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2022.09.05

選手情報

連日大観衆のUSオープン、コロナ対策は最低限、マスク着用者もほぼなしで開催中

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外で試合を見る人も大勢いる

「マスクを着用するリスクの方がコロナのリスクよりも大きい」

「本日のナイトセッションの観客動員数は過去最多の記録となりました」。現在開催中のUSオープン2022、報道陣の拠点となるメディアルームでは、何度となくこのアナウンスが流れている。まるでパンデミック前に戻ったような状況だ。現地のアメリカ人は新型コロナウイルスの現状についてどう捉えているのかを取材した。

【写真(7点)】観客動員がすごい今大会、外で応援する人たちも大勢!

大会1週目、観客動員に一役買ったのは、今大会後の引退を示唆したセリーナ・ウイリアムズ(アメリカ/世界ランク605位)の存在である。アメリカを代表するレジェンドの最後を伝えようと報道も加熱すれば、その姿を見ようとセレブもスタジアムに足を運ぶ。セリーナ戦では、チケットが買えない多くの人が外のビジョンで応援するという事態にもなった。ここ数年、新型コロナウイルスの脅威を感じながらの開催となっていたのが、嘘だったかのような盛況ぶりだ。

政府が黒人層に実験的な行為を行った過去*もあって、ワクチン接種が無料でも接種率が上がらず問題となっていたのも過去のこと。会場内のほとんどの人はマスクなしで会話をし、会場内にあるバーでは試合を見ながら、カクテルを飲んで大声で会話する。

アメリカ人の観客は新型コロナウイルスの現状をどう捉えているのか?
会場で話を聞いてみる。パヴォンさんによると、2人のお子さんが通う学校では、3月にマスク着用が個人の選択となり、翌日から20人中1人だけ着用になったとのこと。その1人は高齢の祖父母が同居しているために着用を続けているが、基本的にはコロナ前の学校生活に戻っていると教えてくれた。また現地の日本人学校に3人の子供が通っているオキセンダイン家も、マスクの着用義務がなくなったと語ってくれた。

両家族の話で共通しているのは、現在の新型コロナウイルスは、重症化するリスクが低いと認識しているということ。かつてロックダウンをしていた時は異なり、インフルエンザや風邪に近いものという認識がアメリカでは広がっているのは事実だ。
興味深いのは「普段マスクを着用するリスクの方がコロナのリスクよりも大きい」という言葉。パヴォンさんは「相手が表情を読み取れないことは教育上コミュニケーションの問題になると、保護者と学校側の話し合いで意見が出た」と語ってくれた。

USオープン会場での、感染症対策はどうかというと、屋外で見つけた消毒ブースは一箇所だけ。しかしながら、選手に対応するスタッフや関連施設では当然マスク着用義務がある。例えば、記者がいるプレスルームでは着用義務はないものの、記者会見が行われるインタビュールームではマスク義務がある。選手に対する配慮だが、最低限と言えるものだろう。

日本でも新型コロナウイルスへの今後の対応が話し合われている現状だが、アメリカの例は一つの参考となるはず。近い将来、日本でもこういった状況が現実となるのかもしれない。

*=1932年から1972年まで、政府がアフリカ系アメリカ人の人口比率が多数を占めるアラバマ州のタスキーギで行っていた「タスキギー梅毒実験」。梅毒を治療しなかった場合の症状の進行を長期にわたり観察・研究していたが、被験者らに真実は伏せられ、ペニシリンが効果的な治療薬として発見された後も治療されないまま放置されていた



■USオープン2022
・大会日程/2022年8月29日(月)〜9月11日(日)
・開催地/USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター(時差13時間)
・賞金総額/6,010万ドル(81億7,390万円)
・男女シングルス優勝賞金/260万ドル(3億5,360万円)
・サーフェス/ハードコート(レイコールド)

【特集】USオープン2022の記事はこちら




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