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2022.10.11

選手情報

〈フェデラーGS20勝プレイバック16〉負け越していたマレーを決勝で退け、父親になってから初のグランドスラム・タイトルを獲得!/2010年全豪オープン [リバイバル記事]

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フェデラーが獲得したグランドスラム20勝(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を一つずつプレイバック(写真は2010年全豪オープン)

2010年全豪オープン
大会4度目の優勝&グランドスラム16勝目!

9月23日、イギリス・ロンドンにて開催されたレーバーカップを最後に現役引退したロジャー・フェデラー(スイス)。フェデラーがこれまで達成したグランドスラム優勝20回(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を、当時の写真とともに振り返る。

※『テニスクラシック・ブレーク』2010年3月号に掲載したものを再編集した記事になります

【動画】多彩なショットで主導権を握ったフェデラー! 2010年全豪オープン決勝「フェデラー×マレー」をチェック

【当時の写真】2010年全豪オープン優勝を決めた瞬間や当時のプレー写真はこちら

2010年シーズンが始まる前のオフには年間1位、ヨーロッパの記者投票による全スポーツ界の年間MVPを受賞するなど、あらためて存在感を示していたフェデラー。しかしながら、シーズン開幕後はアブダビのエキジビションマッチでロビン・ソダーリング(スウェーデン)に敗れ、前哨戦のドーハ大会でも準決勝で前年の最終戦に続きニコライ・ダビデンコに敗退。やや不安含みのスタートとなっていた。

だが、全豪オープンが始まってみると、1回戦から4回戦までは順調に勝ち上がってきた。そして準々決勝では、前哨戦に引き続き好調だったダビデンコと対戦。第1セットは素早い動きと質の高いボールを返し続けたダビデンコに2-6で取られ、第2セットも先にブレークを許し、ゲームカウント1-3とリードされる。しかしフェデラーは、ここから急にボールを打つタイミング、ボールへのスピン回転量、サーブで狙うコース、そして集中力とテニス全体のレベルを2段ほど上げ、なんと一気に13ゲームを連取。第2セット6-3、第3セット6-0、第4セット2-0と逆転してしまう。その後、フェデラーのペースが少し落ち着いたスキをつき、ダビデンコが5-5まで持ち直したものの、ゲームを締めるべく再びギアを上げたフェデラーが2ゲームを連取し、ゲームセット。フェデラーが集中力を高めた時の強さをあらためて見せつけた、という試合だった。

続く準決勝、全豪オープン2度目の決勝進出を目指すジョー・ウィルフリード・ツォンガ(フランス)との一戦でも絶好調のフェデラー。試合後にツォンガが「フェデラーはボールを返してくるタイミングがものすごく速いんだ。彼が今日みたいなプレーをしたら、誰も勝てないだろうね」と言ったように、ツォンガの持ち味である華麗なフットワークとフラットドライブ系で打ち込む威力あるストロークを上回るフットワークと展開力で攻めたフェデラーがストレートで勝利した。

そして迎えた決勝戦の相手は、準々決勝でラファエル・ナダル(スペイン)、準決勝でマリン・チリッチ(クロアチア)を下して勝ち上がってきたアンディ・マレー(イギリス)。フェデラーの対マレー戦の過去の成績は4勝6敗と負け越していたものの、フェデラーは決勝戦前に「彼が僕に勝っているのは、僕がケガや病気を抱えている時が多いんだ。また3セットマッチでは確かに負けているけど、5セットマッチの試合では負けていない(2人がグランドスラムで戦ったのは2008年USオープン決勝のみでフェデラーが勝利)。3セットマッチの試合だったら、第1セットを取られると少し焦るけど、5セットマッチではメンタルと体力もすごく重要な要素となるから、それほど焦らないよ」と自信をのぞかせていたように、第1セットを先取したのはフェデラー。ラリーの中で、マレーはスピンをかけて丁寧に返していくのに対し、フェデラーはスピン、スライス、回り込みフォア、角度のついたアングルショットと多彩なショットを繰り出し先にゲームを展開して主導権を握り、第2セットもフェデラーが6-4で奪取する。

第3セットでは、このままではいつまでたってもプレッシャーをかけられた状況を打開できないと考えたマレーが、それまではフェデラーの攻撃をカウンターすることが目立っていたが、クロスラリーから先にストレートに切り返したり、回り込みフォアで強打をしたり、ネットに出たりと主導権を奪う意欲を見せる。その成果があり、先にマレーがブレークに成功。フェデラー・サーブの第6ゲームを破り、一時5-2とアップする。だが、そうして攻めを厳しくすると、それにつれてミスも増えるもの。5-3アップで迎えた自分のサービング・フォー・ザ・セットとなった第9ゲームをフェデラーがブレークする。その後はお互いサービスキープが続き、ゲームカウント6-6でタイブレークに突入する。

このタイブレーク、先にマレーがミニブレークし、6-4とセットポイントのチャンスを2回握る。しかしさすが大事な場面で強さを発揮するフェデラー、ここから2本連続ポイントを取って6-6とすると、その後はマレーのセットポイントとフェデラーのマッチポイントが交互に行き来する緊迫した展開に。最後は12-11とフェデラーが3本目のマッチポイントを迎えた第24ポイント目で、それまで5回のセットポイントを取り切れなかったマレーのバックハンドがネットしゲームセット。フェデラーがタイブレークを制し、2004年、2006年、2007年に続き4度目の全豪オープンのタイトルを手に入れた。

【2010年全豪オープン/フェデラーの試合結果】
決勝/対A.マレー(イギリス) 6-3 6-4 7-6(11)
準決勝/対J-W.ツォンガ(フランス) 6-2 6-3 6-2
準々決勝/対N.ダビデンコ 2-6 6-3 6-0 7-5
4回戦/対L.ヒューイット(オーストラリア) 6-2 6-3 6-4
3回戦/対A.モンタニェス(スペイン) 6-3 6-4 6-4
2回戦/対V.ハネスク(ルーマニア) 6-2 6-3 6-2
1回戦/対I.アンドリーブ 4-6 6-2 7-6(2) 6-0

【次の記事】〈フェデラーGS20勝プレイバック17〉GS17勝目を挙げ、世界ランク1位に返り咲き! No.1在位も通算286週で歴代トップに並ぶ/2012年ウィンブルドン [リバイバル記事]



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写真=山岡邦彦(NBP) Photos by Kunihiko Yamaoka