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2019.03.21

メーカーズボイス

“FEDERER 100 WINS” R.フェデラー通算100勝の軌跡 ミラノ室内の優勝からすべてがスタートした

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「100勝を達成できるなんて、夢のようだよ。ここまで長く素晴らしい旅路だった。すべての瞬間が忘れられない。簡単なことではないし、犠牲も多い。だからこそ、大きな価値もある。まだプレーできていることを幸せに思う」――ロジャー・フェデラー(スイス)



3月2日、フェデラーは、ドバイ選手権決勝でS.チチパス(ギリシャ)に6-4、6-4とストレートで勝利。ついにキャリア100勝の偉業を達成した。現役では、もちろん歴代最多。歴史上でも、100勝以上達成は、J.コナーズの109勝だけという快挙だ(コナーズからは「スリーディジットクラブ(3ケタクラブ)にようこそ。誰もいないから寂しかったよ(笑)」とTwitterで祝福が来て、「会員になれて光栄(笑)」とフェデラーが返すやり取りがある)。

1998年にプロ転向となったフェデラーにとって、記念すべき初タイトルは、19歳で迎えた2001年のミラノ室内だった。「室内ではいいプレーができていたけれど、実際、あの大会で優勝するとは予想していなかった。ホッとしたし、最高の気分だった」とフェデラー。イギリス・BBCでは『次世代のスターの一人が現れた』と報道されている。 ちなみに、このシーズンはウィンブルドンでは4連覇中のサンプラスにフルセットの末に勝利するという伝説の戦いを演じた年でもある。翌2002年、ハンブルクでマスターズ初制覇。この年3勝。トップ10入りを果たし、年間最終ランキングは6位となっている。

フェデラーはここからさらに加速する。
2003年(年間11勝)、ハイライトはやはりウィンブルドンでのグランドスラム初制覇だ。決勝では、M.フィリポウシスにストレート勝ち。優勝の瞬間、ヒザ立ちとなり歓喜したシーンはハイライトだ。「私のキャリアの中で最も重要な試合だった」と後に振り返っている。この年は、ツアー最終戦“マスターズカップ(現Nitto ATPファイナルズ)”で初優勝を果たし、キャリアハイとなる2位で終了。



翌2004年は、さらに飛躍する。まず全豪オープンを制覇すると、世界ランク1位に。そこから、快進撃を続け、USオープン初制覇も含めて11勝。2005年も、ウィンブルドン、USオープンとGS2勝をあげるなど、年間11勝をあげた。

2006年は、全豪、ウィンブルドン、USオープンを制覇し、年間12勝! 全仏のタイトルさえ奪えれば、年間グランドスラムの達成だったが、決勝でR.ナダルに惜敗。2007年は年間8勝。このシーズンも、全豪オープン(全試合ストレート勝ち!)、ウィンブルドン(ビヨン・ボルグ以来となる5連覇)、USオープンとグランドスラム3勝。全仏では、またも決勝でナダルに敗れている。





2008年4勝をあげると、2009年は新たな記録を作る。全仏初制覇を果たし、キャリア・グランドスラムを達成したのだ。続くウィンブルドンで2年ぶりの優勝。サンプラスが持っていたグランドスラム通算優勝数14勝を抜かし、通算No.1となった。2010年(5勝)は、全豪で当時最多タイとなる4勝目。2011年(4勝)では、ツアー最終戦で歴代最多となる6勝目をあげている。




2012年(6勝)では、ウィンブルドンで史上最多タイとなる7度目の優勝。翌2013年は背中の痛みに苦しんで1勝どまりとなる。当時はPro Staff Six. One 90を使用したシーズンだったが、シーズン途中から黒塗りのラケットを使用していたことを覚えている人もいるかもしれない。それは、2014年のUSオープン直前に、「Pro Staff 97 RF Autograph」(2代前の赤を基調としたコスメ)としてお披露目されている。フェイスサイズを拡大するなど、さまざまな工夫をしたことは、このシーズン5勝と復調したことに大きく影響しているだろう。翌2015年は6勝。しかし、2017年は故障に泣く。まずは全豪直後、痛めた左ヒザに内視鏡を入れる手術。3月、復帰を果たすが、直後に今度は背中を痛めてしまう。再度復帰するが、ウィンブルドン準決勝(対ラオニッチ)で転倒、再び左ヒザを痛め、“オリンピックの断念、および残りシーズンの休養”を宣言。2000年以来となるシーズン0勝となった。


普通なら、ここでキャリア終焉となるかもしれない。しかし、フェデラーは違う。2017年、ぶっつけ本番で臨んだ全豪オープン、第17シードで臨むと決勝進出。ナダル戦に勝利して、5年ぶりとなる17度目となるグランドスラム制覇を果たす。その後、インディアンウェルズ、マイアミの両マスターズで優勝を果たすと、ウィンブルドンで5年ぶり8度目の優勝。結果的に7勝をあげると、シーズンを2位で終える。迎えた2018年、まず全豪で連覇を果たし、グランドスラム20冠を達成。翌2月、ロッテルダム大会で97勝目をあげると、世界№1に返り咲く。その後、シュツットガルト、バーゼルでも勝利して、99勝。100勝に王手をかける。

そして今年3月、ドバイ選手権での100勝達成。そのセレモニー前、2020年の同大会出場が発表されている。つまり、懸念される引退はまだ先ということだ。フェデラーは、キャリアの中でシーズン4勝を挙げたシーズンが16度ある。2017、2018年は7勝、4勝。それを考えると、コナーズの数字を抜く可能性も見えてくる。まずは2019年シーズン、どんなプレーを見せてくれるか? 半年以上あるシーズンでの“リビング・レジェンド”の一挙手一投足に注目が集まる。

数字で振り返る「フェデラーの優勝」




★[Wilson Web Magazineバックナンバー(2011年1月号~2020年3月号)]



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