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2016.06.20

メーカーズボイス

全仏オープン2016 REPORT

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全仏オープン2016 REPORT

錦織 圭
可能性を感じさせた2016全仏

錦織 圭のクレーシーズンは、今年もバルセロナ・オープンからスタート。3連覇を狙っていた同大会、決勝まで無事コマを進めたものの、ナダルに惜敗。続くマドリッド、ローマと続いたATPマスターズ1000は、ベスト4に進出。優勝こそしていないが、テニスはベストに近い状態。「ミスが減り、メンタルも安定している。自信が湧き上がってきている」と本人も発言。正に心身ともに最高のコンディションで全仏を迎えることとなった。



注目のドロー発表。ジョコビッチ、ナダルとは違う山に。順当に勝ち進めば、3回戦でF・ベルダスコ、4回戦でR・ガスケ、準々決勝でA・マレー、準決勝でS・ワウリンカという予定だ。0勝6敗と苦手にしていたガスケには、直前に連勝している。マレーを破るようなことになれば、初の優勝も――夢はふくらんだ。

大会初戦の相手はS・ボレリ。試合開始からストロークが深く決まった錦織が、攻撃的に攻めて第1セットは6-1で奪取。続く第2セットは雨での中断もあったが、調子を崩すことなく7-5で連取する。第3セット、2-1としたところで、雨が強くなって中断後サスペンデッドに。翌日の再開後も流れを保持して6-3。ストレートで2回戦進出を決めた。おもしろかったのは、試合後の言葉だ。ボレリとはこれで3戦全勝。だが、「彼に負けた記憶がある...」と勘違いしていたのだ。

2回戦、A.クズネツォフをまたもストレートで退けると、予想どおり3回戦ではベルダスコと対戦。これが壮絶な試合となった。この日も錦織は試合開始から飛ばしていく。ファーストサーブが入らないと見るや、ベースラインの内側で叩いて、主導権を握るとセットを連取。しかし、相手は元世界7位のクレー巧者。第3セットが始まると、「フォアが強烈になってくるのを感じた」(錦織)。左ききフォアからクロスへ打ちこまれるボールが高く跳ねると、錦織のバックハンドの攻撃力が封じられてしまう。そして逆に2セットを奪われてファイナルセットに突入。錦織は高く跳ねるバック側のボールをライジングで捕らえるように試みると、これが奏功する。要所で相手にミスを犯させて、ファイナルセット6-4で勝利した。試合単体で見れば、辛勝と言う言葉が正しいだろう。だが、あの状況から建て直しができ、ギリギリでも勝利をつかめる。逆に、強さを見せつけた試合と言ってもいいだろう。



そして4回戦、フランスのNo.1プレーヤー、ガスケとの試合はセンターコートに組まれた。完全アウェーの状況だが、錦織はスタートから攻撃的なテニスを展開。第1セット4-2とリードを奪ったが、ここで雨天中断。これが流れを変えてしまう。再開後、4ゲームを立て続けに奪われて、第1セットを落とすと、第2セットも落としてしまう。続く第3セットこそ奪ったが、第4セットは相手がさらにステップアップ。セットカウント1-3で敗れた。「雨のあとボールが重くなって、ウイナーを取れなかった。調整できなかった」と錦織。雨さえなければ...と思わせる今大会だった。 「ベスト4、決勝まで行ける可能性は感じていたので、悔しい」

記者会見で悔しさを語った錦織。4回戦は、昨年より悪い成績ではある。しかし、テニス自体は、まちがいなく今年のほうが質のいいものだ。この敗戦が、近い将来の栄光につながる。そんなことも予感させる錦織のプレーぶりだった。


セリーナ・ウィリアムズ
痛みを押しての準優勝

全仏前哨戦となるプレミア5ローマ大会で全試合ストレート勝利で優勝。セリーナ・ウィリアムズは最高の状態でローランギャロスに乗り込んだ。目標は一つ。トロフィーを掲げてS.グラフが持つグランドスラム最多勝利数(22)に並ぶことだ。



初戦、M.リバリコワにはわずか2ゲームしか奪われることなく勝利。その後、決勝まで失セット2という強さを見せて、決勝までコマを進める。あと1つ、対戦相手は過去の対戦で3勝1敗とリードしているG.ムグルザだ。共にサーブが好調、早い展開のラリー戦となる。その中でセリーナは、第1セット第4ゲームで先にブレークチャンスを握った。しかし、奪うには至らず。逆にムグルザにブレークされてしまい、第1セットを落とす。巻き返したい第2セットだったが、まさかのストレート負け。

結果的にトロフィーを掲げることはできなかった。ところが、彼女は内転筋を痛めたまま、プレーしていたのだった。「確かに痛みはあった」と認めたものの、「彼女が素晴らしかったから、私はトライするしかなかった」とケガのせいにせず、相手を称えるところは、さすが女王。現ツアーにおいて、彼女ほど安定して力を発揮できるプレーヤーはいない。ウィンブルドンか、それともUSオープンか、グランドスラム22冠目も、時間の問題と言えるだろう。

シングルス最終戦出場圏内に男女とも各3名がランクイン!




大会直前の5月20日、ロジャー・フェデラーが「コンディションが万全でないこと」「芝のシーズンを高いレベルで復帰するため」に全仏出場回避を発表。 そのほかビッグネームが大会途中で棄権するなど、波乱含みの全仏オープンとなったものの、ウイルソンプレーヤーとしては、男子ダブルスでフェリシアーノ・ロペスが優勝。同じく女子ダブルスに出場したクリスティーナ・ムラデノビッチが見事優勝を果たしている。



大会直後、6月6日ATPシング ルスランキングでは、フェデラーが3位、錦織が6位、ミロス・ラオニッチが9位にランクイン。同最終戦出場ランキングでは4位錦織、6位ラオニッチ、8位ダビド・ゴフィン、9位ガエル・モンフィスとなっている。同ダブルスランキングでフランスのニコラ・マフが1位の座に。マフは最終戦出場ランキングでも3位ペアとなっている(F.ロペスは4位)。

一方、WTA(シングルス)では、セリーナが依然としてランキング1位(最終戦出場ランキングでも1位)。そのほか5位シモナ・ハレプ、6位ビクトリア・アザレンカ、9位ヴィーナス・ウィリアムズとなっている。最終戦出場ランキングでは3位アザレンカ、6位ハレプがランクインしている。

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