものだけではなく、形のない何か特別なものもたくさん得られたと強く感じました。それを得られたのは日ごろから応援してくださっている皆さんのおかげです。心から感謝しています。これからも色々ことを経験し、学び、たくさんの人に応援していただき、認知してもらえるようまた新しい車いすテニス界を創っていこうと思います。2021BNPParibasWorldTeamCupイタリア大会 日本ジュニア代表結果■グループラウンド<グループ2/1位>
対ブラジル:3勝0敗/対アルゼンチン:3勝0敗/対トルコ:3勝0敗
■ノックアウトラウンド(決勝トーナメント)
[準決勝]対オランダ:2勝1敗
高野×7-5、2-6、2-6○R.グレンナウド
小田○6-0、6-1×M.テルホフテ
小田/高野○6-3、6-2×グレンナウド/テルホフテ
[決勝]対イギリス:2勝1敗
高野×3-6、2-6○D.ワード
小田○6-2、6-2×B.バータム
小田/高野○6-2、7-6×バータム/ワード
Profile小田凱人 TOKITO ODA■所属:岐阜インターナショナルテニスクラブ■ジュニア世界ランク1位■9歳で骨肉腫を発症。左足が不自由になったため、大好きだったサッカーをあきらめ、車いすテニスの世界へ。そのきっかけは、国枝慎吾(ユニクロ)選手の活躍を病床で見て、心動かされたから。2019年の楽天ジャパンオープン出場時には、その国枝から「将来日本を背負っていく選手になる」と太鼓判を押されている。世界ジュニアチャンピオン、世界ジュニアランキング1位という目標を共に史上最年少で達成した今では「国枝選手に勇気づけられたように、自分も、病気で苦しんでいる誰かの希望になりたい」と願い、史上最年少での世界ランキング1位を目標に日々練習に励んでいる