close

2020.06.06

テクニック

もっとテニスを楽しむための熱中症対策【短期連載】[前編]


熱中症ってどうなる?

体重の5%の水分を失うと熱中症の症状が…
暑くなると聞くのが「熱中症」という言葉。年間5万人以上の方が、熱中症になっているという。最も患者数が多くなるのは7月下旬~8月上旬と言われる。あるデータによると、テニスは屋外競技で野球、陸上、サッカーに次いで4番目に熱中症が多いという報告も。その症状とはどんなものか?と聞かれたら、意外とどんなことかわからない人も少ないはず。どんな症状かを調べてみると「体温を平熱に保つために、汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少、血液の流れが滞るなどして、体温が上昇。重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する傷害の総称」というもの。つまり、体内の水分量、塩分量などが減ってしまうことで、症状が出てしまうものなのだ。

人間の体は、約6割が水分と言われている。仮に70㎏の体重の方なら、実に42㎏! “たくさんあるじゃないか”と思いきや、体重の5%(体重70㎏なら3.5㎏)減ると熱中症の症状が出始め、10%減ってしまうとけいれんなどが発症。20%消失となると、命の危険も出てきてしまう。
屋外でのテニスの場合、ハードコートは45度以上、砂入り人工芝は40度以上(クレーは高くても35度未満なので、比較的安全)にもなり、その輻射熱(ふくしゃねつ)などもあるので、思っている以上に汗で水分はなくなってしまうものなのだ。
ヒートポリシーがあるのもうなずける
ヒートポリシーがあるのもうなずける


テニス後の体重減は「1%未満」が目標
熱中症にならないためには「水分補給」が重要。では、どうなれば水分補給成功と言えるのか? どのくらい何をどういう頻度で飲めばいいか?
目安にしたいのは「テニス後の体重減」。ベストは「±0」だが、「体重の1%未満(体重70kgなら700g)」なら、いい水分補給ができているという証拠です。仮に体重の2%(体重70kgなら1.4kg)、汗で減ってしまうと“集中力低下”“プレーの不調”“心拍数・体温上昇”という怖いことが起きてくる。だから、かしこい水分補給が必要なのだ。

[水分補給の仕方]
①5℃~15℃の飲料
★塩分も重要。スポーツドリンクなど、100mlあたり4~8gの炭水化物が含まれているものが理想
②1時間に3(20分おき)~4回(15分おき)
★15分~20分程度の間隔で給水のタイミングを作るように心がけたい
③1回200~300ml程度
★人間の体は一気に水分を吸収できない。そのため、こまめに水分を吸収することが大切

「ノドが乾いたな…」は脱水がスタートしている…
意外なことに、人間は水分不足を敏感には感じることができない。そのためプレー中「ノドが乾いたな…」と感じたタイミングでは、すでに脱水は始まっている。それを避けるためにも、プレー前に「200~600ml飲む」こと。プレー後も4~6時間は脱水の可能性があるので水分補給を心がけたい!
また自分の尿の色も目安になる。水分が十分な人は「薄い黄色」の尿となり、脱水状況がひどいほど、濃い色の尿となります。プレー中、プレー後、トイレに行く機会があったら確認したほうがいいだろう。

プレー前:200~600ml飲む
プレー後:4~6時間は水分補給をする

[1時間の発汗量はどのくらい?]
“汗っかき”な人、そうでない人など、汗の量はさまざま (かく人のほうが体温は下がりやすいが、水分補給がより必要)。下記の式に当てはめることで、自分の発汗量を知っておこう。

\計算してみよう/
1時間あたりの発汗量=
運動前の体重(㎏)-運動後の体重(㎏)+飲水量(ℓ)÷運動時間(時間)

(例)体重70㎏の人が、2時間テニスをプレー。その間に2ℓ水分をとり、運動後に体重計測したら69㎏だった場合:70(㎏)-69(㎏)+2(ℓ)÷2(時間)=1.5ℓ(1時間あたりの発汗量)

暑さに強くなる方法も…
人間は暑さにも慣れるもの。暑い日が続くと、次第に暑さに慣れていき、暑さに強くなる。慣れるためには、「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度の運動(ウォーキングなど)を、毎日30分程度の運動(ウォーキング等)を約2週間続けることと言われている。

参考資料:公益財団法人 日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』、環境省『環境保健マニュアル2019』、日本スポーツ振興センター「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」

※記事はテニスクラシック・ブレーク2019年8月号を再編集したものです

写真=石塚康隆 Photos by Yasutaka Ishizuka