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2016.10.20

デイリートピックス

2016 楽天オープンREPORT

10月3日~9日(本戦)、有明テニスの森にて、今年も楽天ジャパンオープンが開催された。何と史上初となる前売り販売だけでのチケット完売、そして観客数10万人(100,103人)突破。満員の観客の前で、選手たちは躍動した。

錦織 圭
絶好調の出だしから一転
あまりに悔しい途中棄権


「体調は大丈夫でしょう。疲れがたまっていたのは事実ですが、帰国後はしっかりと休養が取れて、大会に向けた練習もできています」
 大会直前の公開練習後、錦織圭は大会に向けて万全とアピールした。この夏は、リオ五輪に北米シリーズ、USオープン、そして大阪でのデ杯プレーオフなど、例年以上に過密なスケジュールとなっていた。それもあって、デ杯ではダブルスに専念したし、その後、しっかり休養も取った。それは、すべて楽天ジャパンオープンで最高の結果を残すため。日本のファンの前でプレーできる同大会の重要度は、錦織にとってグランドスラムに匹敵するものだろう。



どの大会でも初戦というのは難しい物だ。大会直前に、ワウリンカが腰の問題で欠場もあって第1シードで臨むことになった初戦、いきなり思わぬことが起こる。対戦相手のアルマグロが棄権し、ラッキールーザーとして、ヤングが相手になったのだ。多少なりとも、作戦を練っていたはずで、それは試合の入りに影響したかもしれない。
サウスポーでフォアハンドを得意とするヤングは、サウスポー特有のアドコートからのワイドへのスライスサーブと、フォアハンドの強打が武器。第1セット、それに対して、錦織はなかなかリズムが作れず。キープ合戦となると、4-5で迎えた第10ゲーム、ダブルフォールトなどミスが続いて、ブレークされ、セットを落としてしまう。
しかし、それで慌てる錦織ではない。「あれが続くとも思っていなかった」と考えていたという錦織は、集中力を高めると、リターン、ストロークともに威力、精度がアップする。第2セット、第3セットを共に6-2。セットを奪われたものの勝利を収めた。
「初戦というのは難しいもの。決して簡単ではない。立ち上がりは、硬さも出てよくなかった。セカンドセットから自分のリズムを作ることができて、最終的にいいテニスができた」 セットは奪われたものの、最後はリズムを作って勝利。さすがのプレーだった。



その2日後に行われた2回戦の相手はソウザ。初対戦ながら「攻撃的な選手でストロークがいい」(錦織)と警戒を強めていた。
ソウザのサーブから始まった第1ゲーム、バックハンドで2本エースを決めるなど、いきなりブレーク奪取でスタート。続くサービスゲームは、デュースまでもつれるが、キープ。本人も「これだけ出だしがいいこともない」と語るとおり、最高の出だしだった。 しかし、第3ゲーム、問題が起こってしまう。4度のデュースの後、アドバンテージ錦織で迎えた14ポイント目、ドロップショットに対して、前に詰めて相手が返してきたボールを、ロブで決めてブレークすると、このチェンジオーバーでメディカルタイムアウトを取ることになった。
タイムアウト明け、錦織のプレーは、あまりにも痛々しいものだった。サーブを打つのもやっと、走るのもだましだましという感じなのだ。0-4とリードしていたこともあるかもしれないいが、それ以上に、日本での大会だから棄権したくないという想いもあったはず。それでも3ゲーム、何とかプレーを続けて4-3で迎えたサービスゲーム、15-30となったところで途中棄権を申し出た。
「試合中、にでん部を痛めました。痛みが引かず、(プレーを)止めることにしました」

 記者会見、まずそう語った錦織。「第3ゲーム最後のプレーのどこかで痛めたこと」「臀部にここまで痛みが出るのは初めてだということ」を語ると、楽天ジャパンオープンで途中棄権となってしまったことについて、「悔しい、というより、信じられない...。急になってしまい、今は受け止められない」と胸の内を語った。
翌日、発表された検査結果によると、左でん部の軽度の肉離れ。休養とリハビリをした後、10月24日から始まるスイス・バーゼル大会での復帰を目指す、とのリリースが出された。

悪い話ばかりではない。10月12日には、ジョコビッチ、マレー、ワウリンカに続いてツアー最終戦出場が決定している。ツアーを回っていたら、簡単に休養が取れるわけでもない。この機にしっかり治して、フレッシュな姿を見せてくれるはず。3年連続での出場となるツアー最終戦は、いつも以上に楽しみになりそうだ。

ダビド・ゴフィン
「後悔していることはない」
初の東京で見せた可能性

「僕らは体格が似ている。ビッグサーブはないけれど、同じくストロークを武器としている。ただ、すべての面で少し彼が僕を上回っているね」
 3回戦でソウザに勝利したあとの記者会見、勝ち上がっていれば対戦することになっていた錦織 圭についての印象をゴフィンはこう答えている。

確かに、リターンを得意としていて、フォアハンド、バックハンドいずれでもエースを奪える力があるゴフィンと錦織のプレーは、重なる部分がある。
1回戦は西岡(7-5、6-2)、2回戦ベセリー(6-3、7-5)、そして準々決勝のソウザ(1-6、7-5、6-2)といずれも勝利。しかし、ソウザ戦の第1セットは「寝ているようだった」と語るなど、低調だったようだ。それでも、試合の中で調整できるのは、さすがトッププレーヤーである。
リターンから攻めて、ストロークでは走り回る。そして、特にフォアを武器にして、エース級のショットを放つ。たとえ、ブレークできなくても、簡単にはキープさせない。ボクシングで言うなら、序盤から繰り出したジャブが徐々に効いていき、ダウンを奪う。そんな勝ち方だった。



準決勝のチリッチ戦も同様の戦い方だった。対戦成績は2勝0敗。共に「調子が良かった」ということもあって、相性の良さもあったのだろう。

キープが続いた第1セット、第8ゲームで先にブレークされたが、直後の第9ゲームでリターンが効いて、すぐにブレークバック。さらに第11ゲームでは、アドバンテージを握ると、ラリーからバックハンドでダウン・ザ・ラインにエース。ブレークすると、続くゲームをキープして第1セットを奪った。



第2セット、チリッチも強打を繰り出すが、主導権は握らせなかった。リターンで攻めて、1本でも多く拾う。先にミスを犯したのはチリッチだった。第2セットは6-4、決勝進出を決める。

 互いに勝てばATP500初優勝となったキリオスとのファイナル。序盤からキープに苦しんだが、先にブレークしたのはゴフィンだった。第7ゲーム、攻撃を耐えてミスを引き出すと40-15で迎えたポイントでは、バックハンドのクロス強打がさく裂。第1セットを6-4で奪う。順調に行けば...と思われたが、予想外のことが起こる。キリオスのサーブがここから走り出す。リターンに自信があるゴフィンでも、「(サーブのボールが)線に乗ったら難しい」。第2セットを落としてしまう。それでも迎えた第3セットはショットが冴えて、キープ合戦に。しかし、第11ゲームでブレークを許してしまい、万事休す。ATP500初優勝はならず、それでも、「いい気分でプレーができた。いい試合だった。(決勝での敗戦については)後悔はない」と語るとおり、持ち味を存分に発揮した決勝だった。

「また、来年も東京に戻ってきたい」とゴフィン。今、正に実力が花開こうというタイミング、来年の楽天ジャパンオープンまでに、多くの勝利を手にしそうな予感がする。

ガエル・モンフィス
「自分は、強くなっている」
その力を証明したベスト4

1回戦を7-5、6-2で杉田を倒したモンフィスが2回戦で対戦したのは、同郷で「友人」であるシモン。通算成績上、1勝6敗、4連敗中と分が悪い相手だったが、モンフィスは逆に自信があるようなコメントを語っていた。

なぜか? それだけ今の調子に自信があるからだ。
ウィンブルドン後の北米シリーズでは、ワシントン大会、マスターズのトロント大会で優勝。USオープンでは、ベスト4。「フィジカル、戦術、技術、本当にあらゆる面で上達したと思う。特にメンタルの部分が安定してきていると感じる」と語るのも納得だ。



シモン戦、第1セットは6-1と圧倒する。サーブはもちろん、フォア、バックと際どいコースを狙う強打、そのすべてでミスが少ない。しかし、相手はカウンターパンチャーの名手。第2セットに入ると1-4とリードされてしまう。そのサービスゲームでは、突如左足を引きずり、トレーナーを呼ぶなど、ヒヤっとするシーンもあったが、大事には至らず、そこから5ゲームを連取するという猛攻で難敵を下す。
ちなみに試合後、なぜ第1セットで圧倒できたのかを尋ねられると、「自分が強くなかったから」と答えている。



3回戦、ビッグサーバーのカルロビッチとの対戦は、2セットともタイブレークにもつれる展開となったが、「コースがだんだん読めるように」なり、タイブレークを共に8-6で制して勝利。
そして準々決勝。相手はキリオスだった。"友達"と言い合う両者の対戦は、今大会一番内容が濃かった試合と言ってもいいだろう。互いに抜群の身体能力を持つ両者のラリーは、会場を多いに沸かせる。結果は4-6、4-6で惜敗。もちろん、負けたことは残念だが、試合後の会見ではこんな言葉を語っている。

「素晴らしい試合だった。ハイクオリティーで、レベルの高い試合ができた。それを観客の皆さんは喜んでくれた。いい試合ができてよかった」 根っからのエンターテイナーであるモンフィスの一面を見られたジャパンオープンだった。

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