ジュニアのレッスンで人気のあるコーチの特徴とは、何だろうか。あるいは、自分が生徒の際にコーチに求めるものは、何だろうか。そのなくてはならない一つが、テニスを教える熱量だ。

今回、取材協力をいただいた「Greenburg Indoor Tennis」のGM兼ディレクターであるクラウディオ・アルマンディ氏のレッスンを見ていると、生徒がうれしそうにコートに入ってくる。「クラウディオ ! 今日何やるの?」生徒のイキイキした表情からは、まさに「テニスが楽しみで仕方ない!」という雰囲気が伝わってくる。
5~6歳が中心のレッドボールクラスクラウディオ氏の特徴は、よく話し合いをすること。テニスに関係ない話題も含めその生徒一人一人に寄り添い、耳を傾けるのだ。そして時には、隣のコートのコーチや親御さんまで巻き込みながらレッスンを劇場のようにする指揮者のような場の作り方が、見ているだけでもとても楽しく感じた。
コミュニケーションは対等にクラウディオ氏はルーマニア生まれで両親と共にアメリカに移住。学生時代はテニスに明け暮れ、フロリダのテニスアカデミーでコーチングの修行を経て、ニューヨークエリアでコーチを始めた。その功績を称えられ、これまで数々の表彰を受けている。★2017/18 USPTA Eastern VOLUNTEER OF THE YEAR ★2014/15 USPTA Eastern PROFESSIONAL OF THE YEAR★2014/14 USPTA New England YOUTH COACH OF THE YEAR★2014/15 PTR Connecticut PROFESSIONAL OF THE YEAR
感染症対策を怠らない3年前に独立し、会社を設立。自身で行政に出向き、2面の公共テニスコートを使用する許可を得て、「Armandi Tennis Academy 」プログラムを取り組んでいる。クラウディオ氏は、「この街に税金もしっかり落としながら貢献する」という自分の理想とするクラブを育てている。それはすべてが手作りであるが、生徒もスタッフもこの地域にいる人、みんながハッピーであることが大事だという考えから生まれたものだ。
クラウディオ氏はパンデミックの状況下、クラブを閉鎖せざるを得なくなってしまった。しかし、レッスン生やシーズンでの面貸しのクライアントの協力を得て、返金をしない代わりに、(ニューヨーク州の許可後)エアードーム(冬用の簡易屋根)を外したアウトドアのコートで残額分のサマーキャンプ等を運用。現在は10月に始まる秋冬のインドアシーズンに向け資金調達を行なっている段階であると教えていただいた。この秋冬のコロナの影響についてクラウディオ氏は、「(何が起こるか)わからないし、考えていない」としながらも、「今はみんな(どのクラブも)何か足りないままやっていくしかない」と語った。さらに、インドアのテニスに関して、一定のプレーヤーに抵抗があることを認めた上で、今を大事にしながらクラブの都合ばかりではなく、「ニューヨーク州の規定とクライアントの意見を聞き、柔軟に対応する必要がある」とも言う。“いつも陽気なルーマニアン”という印象のクラウディオ氏だが、ただテニスを教えるコーチだけでなく、人と場所への投資を続けている。それは彼自身、現場のコーチの辛さを経験してきたからこそ、持っている視点であり、「人の輪が広がっていけば、テニスコートも増えていく」と考えているからだ。今、足場を固めながら自分のサービスが広がり、より良い環境でテニスが届けられるように、意気揚々と事務作業に取り組んでいた。ファンに愛されるコーチでなければパンデミックは乗り越えるのは難しい。クラウディオ氏もまた、強烈な個性と魅力を持ったコーチであることに間違いなさそうだ。
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