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2021.09.23

選手情報

盛り上がったUSオープンの裏に見え隠れするアメリカ国内のテニス人気

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アメリカ的な盛り上げは選手から嫌われることも

先日終了したUSオープンは、男子がダニール・メドベデフ(ロシア)、女子はエマ・ラドゥカヌ(アメリカ)が初優勝とフレッシュな大会となった。そして今大会で忘れてはならないのが、本戦では100%の観客を動員したこと。昨年は、新型コロナウイルスの影響のため、無観客で催行されたことを覚えている人も多いはず。

【動画】USオープン女子決勝表彰式でも演出で盛り上げている


センターコートのビジョンに、セレブやハリウッドスターなどのスターが映し出されるたびに、大歓声が湧く。そして客席にカメラが切り替わると踊り出す。さらにPA(場内)アナウンスで「皆さんが四大大会で一番素晴らしい観客です!」と称えると、それに呼応して盛り上がる。

その演出方法は実にアメリカ的、NBAなど4大スポーツを真似たもので、飽きさせない趣向を凝らしている反面、テニスというスポーツにおける大切な時間を奪っているようにも思うところがある。騒ぎすぎもそうだし、プレーが始まろうとしていても、動き続けるなどマナーの問題もある。一つ言えることは、ニューヨークの観客たちはお祭り騒ぎが大好きだということ。ちなみに今大会のポストマッチ・インタビューで、錦織圭(日清食品)はUSオープンの観客について、「うるさい!? んー、騒がしい!? ポジティブな表現が見つからないですね(笑)」と素直な感想を語っている。 

アメリカのテニス業界レポートよると、昨年、アメリカでテニスをやったことがある人間は急増している。それはパンデミックの中、接触機会があるスポーツと異なり、「テニスは人と距離を取りやすく安全な」とUSTA(アメリカテニス協会)が大々的に宣伝したことが一つの要因である。テニス人口の確保に貢献したと言ってもいいだろう。一方で、長期的な傾向としては、一般テニス愛好家は減少しているという課題には効果的な策を打てていない状況だ。

また2021年ということに限っていえば、テニスをやったことがあるという人間は確実に減っているはず。それは、アメリカでテニスをコーチングしている身として感じているし、同業者と意見交換する中でもその危機感についてよく話題に出ている。

こうした“テニス離れ”は何が原因なのか。一つはツアーでアメリカ人選手が活躍していないことはあるだろう。ATPでトップ30に入っているのは19位のライリー・オペルカ、22位のジョン・イズナーだけ(共に9月20日時点)。先日のUSオープンでも、男女シングルスともにベスト8に入った選手はいなかった。男子では2003年USオープンでアンディ・ロディック(アメリカ)が優勝して以来、グランドスラム覇者は現れていない。

どこの国でもそうだが、自国に強い選手が現れれば、その国のテニスシーンは盛り上がるもの。ましてUSオープンというグランドスラムで自国選手が活躍すれば、より注目度が高まるし、テニス人気も盛り上がる。USオープンをエンターテインメント性豊かなものにしようという背景には、そんな事情もあるのだと思われる。

冒頭に書いたとおり、今大会は男女シングルス共に初優勝。しかもラドゥカヌは18歳という若さでグランドスラマーとなった。過渡期を迎えたツアーには、男女とも若き才能がどんどん出てきていることは明らか。その中で、アメリカ人にも新たな逸材が出てくるか。アメリカのテニス人気上昇を図る上でも、ぜひとも現れてほしいところである。

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Photo by Takeo Tanuma

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