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2022.12.22

選手情報

早期釈放となったベッカー氏、「命を落とすと思った」と涙ながらに刑務所生活を明かす

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元世界1位ベッカー氏「ただ床を見ていた」と辛い服役生活を告白

元世界ランク1位で通算6度のグランドスラム優勝を成し遂げたボリス・ベッカー氏は、今月15日にイギリスの刑務所を釈放され、母国ドイツに帰国。テレビ局のインタビューに応じ、刑務所で脅迫を受けたことや辛い日々があったと語った。

【動画】元世界王者ボリス・ベッカー氏 現役時代のプレー集

現役時代、ベッカーはプロ2年目となった1985年のウィンブルドンで、大会史上最年少の17歳7ヵ月で制覇。1991年には、世界ランク1位にもなり、1999年の引退までに通算6度グランドスラムを制している。また、引退後は、2013年〜2017年までノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチを務め、6度のグランドスラム優勝に導いたレジェンドである。

しかし、2017年6月の破産後に250万ポンド(約4億1600万円)ほどの資産を隠していた罪などにより、4月に2年半の禁錮刑と判決を言い渡されていたベッカー氏。本来なら、刑期の半分を終えてから釈放されるというが、外国人向けの国外退去プログラムにより早期の釈放。2012年から住んでいたイギリスを離れ、母国ドイツに帰国した。

ドイツのテレビ局『SAT.1』のインタビューに応じたベッカー氏は、涙を流しながら刑務所での恐ろしさを語り、「ワンズワース(刑務所)で命を落とすと思った」と告白。さらに、別の刑務所に移送されても、危害を加えると脅迫されたという。

そんな刑務所での暮らしについて、「午後8時に独房の扉が閉まると、次にいつ開くのか誰も教えてくれず、その時に自分の世界が崩壊し、考え込んでしまうんだ。絶望し、怖くなって、何冊か本を買って読んだ。平日の食事はいつも同じで、米とジャガイモ。日曜日にはローストしたチキンが出てきた」とコメント。自分の存在を気づかせないように、「ただ床を見ていた。誰の目にも触れさせず、動揺させたくなかった。(刑務所は)危険で、汚い場所だった。殺人者や児童虐待した人、麻薬の売人など、あらゆる種類の人間に出会うんだ」と緊張感のある生活だったとした。

2年半の刑期の半分も経たず、釈放となったベッカー氏だが、「昔の自分を再発見できた」とする。「辛い教訓を学んだよ。でも、この出来事は僕にとって重要で、良いことを学んだ。刑務所の中ではただの番号“A2923EV”と呼ばれ、ボリスとは呼ばれなかった。つまり、僕が誰であるか気にしないということだ」と語った。

ベッカー氏の判決が決まった時、彼の指導を受けていたジョコビッチは、「ただただ心が痛む。 彼は長年の友人であり、3~4年にわたってコーチしてくれた。私の人生の中で親しいと思う一人で、私のキャリアの成功に大いに貢献してくれた」と感謝の言葉を並べつつ、「彼が刑務所に入らなければならないこの期間を乗り越えて、出所してきたときには、“普通”という言葉が合うかどうかわからないけど、自分の人生を送ることができるようになっていることを望んでいる」と、華やかな世界で生きてきたベッカー氏の再起を望んだ。辛い日々を乗り越え、今後、ベッカー氏はどのような人生を送っていくのだろうか。

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