奈良くるみ「頑張れているということは、辞めてもいいのかなと」
現在開催中の「東レ パン パシフィック オープン」(東京・有明/WTA500)限りでの引退を表明している奈良くるみ(安藤証券/世界ランク238位)は、予選決勝でイザベラ・シニコワ(ブルガリア/同222位)に6-0、5-7、0-6で敗れ、本戦進出とはならず。シングルス最後の試合を終えて、「1つの後悔もない」と語った。
【画像】奈良くるみの母国での引退を投稿したWTAの公式SNS
17日に行われた予選1回戦でニコール・メリチャー(アメリカ)を下し、本戦入りにあと1勝としていた奈良。だが、予選決勝は第1セットを6-0で奪ったものの、第2セット以降は徐々にギアの上がったシニコワの強打に対し、足がついていかず逆転負け。ラッキールーザーで本戦入りが叶わない限り、キャリア最後となったシングルスの試合を終えた。
オンコートインタビューで「今日という日を絶対に忘れない」と、この2日間で多くの観客が観戦に訪れたことを感謝した奈良。最後の戦いを見届け、今大会のダブルスのパートナーでもある同い年の土居美咲(ミキハウス/同107位)に対しても涙をこぼしながら「みーちゃん(土居)と最後までできるというのも幸せですし、一緒に頑張ってきたので、最後までベストを尽くしてダブルスが残っているので気持ちを切らさず頑張りたい」と述べた。
引退を決断したのは、今年5月から6月にかけて韓国で行われたITF2万5000ドル大会で優勝した直後のこと。「説明がつかないんですけど、ふと今シーズン、これで辞めることが私にとっていい道だと。降ってきたじゃないですけど、ツアーを1年間回って戦うことがこの世界。それを考えた時に自分のフィジカル、精神的な部分も衰えてくると思っていたし、そういうのが引退につながった」と、来シーズンのことを考えられなくなっていたという。
そして、「逃げるように終わることは自分のキャリアの中でしたくないなというのがあった。(韓国で優勝し)頑張れているということは、辞めてもいいのかなと」とキャリアに一区切りをつけた。
「これが最後かもしれないと思ったり、コートに入って観客の姿を見ると、ちょっと感極まってしまう」と感情が乱れそうになったと言うが、キャリアのラストマッチを終えた直後は、悔しいとしながらも「自分のベストは尽くせたと思いますし、やりきったなという今の気持ち」と語った奈良。
やり残したことについても、「自分でも意外だったんですけど、よくアスリートの皆さんが引退されるときに、『後悔はありません』という言葉を聞いて、どこか自分では絶対にあるだろうって。あっても悪いことじゃないと思ってましたし、本当にそんなことを思えるのかと正直聞いて思っていたんですけど、自分がそういう立場になって、振り返ると本当に一つの後悔もないと言えることが自分でもびっくりしました。後ろ向きになる時期もありましたけど、どうにか自分を鼓舞して頑張って来れましたし、決断的にも『もしかしたらあの時こうしていれば』と言うのはあるのかもしれない。けれど、その時その時にこれが自分を強くできると思ってやってきた選択なので、1つの後悔も今はないです」とした。
身長155cmと小柄だが2014年にはツアータイトルを手にし、全豪オープンとUSオープンで3回戦進出。自己最高ランキング32位という成績を残した奈良のキャリア最後の試合となるダブルスは、ジュニア時代からともに日の丸を背負ってきた土居とのペア。1回戦では、ソフィア・ケニン(アメリカ/ダブルス同249位)/リュドミラ・サムソノワ(ダブルス同365位)と対戦する。
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