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2021.06.03

選手情報

フェデラー、ティエムを倒したアンドゥハルと日本を結ぶ縁[全仏オープン]

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※写真は2019年楽天ジャパンオープン時のもの

プロ生活19年目の“いぶし銀”が
浴びたスポットライト


6月2日、全仏オープン男子シングルス2回戦、世界ランク68位のパブロ・アンドゥハル(スペイン)は、フェデリコ・デルボニス(アルゼンチン/同51位)と対戦。6-3、1-6、6-3、3-6、2-6で敗れた。

【動画】アンドゥハル×ティエム全仏1回戦ハイライト


1回戦では、第4シードのドミニク・ティエム(オーストリア)に4-6、5-7、6-3、6-4、6-4で勝利。これはツアー通算150勝目となる節目の勝利に。アンドゥハルは「全仏オープンという特別な舞台、しかもコート・フィリップ・シャトリエ(センターコート)で対戦相手はティエム。とても感動的な勝利だし、私にとって特別な日となった。(ジュネーブで)フェデラーに勝利したことは、自分の自信になっている。だから今日の試合も集中しようとしたんだ」と感想を語っている。

グランドスラムでのベスト・リザルトは2019年のUSオープン4回戦、ツアーで通算4勝を上げているアンドゥハルではあるものの、どちらかというと玄人受けする選手。それが2021年、2度もスポットライトを浴びることになった。

まずは、今年5月のATP250ジュネーブ大会。2回戦で、復帰戦となったロジャー・フェデラー(スイス)と初対戦を果たすと、6-4、4-6、6-4で勝利。対戦が決まった際には「将来、子供たちや孫に、ロジャーと対戦したんだよと言いたい」と語っていたアンドゥハルだが、実際に勝利すると「ラファ(ナダル)やノバク(ジョコビッチ)、ロジャーは伝説と言ってもいい選手。その相手に勝てるとは感動的だ」と語っている。

2003年にプロ転向し、キャリアハイは32位という大ベテランは、2016年、2017年には右ヒジに3度メスを入れるという引退の危機もあった。そこから頑張ってプレーを続けてきて、今年、急に注目を浴びる機会を得るというのだから、キャリアというのはおもしろい。

そんな彼は、日本と意外な縁がある。まずは現在のエージェントは日本人が務めているということ。そんなことから2019年の楽天ジャパンオープンにも出場している。さらに、選手にとって最も重要なラケットは、日本のプリンスが選手用にこしらえたものなんだという(同社との契約はない)。

フレームに穴が開いた「O3(オースリー)」という同社独自のテクノロジーのラケットを使用してきたアンドゥハルだが、以前から使用してきたラケットが使えなくなってしまい、そこを日本のプリンスが助けたという経緯だ。興味深いのは320gとトッププロとしては決して重くないラケットを使用しているということ(もう一つのポイントはラケットの長さが0.5インチ長い27.5インチであること)。古傷である右ヒジの問題も影響しているのだろう。ちなみに、同社のシューズを着用する大会もあるが、今大会では異なるメーカーを着用している。

以前のインタビューでは「東京オリンピックに出たいんだ」と語っていたアンドゥハル。ランキング的には可能性がある(欠場者も予想されるため)ものの、強豪国とあって、68位でもスペインでは7番目となるため、出場権を得る可能性は低い(出場権を得られるのは1国・地域でシングルスは男女各4選手まで、ダブルスは男女各2ペアまで)。

35歳にしてスポットライトを浴びるいぶし銀、今後のツアーも注目をしてみたい。

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Photo by Takeo Tanuma