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2020.07.20

選手情報

NY便り「鉄人・ティエムはグランドスラムのタイトルに近い存在か」

新型コロナウイルスのパンデミックでツアーが中断されている中、多くの試合に出場し、ヨーロッパ各都市を回っている選手がいる。世界ランキング3位のドミニク・ティエム(オーストリア)だ。

7月13日からスタートした「bett1 ACES」(ドイツ・ベルリン)では、グラスコートで行われた第一戦、世界ランキング8位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を破り優勝。さらに、先週末、使用されなくなった空港内で行われた第二戦でも若手有望株のヤニック・シナー(イタリア)に勝利し、優勝を飾っている。

これらツアー中断中に行われたエキジビションマッチのティエムの戦績は、28戦25勝。敗れたのは、わずか3敗(A.ルブレフ、R.ガスケ、S.オフナー)と驚異の強さを発揮している。さらに、驚くべきことに、試合期間は5月27日から7月19日までのわずか54日間。単純計算で1.9日に1試合行っていることになるのだ。試合を行った4ヵ国(オーストリア、セルビア、フランス、ドイツ)を移動し、コートサーフェスもクレー、ハード、グラスで戦っている。トップ10選手の中でもこれほど試合を行っているものティエムだけ(次に多いのがベレッティーニの17戦)。彼を“鉄人”と表現してもおかしくない。

この10年間、グランドスラムは、ほぼ“BIG4”(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレー)によって支配されてきた(2010年以降、BIG4以外の優勝者はチリッチとワウリンカのみ)。その中で、ティエムもツアートップレベルの試合量で経験値を重ね、力をつけてきた。昨年は、ジョコビッチと並ぶシーズン5勝を挙げ、ツアー優勝は通算16度。今年、自己最高ランキングを更新し、世界ランキング3位を記録している。

<過去5年のティエムの戦績>
2019年 68戦49勝19敗 ツアー優勝5度
2018年 74戦54勝20敗 ツアー優勝3度
2017年 77戦50勝27敗 ツアー優勝1度
2016年 82戦58勝24敗 ツアー優勝4度
2015年 64戦36勝28敗 ツアー優勝3度

そのティエムが目指す標的は、“グランドスラム優勝”。これまでグランドスラム決勝は3度経験したが、全仏オープン(2018年、2019年)ではナダル、今年の全豪オープンではジョコビッチに敗れ、辛酸をなめている。
しかし、今年はフェデラーがケガによりツアー離脱。さらに、ナダルもUSオープンをスキップする可能性も報じられており、唯一、ジョコビッチがハードコートでの練習を開始した模様が伝えられている。

その中、アメリカ『テニスチャンネル』では、今年のグランドスラム優勝者予想が行われ、コメンテーターを務めているグランドスラム通算3勝の元世界1位、ダベンポート氏はUSオープンをティエムが、全仏オープンをナダルが優勝すると予想。フェデラーの元コーチ、ポール・アナコーン氏は、ジョコビッチとナダルのどちらかが、一つずつ優勝すると予想したコメントを残している。

この中断期間中のハードワークがティエムのグランドスラム優勝への礎となるのか。楽しみだ。

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写真=田沼武男 Photos by Takeo Tanuma