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2020.06.27

テクニック

テニスの調子はあなたの睡眠次第!? [前編]

あなたは十分な睡眠をとっているだろうか?
日本人の平均は7時間40分前後。食事が体を作るための材料を補給するためのものなら、心身の疲労回復・成長を促すのが『睡眠』。ロジャー・フェデラー(スイス)は、なんと12時間も寝ているという。38歳にして、トッププレーヤーにいるのは、この睡眠があるからかもしれない。実は睡眠時間が少ないと“上達も遅い”という説も…。≪睡眠≫について、もっと知って、まだまだテニスを楽しもう!

意外と知らない「睡眠」のヒミツ
心身の疲れを取るのは<睡眠>でしかできない
睡眠は疲労回復のための、唯一の手段である。一口に睡眠といっても、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類がある。共に90分~120分のサイクルだと言われている。
通常は、一晩のうちに、2種類の睡眠を3~5回繰り返すと言われていて、「レム睡眠」では“体を休め”、「ノンレム睡眠」では“頭を休め”ていると言われている。OECD(経済協力開発機構)発表のデータによると、男性が7時間41分、女性が7時間36分というのが日本人の平均睡眠時間とのこと(ちなみにオリンピック選手は、平均8時間半)。実はこれ、世界でもかなり短い睡眠時間となっている。短いということは、回復しづらいとも言えるが、長ければいいというものでもない。睡眠で大事なのは「質」だ。
ノンレム睡眠には4段階あると言われており、最初の1~2回が最も深い眠りを得られると言われている。つまり、快眠感を得るためには、入眠から約3時間の間に、ノンレム睡眠に入ることが重要なのだ。


<体を休めるための>レム睡眠
レム睡眠の間に運動技能は体得される
寝入り直後に多いのが「レム(REM)睡眠」。Rapid Eye Movement(急速眼球活動)の略で、目がよく動いている眠りの状態で、主に体を休めるための睡眠と言われている。レム睡眠では、大脳は覚醒時に近く、記憶の定着などが行われていると考えられており、覚醒ではないが、頭が起きていて、体が寝ているという状態である(金縛りは、レム睡眠で起こると言われている)。
スポーツにおいて、重要なのは「非陳述記憶(言葉で表せない記憶)」を脳に浸透させるこの時間帯のこと。レム睡眠の間に運動技能を体に覚え込むわけだ。睡眠時間が少ないとノンレム睡眠が優先されるため、いくら練習しても睡眠時間が短いと上達しない可能性があるのだ。


<頭を休めるための>ノンレム睡眠
言語と視覚が結びついて定着する
「ノンレム睡眠」は、文字通り眼球活動がない(Non-REM)睡眠のこと。頭を休めている時間である。運動技能など言語化できないものを脳に刷り込んでいくのがレム睡眠だとすると、こちらは『言語化できるもの』と視覚が結びついて、脳に定着していくタイミングと言われている。

“ノンレム睡眠”には以下の4段階が存在
[段階1]声をかければすぐに目が覚める程度の浅い眠り
[段階2]耳から入る情報を受け取ることはできる程度の眠り
[段階3・4]体も脳も休んでいる状態。多少の刺激では目覚めない眠り

重要なのは[段階3・4]。睡眠の前半に集中していると言われ、そこでしっかり寝られるかがポイントとなる。ただし、年齢によってこの段階の睡眠は少なくなり、“年を取ると眠れなくなる”という経験は、これに関係しているとも言われている。


どちらの睡眠でも夢は見ている…らしい
長らく夢を見るのは「レム睡眠」の間と言われてきたが、「ノンレム睡眠」でも夢を見ることがわかっている。
前者は、鮮明でストーリーがある濃い夢であることに対して、後者は短めで脈絡がない薄い夢。鮮明な夢であること、そして脳の活動レベルが高いことから、「レム睡眠」の間に見ている夢のほうが覚えているようだ。

参考資料:オムロン「睡眠が健康に与える影響」、江崎グリコ「睡眠と運動の関係性とは?」、独立行政法人日本スポーツ振興センター「アスリートと睡眠」

※記事はテニスクラシック・ブレーク2019年10月号を再編集したものです

写真=石塚康隆 Photos by Yasutaka Ishizuka

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