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2020.07.15

メーカーズボイス

ハイブリッド張りのためにーー『ルキシロン・ナチュラル』に 施された【4つの工夫】

A5ランクの牛肉は旨い
ではA5ランクのナチュラル・ガットは?

A5ランクのナチュラル・ストリング、なんてものがあったら、ウイルソン、そしてルキシロンのナチュラルは選ばれるのだろう。

牛肉のランク付けは多くの方がご存じかと思う。実はアレ、味の評価ではない(アルファベットは肉の量の評価で、数字は色や締まり、キメ、脂肪の色・質、脂肪の入り具合の評価)らしいのだが、結果的にA5ランクの状態の肉が評価されているのは事実。どのブランド牛生産者もそれを目指して作っているわけだ。
ウイルソン&ルキシロンのナチュラルの原料となっているのは「オーガニック・グラス・フェド・カウ(無農薬牧草で飼育された牛)」。それは、ある意味、ナチュラル・ストリングを作るために育てられているといっても過言ではない。


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なぜ、オーガニックなのか?
それは前回でもご紹介したとおり、βカロチン、ビタミンE、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれている牧草で飼育されることで、よりしなやかなストリングになるから。約100年前、作っていた本来のナチュラル・ストリングを復活させるべく、その牛の腸を求めたわけだ。しなやかさは、折り曲げてみれば一目瞭然。一般的なナチュラル・ストリングがくっきりと白く跡が付き、角ができるのに対して、「オーガニック・グラス・フェド・カウ」の腸で作られたものは、折り曲げる前とほぼ変わらない。これが、ボールを捕らえた際のたわみ(ダンピング)でどういう違いを生み出すのか? 想像すればわかるだろう。






『ルキシロン・ナチュラル』に
施された【4つの工夫】

さて、今回ご紹介するのはルキシロンの「ナチュラル」である。

前回ご紹介したウイルソンの「ナチュラル」とは、素材も工場も一緒。だが出来上がった商品のパフォーマンスが違うからこそ別名を冠している。
前回ご紹介したWilson Naturalが「昔ながらのナチュラル本来のフィーリングを堪能できるモデル」と言うならば、今回ご紹介するLUXILON NATURALは「現代のパワー&スピンテニスのために生まれたモデル」。そう言えるほど違う商品なのだ。

それは、現在、ATP、WTAなどプロツアーの中では4割以上が「ナチュラルとポリエステルストリングのハイブリッド張り(近年はポリポリハイブリッドが徐々に増えてきているが)」でプレーしているという状況の中で求められる「ポリエステルストリングスの性能を引き出すナチュラル」を具現化したモデルだと言える。

ナチュラルとポリエステルストリングのハイブリッド張りのための進化が4つある。

1つはストリングの表面に、『低摩擦コーティング』を施していること。多くの選手がナチュラルとポリエステルストリングのハイブリッド張りにたどり着く道筋は、ポリエステルストリングス単体では発揮できないフィーリングを求めての場合が多い。それはパワーとスピン性能に長けたポリエステルストリングスにマイルドな打球感をプラスするというものである。
であるならば、このハイブリッド張りに加わるナチュラルに求められる要素は、ポリエステルストリングス並みのスナップバック*を可能にする“低摩擦係数”である。
*=打球時に、ストリングがずれて戻る動きのこと。このズレ幅、戻る速度が大きくなるとスピン量が増える。ウイルソンには、縦のストリング本数が横の本数より、多くすることで、スナップバックを最大化させる特許技術「スピン・エフェクト・テクノロジー」がある。

そして、ポリエステルストリングスとのハイブリッドで、プレーヤーが求めるマイルドな打球感を生み出すには、前回ご紹介した8つのリボンで生成されたWilson NATURALのマイルドさでは不足だと言われる。そのため、LUXILON NATURALではリボンを9つに増やして生成し、Wilson NATURAL以上のしなやかさを発揮している。これが2つ目の特徴である(もしとにかく柔らかいNATURALを求めるのであれば、LUXILON NATURALを100%張りするのも手だろう)。
契約プレーヤーの内山靖崇プロは、「ボールが上がりやすい」として、『ルキシロン・ナチュラル』をクロスにチョイスしているという(メインはルキシロン「アルパワー」を使用)。また、ボルナ・チョリッチもその打ち味を気に入り、使用している。




そして3つ目は、ストリンガー想いの配慮と言える。ハイブリッド張りの際、わざわざストリングを伸ばして真ん中を見極めるという行為が不要になるように、あらかじめストリングの1/2部分にマーキングが施されている。時間に追われることのある、ツアーのストリンギングの中では特に、これが非常に大きな助けになるそうだ。
最後に、これはプレーヤーがNATURALを保管する際に、残った半張りの劣化を防ぐためのストックバッグ機能が設けられているということ。

何から何まで、パワー&スピンを求める現在のテニスが生み出した「ナチュラルとポリエステルストリングのハイブリッド張り」のために開発されたNEW NATURALなのだ。






分かる人には分かる質の良さ
あなたは感じ得るだろうか?

「結局、鮮度がいいというのか、その良さが分かる人には分かるものなんですよ」――日本人唯一のウイルソン・オフィシャル・ストリンガーである細谷 理さん(神奈川・茅ヶ崎/オンコートラケットオーナー)は、「たとえば、サシが入ったお刺身がありますよね。あのサシは脂肪です。一般的なナチュラル・ストリングの場合、そのサシみたいなものが入っています。あれも脂肪です。そういったものが少ないのがウイルソン、そしてルキシロンのナチュラルなんですよ。不純物が少ない分、当然、質のいいナチュラル・ストリングになる。価格的には少し上がるけれど、質がいいからパフォーマンスをより長く発揮してくれる。その登場によって、ナチュラルに対してのイメージも変わってきているように感じています」と語ってくれた。

確かに、打ち味などの感覚は人によって異なるケースがある。ただ耐久性や長持ちするといったものは、絶対的なもの。だからこそ、ナチュラルに対するマイナスイメージを覆すことになっているのだろう。

これまで『ルキシロン・ナチュラル』では、1.25mmと1.30mmを販売してきたが、今年5月に、細い1.20mmのゲージが追加されている。ナチュラル・ストリングの場合、天然素材であるがために、細くすることは容易ではない。ところが、9本というリボンの数で細いゲージを作ることができたというのは、ルキシロンのテクノロジーがあってこそなのだという。


1本張りで楽しみたいならウイルソンの「ナチュラル」
ハイブリッドで楽しみたいなら「ルキシロン・ナチュラル」(もちろん1本張りで楽しむのもOK)
あなたは、どちらで試してみたいだろうか?
いずれにせよ高価なナチュラル・ストリングだが、安いものを選ぶと安かろう悪かろうになるということ。結果的に高いものを選ぶことで持ちも良くなる。

あなたが使ってみたいナチュラル・ストリングは“A5ランク”のものだろうか? それとも“メタボ牛”のものだろうか? 
価格にして税別12,000円。それだけの価値があるナチュラルなのだ。



➡︎Wilson Web Magazineは毎週水曜日更新!次回(2020/7/22更新)は「ナチュラル・ストリングを使ったハイブリッド張り」について 乞うご期待!!


★[Wilson Web Magazineバックナンバー(2011年1月号~2020年3月号)]
https://wwm.tennisclassic.jp/archive/backnumber/index.html

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