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2022.04.13

選手情報

「ウクライナ人のために、すべてを出し切ります」世界201位ザワツカが国別対抗戦に向けて決意[ビリー・ジーン・キング・カップ]

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「今、この特別な時に、ウクライナ人のために戦うチャンスがある」

4月14日〜15日に各地で行われる女子国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ(旧フェドカップ) by BNPパリバファイナル予選」、アメリカと敵地で対戦するウクライナチームのカタリナ・ザワツカ(世界ランク201位)は記者会見に臨み「今、この特別な時に、ウクライナ人のために戦うチャンスがある。私たちはすべてを出し切ります」と語った。

【写真7点】ウクライナ&アメリカ記者会見写真ギャラリーはこちら

2月26日、ロシア軍のウクライナ侵攻開始から、1ヵ月半が経過。しかし、いまだ解決はしていない。そんな中での開催とあって、当然話は母国の話に及ぶ。

「毎日が大変で、とてもタフな状況ですし、母国のことを考えない日はありません」と切り出したザワツカ。続けて「毎日、両親や家族に電話して、生きているかどうか聞きます。とてもタフだけど、これが今の現実です。ロシア兵が毎日、子供も含めて人々を殺していっている状況です。その一方で、私たちは生きていかなければならない。今、できることは大会に出てお金を稼ぎ、家族に送金することだけなのです。みんな、稼ぐ手段がないから家にいるしかない。もちろん家族以外を助けることにもなります。今のところは、そういった生活を送っています。毎日テニスコートでできるだけ集中してベストを尽くす。そうやって手助けできればと思っています」と近況を告白。

母や祖母ら女性人は、彼女が練習拠点として借りているフランスのアパートに避難していて安全だが、男性陣や、小さな子供もいて妊娠中のいとこは移動ができないため、ウクライナ北西部のリウネに残ったまま。だから毎日、安否を確認している状況なのだという。

侵攻がはじまった時のことについて、ザワツカは「最初の1週間はショックと恐怖という感情しかなかった。30分おきに安否確認のため、両親に電話していました。実感がわかないまま、連絡を取っていました。最初の1週間は何もできず。誰かと一緒にいることすら不可能でした。2週目、何かをしなければいけないと理解してテニスを再開して、それでもどの瞬間も母国の人々のことが心配でならなくて、肉体的にも精神的にも死ぬほど辛かったです。そういった中で、テニスに打ち込めるというのは、私にとって唯一自分の人生を生きられる時間でした。コートに立って、ボールを打つ。最高に素晴らしいことです。ただ、練習を終えると、現実が襲ってくるのです」とコメント。現在では“恐ろしいことに、少し慣れてきている”と語るが、それでも心配は尽きないという。

今回のファイナル予選を開催するにあたり、ビリー・ジーン・キングとイラーナ・クロスは、ウクライナ救済のために5万ドル(約630万円)を寄付。さらにアメリカテニス協会は、チケット売上の10%をウクライナ危機救済基金に寄付し、会場内でもウクライナのための募金活動を行うと表明。選手たちにも出来る限りのサポートをしているという。アメリカのキャプテンであるキャシー・リナルディは「パンデミックでもそうでしたが、テニスというスポーツを通して我々は一つの家族なのです。コート上では敵同士となりますが、コートの外では仲間であり、友人でもあります。私たちは本当に互いを思いやり、困難な時には力を合わせます」とウクライナに寄り添うとコメントしている。

また、ウクライナのキャプテン、オルガ・サウチュックは、「今回の対戦は、私たちの国民に何かを与えることができると思います。気が紛れる? 不可能かもしれません。それでも、少なくとも希望があります。私たちがプレーし、戦うことは非常に重要だと思っています。勝つために努力します」と対戦で全力を尽くすと表明している。

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