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2020.08.23

デイリートピックス

NY便り「【単独ルポ前編】現役WTAツアー選手を育てた日本人コーチが語るコロナ対策と強くなる選手の特徴」

コロナ対策最終回は
奥田達己氏のサマーキャンプ

アメリカのテニスクラブを取材した「コロナ対策」の最終回は、1992年にニュージャージー州で「Puam」を設立し、3年前にジュニア育成プログラム「INFINITY FUTURE TENNIS ACADEMY 」(以下IFTA)を立ち上げた奥田達己氏のサマーキャンプだ。実は、このクラブには「テニスクラシック」初代編集長で、全日本テニス選手権女子シングルス最多となる10度の優勝を誇る宮城黎子氏も訪れたことがあるという。


奥田代表(写真左)と暁子氏

奥田氏のキャンプも例外にもれず、やはり世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルスの影響もあり、今年3月よりクラブの閉鎖を余儀なくされていたという。7月上旬には、ようやく再開可能となったものの、これまで常時使用していたアウトドアコートでのレッスンは感染を配慮し、グループレッスンでは使用不可に。インドアコートを急遽借りることでサマーキャンプの再開に漕ぎ着けた。

トーナメントで勝つことにフォーカスしたジュニア育成には、コート面数と時間の確保は生命線。このコロナ渦において環境の変化に対応することが最大の課題である。


練習前の検温の様子

同プログラムで定めたサマーキャンプのガイドラインは、以下の項目だ。

*6フィート(約1m82cm)以内に近づかないこと
*車からの乗り降りの際、マスク着用の義務
*コートに入る前と出るときにサニタイザー(消毒剤)使用
*非接触型のデジタル温度計を使用し、体調の確認等を行う
*セッション前にスタッフ全員ですべての器具の消毒
*緊急時を除き、保護者の建物内での見学等の禁止
*フルタイムキャンパーは建物外の指定された場所で昼食を摂る
*自分のヨガマットを用意し、ウォームアップやクールダウンのスペースを確保すること


参加者は以上のガイドラインを確認してからサインして申し込みの手続きとなる。これを以前は紙ベースで行っていたが、今年から申込みから決済までをすべてオンライン化することになった。コロナ対策からのシステムの移行により現金や小切手、申し込み用紙のやり取りがなく、よりクリアでクリーンになった事務の様子を教えていただいた。


自分のスペースの確保をヨガマットで行う

取材日はコート5面を使用し約20人の生徒での練習が始まった日。
「基本練習」では手投げでのボール出しを行っていた。実は、先月までは感染予防のため、コーチはグローブを使用していたのだという。とはいえ現在でも生徒との距離が近くなるメニューやアドバイスを送る時にはマスク着用を徹底。ダーウィンコーチ(写真下)は「パンデミックになり、とてもストレンジな3ヵ月だった。個人的にはコロナ渦で教えることに恐れはないが、(感染対策をして)ニュージャージー州はよくやったと思う。唯一、家族(高齢のため)が心配だ」と、これまでの州政府の対応やこの期間について語ってくれた。


常に顔にマスクを常備する


ボールを拾う度に手を消毒

IFTA代表の奥田達己氏の娘で、大学卒業後もツアーを経験したコーチングスタッフの奥田暁子氏によると、コロナ渦で生徒との距離を取らないといけなくなった指導法に「戸惑いがある」という。その一方で、距離がある分、よりわかりやすく丁寧なアドバイスを心がけているとした。これまでやってきた練習メニューの変更や制限が余儀なくされ、その中でどう生徒に伝えるかを工夫している様子が見学したレッスンでも垣間見えた。

ひとつ懸念していることとして以前よりも試合数が激減し、経験値が得られない現状を心配している、とお伝えいただいた。


アドバイスも距離を取る

IFTA代表の奥田達己氏によると、7月の開始時期の様子を伺い、「今月の練習に参加した生徒たちもいる」と言う。アカデミーにはさまざまな人種が在籍し、その多様性について(現在、日本人の生徒はいない)女子に比べ男子の親の方がより心配する傾向にあること。また、韓国系の両親の方がより安全性についての質問が多いという意識の差があるとした。

学校開始の問題の賛否で全米が揺れ、さまざまな意見がある。その中でここのキャンパー達は「リモート授業」を希望。学校に行くリスクを取らないとしている。リモートで仕事ができる裕福な家庭が多い地域では、ワクチンが開発されるまで健康に過ごすことを優先しているようだった。

そのギャップではないが、奥田代表が懸念しているのは子供達のランチの内容だ。食事(ランチ)に関して各自持参としている。アジア系と白人系の子のお弁当を見ているとアジア系の子供達の方が野菜を取り入れ、より健康に気を遣った内容となっている。食事に関して、「世界的に見てアジアとヨーロッパやアメリカのコロナの感染状況に影響があるかもしれないと感じることがある」と語ってくれた。



その一例としてZade君(写真下)のランチは、いつも「チキンナゲット」「マカロニ&チーズ」「サンドイッチ」の3つをローテーション。本人はその内容に飽き飽きしているようだ。特別に本人にも許可をいただいて、この日のランチ、アメリカではごく普通にある「マカロニのチーズがけ」を撮影させてもらった。



少し話しは脱線したが、「コロナ対策」から派生した続きをジュニア育成についての過去と現在、そして今後についてのお話しを奥田代表に質問させていただいた。

後編ではジュニア時代のクリスティーナ・マクヘール(WTAランキング90位)、クリスティー・アン(同97位)を指導した経験を持つ奥田代表に「INFINITY FUTURE TENNIS ACADEMY 」についての想いやこれまでの指導経験から伸びていく選手の特徴などをお届けする。

NY便り「【単独ルポ後編】現役WTAツアー選手を育てた日本人コーチが語るコロナ対策と強くなる選手の特徴」は明日公開!

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文=知花泰三(全米プロテニス協会公認指導員資格保持者)

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