――今年の末までの短期的な目標を教えてください。現在600位台のランキングを年末までに300位台まで上げたいと思っています。そのためにチャレンジャーやフューチャーズに多く出場し多くのポイントを取りたいですね。目標を達成するために必要なことを常に考え、それに向かって試合や練習を続けています。最近はチャレンジャーでも200位台のランキングの高い選手に勝つことができているので、プロとしての戦い方に少しずつ慣れてきていると感じます。――ラファ・ナダルアカデミーのインスタグラムで、実際にラファエル・ナダルと一緒に練習されているのを拝見しました。ナダルから学んだ大切なことがあれば教えていただけますか?ラファとプレーするのはとても特別なものです。彼はとても素晴らしいメンターです。彼は僕と話すことを楽しんでくれていて、それが嬉しいです。僕もたくさん質問をします。彼はクレーコートでのティップスをたくさん教えてくれます。彼は手の動きやスキルよりもフットワークが何より重要だと教えてくれました。彼のような素晴らしいプレーヤーが僕の近くにいてくれることに感謝しています。
――プロとしての生活は簡単なものではないと思います。世界中を転戦しながらコートでは一人で戦い、結果も一人で受け止めなければなりませんよね。その中でリラックスしたり、ストレスを発散したりする方法を教えてください。誰もが知っていることですが、テニスプレーヤーとして生きることは簡単ではありません。テニスプレーヤーはいつもテニスのことを考えます。そのためリフレッシュする際はテニスのことを全く考えないようにします。友達と出かけて映画を見たり、僕は食べることが大好きなのでおいしいレストランを見つけて訪れたりするのが良いリラックスになります。それからスペインには美しいビーチがたくさんあるので、ビーチに行くのも好きです。僕の良いところは、オフの時はとことんテニスのことを考えないでいられるという特性があることですね。――無類の寿司好きと記憶していますが、ラファ・ナダルアカデミーのあるマヨルカでも寿司を食べますか?寿司は食べられますが、残念ながら日本や香港で食べていたのとは少し違います。でも美味しいですよ!――プロになって感じた一番のチャレンジは何ですか?ジュニアとプロは完全に異なります。プロは人生の全てをテニスにかけています。その点、プロはテニスの捉え方が異なるように思います。彼らにとっては生活の中心にテニスがあり、僕もそれを学んでいるところ。それからプロは1ポイントも簡単に相手に与えない。そして、苦しい場面こそ絶対にポイントを相手に渡さないので、プロとして試合に勝つのはとても大変です。でもこのような素晴らしいプロと高い緊張感の中で試合をするのが僕は大好きです。――プロとして生活するにあたり大きな犠牲というものはあったのでしょうか。常に転戦しているので、当然普通の生活は送れません。テニスに全てを捧げなければいけないからね。僕にとっては、数年にわたるコロナ禍で家族に会えなかったのがとてもつらかったです。最長1年2ヵ月も家族に会うことができませんでした。僕にとっては、家で家族と一緒にいる生活を送れないというのが一番の犠牲だと言えますね。――プロとして成功するために最も大切な精神とはどんなものですか?テニスプレーヤーは、たくさんの試合をしますがいつも勝てるわけではないのでメンタル面の強さは必須です。負けが続いても諦めないこと、連敗中でも自分を信じ続けること、テニスを信じ続けることが何より大切だと思います。たくさんの負けが続くことでバーンアウトしてしまう選手もいます。自分への信頼を失うことがプロとして一番してはいけないことなので、自分を信じることが何より大切だと思います。――あなたにとって良いプレーヤーと最高のプレーヤーの違いは何ですか?良いプレーヤーは、苦しい局面でパニックになったり、恐れを感じて本来のプレーができなくなったりすることがある。一方、ラファのように本当に素晴らしいプレーヤーというのは、苦しい局面でさらにレベルアップする。そこが大きな違いで、プレッシャーの扱い方が大きく異なりますね。――最後にテニスの最も好きな点を教えてください。勝つ瞬間が明らかに一番好きですね。とはいえ、負けたとしても新しい発見や次へのチャレンジがあります。そしてまた世界中の選手と戦うことができます。素晴らしい選手たちとたくさんの試合をできることがテニスの魅力です。これからも世界中の素晴らしいプレーヤーと試合がしたいですし、それができるのがテニスの一番の魅力だと感じています。終始とてもフレンドリーにインタビューに答えてくれたコールマン・ウォン。プロとして戦うことを心から楽しむことができる根っからのファイターだと改めて感じたインタビューとなった。短期的な目標としてATPランキングで300位、そしてその後は更なる高みを目指して邁進する同選手の活躍に引き続き注目していきたい。文/山根ゆずか
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