ウイルソンから11月に新発売となるBURN 100TOUR CV。そのスペックを見て、あのラケットを思い出した方は相当なウイルソン好き。これは2014年に、錦織圭の使用モデルSTeam PROの同シリーズとしてリリースされた、「STeam 100」が原型ともいえるモデルなのだ。「STeam 100」に関しては、多くの人がご存知だろう。そのホールド感、パワーが高く評価され、発売から3年以上経った今でも愛用するプレイヤーが多いモデルである。特に、当時10歳前後で、現在は14歳、または12歳以下の国内トップのジュニアがこぞって使用しているモデルでもあり、そのパフォーマンスの高さで、不滅の逸品であることを証明している。だからこそウイルソンは、その逸品を最新素材とともにリメイクし今回の発売に踏み切った。あの打ち味をキープしつつ、アップデートしたのだ。
構造はレクタングル(丸みを帯びた長方形)のフレーム形状で、ウイルソン独特のPWS(ペリメーター・ウェイティング・システム)が搭載されている。もちろんダブル・ホール(直径4.2mm)とパラレル・ドリルも採用し、錦織が好むやわらかめの打球感も踏襲されている。そして、彼が求めた「疲れないラケット」を叶えるCOUTERVAIL(カウンターベイル)も配合されているから、BURN 95CVのフェイスサイズ違いと考えればいい。
しかし、ウェイトを293gとし、バランスを33.0cmに設定したのが、このラケットを単なる大きめの錦織圭モデルとして捨て置けないものにしている。このウェイトとバランスが、操作性能とパワーを両立させているため、先述したように、幅広い層に指示を受けている要因となっているからだ。
もう少しBURNフラットビーム・シリーズのラインナップに沿って説明すると、錦織選手が創ったBURN 95CVは、上級者こそ使いこなせるモデル。日本のトップ選手でもそのパワーは制御できないというが、逆に制御できるから錦織選手はあのレベルにいるのだろう。そして錦織選手を創った、育てたといえるBURN 95J CVは、先述の上級者にストロークで対抗できるハイパワーモデル。
ベースラインの奥深くから高い弾道で飛びだし、ベースラインを目指して降下する、まるでキャプテン翼のドライブシュートを想像させる弾道を生み出す。そして、このBURN 100TOUR CVは、先述の上級者に、ストローク力とキレのあるネットプレーでオールラウンドに対抗できるモデル。どちらかというと、強烈なスピンというわけではなく、日向小次郎のタイガーショットのように、直線的に飛行する弾道をイメージしてほしい。 伊藤竜馬選手の打つボールは、鋭く伸びる直線的な弾道から「ドラゴンショット」と呼ばれている。その彼が愛用するモデルといわれれば、そのラケットの特長はまさに強烈な伸びだということは想像に難くない。
プロも使える強烈な伸びとキレが特長のBURN 100TOUR CVは、BURN 95CVの汎用モデルではなく、攻撃的なプレイヤー向けモデルだということが分かっていただけただろう。
そして、最後に伝えたいのが、「BURN 100TOUR CV」は、細部まで日本のプレイヤーの要望を取り入れて開発された日本限定モデルということだ。過去に人気を博したモデルの遺伝子を持つだけに、「BURN 100 TOUR CV」も、名作として支持を得ることはまちがいないだろう。