モヤ、全豪オープン決勝はナダルが「まだトップで戦えるということを証明するもの」
今年最初のグランドスラム、全豪オープンで男子では史上最多となるグランドスラム21度目の優勝を果たした世界ランク5位のラファエル・ナダル(スペイン)。そのコーチを2016年末から務めるカルロス・モヤ氏は、その戦いぶりについて、試合の先を読む「知性」で補うことができていたとスペインメディア『Punto de Break』に語った。
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全豪オープン決勝でナダルは、ダニール・メドベデフ(ロシア/同2位)に対し、第1、第2セットを落とすと、第3セットでも2-3で0-40という絶体絶命のピンチを迎えた。モヤ氏自身、この状況は「マッチポイントに等しい」という。だが、ナダルは一つずつポイントを積み重ねて、大逆転劇を演じた。ナダルがグランドスラムで2セットダウンから逆転勝利を手にしたのは、2007年ウィンブルドン以来である。
昨年8月、慢性的な左足の怪我によりツアーから離れていたナダルだが、症状が改善しなければ、引退の危機にあった。その苦難も乗り越えて、前哨戦で優勝を果たすと全豪オープンでロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を抜いて、グランドスラム21勝目を手にしたのだ。
その強さの秘訣についてモヤ氏は、「ラファが求めているのは、競争力を持って進化し続けること。時とともに、フィジカルやスピード、爆発力が落ちるものだが、一方でより賢くなり、状況に対応できるようになる。ラファはコート上で最も知的な選手の一人で、試合の先をよく読む選手。プランB、プランCがあり、彼はすべてのアルファベットを持っているとも言ってもいい」とこれから先、肉体の衰えが見えてきても、苦しい状況を何とかして打開することができる“知性”があると言う。
「相手に亀裂があったり、わずかな隙を見つけて、崩せると判断すると、そこからポイントを奪っていくんだ。全豪オープンの決勝がその例で、最初は悪かったがその後少しずつ変化していった。それこそが彼のアドレナリンで、彼がまだトップで戦えるということを証明するものだった」
さらに、モヤ氏はコーチに就任した2016年末のことを振り返り、「一緒に話をすると、彼はとてもやる気に満ちていた。もう一度グランドスラムで勝ちたいと思っているのを見て、何でも起こりうることだと確信したんだ」とナダルの熱量に感銘を受けたとし、改善点を修正していった。すると、2017年全豪オープンで決勝に進出。続く全仏オープンでは、3年ぶり15度目のグランドスラム制覇を成し遂げた。
「彼がキャリアを伸ばすためには、リスクを取らなければならなかった。だから、常に変化を受け入れることができたのは彼の功績だ。みんな、彼が持っているクオリティーに気づいていない。彼に何を提案しても、それを実行するんだ」とよりテニスが上達するため、グランドスラムで勝つため、ナダルにはアドバイスを素直に受け入れる度量があるとした。
ナダルがグランドスラム21勝目を挙げ、フェデラーとジョコビッチの記録を上回った。だが、これからも続くであろう“史上最高のテニス選手”を議論するGOAT論争に惑わされないようにすることが重要だとモヤは主張。
「オーストラリアでは21勝目の話はしなかった。というのも目前に迫っていたし、それが起こりうることだと思っていたからだ。その話をすれば、彼は今まで以上にプレッシャーを感じることになるしね。そのような議論はマスコミやファンに任せている」と目の前で起きていることに集中することが重要だとし、「ラファは今の状態に満足していて、もし自分が21勝で終わって、ジョコビッチが25勝したとしても同じように満足するだろうね。もちろん22勝目を手放すつもりはないが、彼ら(ジョコビッチ、フェデラー)が現役である以上、意味のない議論だ」と語った。
次戦は21日より開催されるATP500アカプルコ大会で指導するとしているナダル。今年6月で36歳を迎え、これからどのような進化を遂げていくのか楽しみだ。
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