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2022.09.05

選手情報

キリオス、世界1位メドベデフ撃破で8強!「グランドスラムの決勝に進むために何が必要なのか、そのプロセスがわかってきた」[USオープン]

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キリオス「このスポーツに捧げられるものがまだ残っている」

現地9月4日、USオープン男子シングルス4回戦が行われ、第23シードのニック・キリオス(オーストラリア/同25位)が、ディフェンディングチャンピオンの第1シード、ダニール・メドベデフ(世界ランク1位)を7-6(11)、3-6、6-3、6-2で下し、同大会で初の8強入り。「(2016年の)世界ランク13位だった頃の自分とは違う」と成長したと述べ、「グランドスラムの決勝に進むために何が必要なのか、そのプロセスがわかってきたような気がする」と語った。

【動画】メドベデフでも触ることができない! キリオスの柔らかすぎるドロップショット&マッチハイライト

この日の試合、速いテンポのテニスを得意とするキリオスは、メドベデフの長いストローク戦にも我慢強く対応。加えて、安定感のあるサービスゲームでプレッシャーをかけ続け、第1セットをタイブレークで奪うと第3セット以降はブレークを許さず。セットカウント3-1で下し、王者メドベデフから前哨戦「ナショナル・バンク・オープン」(カナダ・モントリオール/ATPマスターズ1000)に続いて勝利を挙げた。

試合後の会見でキリオスは、「第1セットが一番重要だった。もし、彼が第1セットを取っていたら、僕がカムバックして勝つことは不可能だっただろう。ただ、自分では正しいプレーができたとは思う。今日は信じられないようなリターンができた。第3、第4セットはとても自由にできたし、アーサー・アッシュ・スタジアムでのすべての瞬間を楽しんでいたんだ。誇りに思うよ」と勝因を述べた。

一方で、「喜びすぎないようにしたよ。まだ4回戦だし、準々決勝進出を勝ちとったというだけ。アーサー・アッシュ・スタジアムで世界No.1を倒したことは素晴らしい経験だけど、祝いたくないんだ。なぜなら、あと9回対戦したら、おそらくほとんどが彼にやられてしまうと思うからね」と謙虚な姿も見せている。

今季は、出場数を制限しているものの、ウィンブルドン準優勝や今大会の前哨戦で3年ぶりのツアー優勝、そしてダブルスでも全豪オープンで親友のタナシ・コキナキス(オーストラリア/同70位)とのペアでグランドスラム優勝を果たすなど素晴らしいシーズンを過ごしている。

そして、今大会で世界ランク1位のメドベデフを破り、今季トップ10から6度目の勝利を挙げて大会初のベスト8。「自分の弱点が改善されたことは間違いない。今年の初めに、自分が何を直さないといけないかを分析し、一生懸命に取り組んできた。かつて世界ランク13位だった頃の自分とは違う。それよりも上だと思う」と、キリオスは自身の成長を誇りに感じているとした。

というのもキリオス自身、3年前にうつ病であったとし、自傷行為をしたことがあると告白。キャリア最初の6、7年間はどのような結果が出たとしても精神的に安定することがなく、どう対処すればいいかわからずに自分を責めすぎていたという。そのメンタルが成長し安定したことで、この結果が生まれたのだとした。

「精神的に苦しんでいた時はとても利己的だったように思う。自分が悪い、プレーをしたくないと感じていた。そして、身近な人たちを見ると自分がどれだけ彼らを失望させているかがわかり、これ以上そんなことはしたくないと思ったんだ。それから自分のキャリアを振り返って、このスポーツに捧げられるものがまだ残っていると感じた。休んで、まずは体調を整えよう、そしてもっといい状態にしようとしたんだ」

今ではすべてを受け入れ、「グランドスラムの決勝に進むために何が必要なのか、そのプロセスがわかってきたような気がする」と手応えを感じている。

キリオスにシード数やランキングは関係ない。人々をがっかりさせず、どのようなプレーで見ている者を魅了するかが彼のモチベーションだ。グランドスラム優勝にはあと3勝が必要。今大会で実現させることができるだろうか。

準々決勝では、第27シードのカレン・カチャノフ(同31位)と対戦する。


■USオープン2022
・大会日程/2022年8月29日(月)〜9月11日(日)
・開催地/USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター(時差13時間)
・賞金総額/6,010万ドル(81億7,390万円)
・男女シングルス優勝賞金/260万ドル(3億5,360万円)
・サーフェス/ハードコート(レイコールド)
・使用球/[男子]ウイルソン「USオープン・エキストラ・デューティ」、[女子]ウイルソン「USオープン・レギュラー・デューティ」

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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma