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2022.10.18

選手情報

〈フェデラーGS20勝プレイバック17〉GS17勝目を挙げ、世界ランク1位に返り咲き! No.1在位も通算286週で歴代トップに並ぶ/2012年ウィンブルドン [リバイバル記事]

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フェデラーが獲得したグランドスラム20勝(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を一つずつプレイバック(写真は2012年ウィンブルドン)

2012年ウィンブルドン
世界1位奪還&No.1在位通算記録もトップのサンプラスと並ぶ

9月23日、イギリス・ロンドンにて開催されたレーバーカップを最後に現役引退したロジャー・フェデラー(スイス)。フェデラーがこれまで達成したグランドスラム優勝20回(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を、当時の写真とともに振り返る。

※『テニスクラシック・ブレーク』2012年9月号に掲載したものを再編集した記事になります

【動画】フェデラーが2012年ウィンブルドン優勝を決めたポイントをチェック!

【当時の写真】2012年ウィンブルドン優勝を決めた瞬間や当時のプレー写真はこちら

過去2年ウィンブルドンではベスト8に甘んじ、さらにラファエル・ナダル(スペイン)やノバク・ジョコビッチ(セルビア)の台頭により世界ランキング1位への復帰も困難と見られていたこの時期のフェデラー。前哨戦のハレ大会では決勝でトミー・ハース(ドイツ)にストレート負けを喫し、本番のウィンブルドンでも、3回戦のジュリアン・ベネトー(フランス)戦では2セットダウンしてからの逆転勝ち、続く4回戦のグザビエ・マリース(ベルギー)戦では、試合の序盤に腰の不調を訴えてプレーのレベルがダウンし、テクニックと駆け引きで何とか勝利をもぎ取るなど綱渡りの状態。このウィンブルドンのフェデラーは1週目で姿を消していてもおかしくないような場面がいくつもあった。それでも準々決勝ではミカエル・ユーズニーをストレートで、準決勝ではジョコビッチを3-1で退け、決勝へ進出した。

決勝の相手は、1936年のフレッド・ペリー以来76年ぶりの地元イギリス人男子選手の優勝を期待されていたアンディ・マレー。フェデラーの対マレー戦は過去7勝8敗と負け越しているが、芝では今回が初対戦。晴天の下、センターコートの屋根を開けて始まった試合は序盤、マレーのペースで進んだ。自身のグランドスラム初優勝やセンターコートを埋めたファンの期待というプレッシャーも感じさせず、深い懐から繰り出されるいかにも重そうなストロークでフェデラーのミスを誘い、マレーが1セット目を6-4で先取する。

第2セットに入ると、マレーはストローク戦にとどまらず果敢にネットへ詰めて難しいボレーもこなし、フェデラーを攻撃。そうしてフェデラーには再三にわたってサービスダウンのピンチがあったのだが、これらをしのいだのはいずれもマレーのミスではなく、フェデラー自身のサービスエースやストローク、スマッシュ、ボレーが決まってのポイントだった。好スタートに見えたマレーだったが、ゲームカウント5-6で迎えた自身のサービスゲームでは、30-40からフェデラーがバックボレーを決めブレークに成功し、あっけなくこのセットをフェデラーが奪取する。

第3セット、お互いにサービスキープで迎えたフェデラー・サーブの第3ゲーム、フェデラーから40-0となった場面で、降雨により試合が中断。再開後は、屋根を閉めてのインドアゲームとなった。屋根を強く叩く雨の音をも切り裂くように、両者の激しい打球音がセンターコートに響く。この環境の変化に見事対応したのは、フェデラーのほうだった。高い精度を誇るフェデラーのショットは、太陽の光や風といった外的要因から解放されたことでさらに精度が高まり、正確にショットを打ち込んでマレーを追い込んでいく。

そして、ゲームカウント3-2とフェデラーがリードしたマレー・サーブの第6ゲームで、マレーは40-0とゲームポイントを迎えていながらも、ここからフェデラーが追い上げを見せ、実に10回に及ぶジュースの末フェデラーがブレーク。この間、フェデラーはまだ芝がたっぷりと残り、滑りやすいサービスエリアにドロップショットを放ち、それが駆け込んだマレーの転倒を誘うなど、環境や状況を的確に判断したフェデラーの選択が際立った。この約20分にも及んだゲームをフェデラーが取ったことで勝負は決定的となり、フェデラーが第3セットを6-3で奪うと、第4セットも6-4で取り、優勝を決めた。


これでフェデラーは、憧れだったというピート・サンプラス(アメリカ)さんに並ぶウィンブルドン7勝目、グランドスラム通算17勝目、そしてジョコビッチを抜いて約2年ぶりに世界ランク1位の座に返り咲いた。また、この優勝によりNo.1在位期間も通算286週となり、それまで歴代トップだったサンプラスさんの記録に並んだ(※世界ランク1位在位期間の記録は、現在ジョコビッチが通算373週でトップ)。

【2012年ウィンブルドン/フェデラーの試合結果】
決勝/対A.マレー(イギリス) 4-6 7-5 6-3 6-4
準決勝/対N.ジョコビッチ(セルビア) 6-3 3-6 6-4 6-3
準々決勝/対M.ユーズニー 6-1 6-2 6-2
4回戦/対X.マリース(ベルギー) 7-6(1) 6-1 4-6 6-3
3回戦/対J.ベネトー(フランス) 4-6 6(3)-7 6-2 7-6(6) 6-1
2回戦/対F.フォニーニ(イタリア) 6-1 6-3 6-2
1回戦/対A.ラモス・ビニョラス(スペイン) 6-1 6-1 6-1

【次の記事】〈フェデラーGS20勝プレイバック18〉ナダルとの決勝を制し、5年ぶりのグランドスラム優勝! 35歳で見事なカムバックを果たす/2017年全豪オープン [リバイバル記事]



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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma