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2020.06.04

選手情報

NY便り「過去の誤認逮捕の記憶が拭えない中、幸運を感じるジェームス・ブレイク」

アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで起きた事件が発端となった抗議活動は、いまだ続いている。テニス界の多くの選手も、「#JusticeForGeogeFloyd」や「#HandsUpDontShoot」というハッシュタグをSNSで発信し、その抗議活動を支持している状況だ。その中、元世界ランキング4位のジェームス・ブレイク(アメリカ)が、AP通信に今回の事件と2015年にニューヨーク市で自身の身に起きた私服警官による誤認逮捕を重ね、コメントした。

当時、USオープン会場へ向かうため、ホテルの外に立っていたブレイクは、警官にクレジットカード詐欺グループの容疑者として間違えられ、誤認逮捕された。その時のことを振り返って、ブレイクは、「私のファンがこちらに向かって走っているのだと思った」とコメントしている。

今回の事件について、「何度もこの映像を見て、とても悲しい気分になった。真夜中に目が覚めて、ミネアポリスで起こった出来事と2015年に私の身に起きたことが重なり、涙が止まらなくなった」とその心情を吐露。「私は、その種の差別がいまだに続いているという事実、そしてどれほどの黒人と茶色のコミュニティに残虐な行為が向けられているかを知ることが辛い」とも語っている。

ハーバード大学を中退し、プロに転向したブレイクは2013年に引退。現在、マイアミ・オープン(ATP1000)のトーナメント・ディレクターに就任している。つまり、偏った発言はしづらい立場にある。しかし、ブレイクにとって2015年の一件があったことにより、偶然にも「活動家」にとなり、人種差別や警察の残虐性について、発言するようになったという。

常に、平和的な抗議を支持しているブレイクは、今回の事件がなければ、他の場所で起こった同様の事件やデモも取り上げられず、逮捕すらされなかった可能性があるとも述べた。自身の誤認逮捕の際には、担当警官が5日間の処分で終わったこともあるだろう。

自身の事件の後、警察官と会うと緊張が走るというブレイクは、“幸運なこと”に気づいたことがあると言う。「当時(誤認逮捕時)、自分の娘と一緒ではなかったことは幸運だったと思っている。私が連れ去られた映像をこれまで娘に見せたことはない」。

アメリカの格差社会と人種差別問題は、以前から指摘されていたことだ。それに加え、新型コロナウイルスの感染が、黒人コミュニティで高いことが証明され、それも含めて人々の不満が爆発している。

「私と妻は、これから娘に警察の残虐性や人種差別など、この国で起こっていることについて、いつから話し始めようかと考えている」と語ったブレイクは、「分離」から「融合」へ向かうため、自らの経験を糧に動き始めている。

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文=知花泰三(全米プロテニス協会公認指導員資格保持者)