「理想は何でもできる選手。超オールラウンダーですべてが武器という選手です」Q.世界No.1のアルフィー・ヒュウェット(イギリス)とも2回戦っていますね。小田選手は、彼が持っていたジュニア時代の最年少1位記録を塗り替えています。すでに2度対戦していますが、どんな印象でしたか?「正直、1位にふさわしい選手というか、この前の対戦(3月のアメリカ・バトンルージュ大会)も3-6、3-6で負け。彼はそのまま優勝しましたが、一人群を抜いた存在だなと感じます。ただ、アルフィー(24歳)の存在は自分にとって大きくて、彼みたいに若くて強い選手がいるのは、僕にとってもモチベーションになる。これから何十回も戦うと思いますが、長い目で見ていい関係を築いていきたいなと思います」Q.以前のインタビューでは、世界のトッププロはチェアワークが違うと感じたとおっしゃっていました。外で見ていても、この1、2年で車いすテニスはどんどん進化してきていて、特にパワー化が進んでいるように見えます。シニア大会に出るようになって、改めて感じたことはありますか?「確かにパワーは感じます。でも、その分、自分も十分パワーをつけられているなと感じていて、パワーで負けることは、最近はありません。みんながレベルアップしているというのか、半年前と比べても車いすテニス全体のレベルが上がっている感じはわかりますね」Q.小田選手の武器は「パワーショットとサーブ」。戦ううえで、テンポや強打など、どんなテニスが理想としていますか?「理想は何でもできる選手。超オールラウンダーですべてが武器という選手です。後ろからでも勝負できるし、前に出ても打てる。ディフェンスもできるし、と何でもできる選手になっていきたいです。今まではサーブが一番の武器で、それ以外も悪くはなかったけど、サーブほどの武器ではなかった。そうなるとやっぱりサーブが不調だと勝てなくなってしまいます。だからこそ、すべてを高いレベルに、というのが目標です」Q.貝吹健コーチ(一般社団法人トップアスリートグループ)曰く「イメージしたものをやる能力が高い」と小田選手を評しています。そういった長所は、役立っていると思いますか?「そうですね。元々マネとかコピーするというのは、小さいころから得意でした。車いすテニスを始めたばかりは、教えてくれる人もそんなにいない状況なので、国枝選手を見て、見て真似をするという選択しかなかったですし。そうやってマネしていく中で、自分の打ち方を見出したという感じですね。マネしたというのは、自分のプレーにとって大きかった気がします」Q.すると、選手の打ち方モノマネのレパートリーはいっぱいあるわけですね!?(笑) 「選手だったら、けっこうできますね(笑)」Q.話題を変えて、日本の選手だとどの方と親交がありますか?「国枝選手も大会で本当に良くしていただいていますが、眞田(卓/凸版印刷)さんには、かなりお世話になっています。昨年末のトルコ大会では、途中2週間の空きがあったんですけど、そこでも毎日に一緒にいて面倒を見ていただいていました。昨年の東京パラリンピック前の合宿にも、眞田さんが最初に言っていただいて読んでいただきまいた。神戸オープンの前にも、岐阜まで練習にきてくれたり、本当に良くしてくださっています」Q.プロとなり練習の時間も増えている状況で、オンオフも難しくなりますが、リラックスする時間はどうしていますか?「家では常に音楽を聴いていますね。オールジャンル、どんな曲でも聴きます。昔の90年代の曲とか、今のJPOPとか、レゲエとかラップ、ヒップホップ、バラード、邦楽も洋楽もジャンル問わず。ずっとかけていて、それがリラックスする時間になっていますね」Q.ついに全仏オープンでグランドスラム・デビューとなります。「シニアでの最年少世界No.1」というのが一つ目標とおっしゃっていますが、それまでにどんな目標を立てているでしょうか?「まず全仏オープンというところは、本当に自分の中で大きくて、去年から『出たい』と考えていた大会でした。出場に関しては実現したので、クレーは苦手ではないので出るからには優勝を目指して、しっかり勝てるようにというところが直近の目標ですね。もちろん、ジュニアに続いてシニアでの最年少世界No.1を目指します」Q.最後にファンの方へ、車いすテニスに興味を持っている方にメッセージをお願いします。「期待してもらった分、応援してもらった分、恩返しができるという自信があります。楽しんでもらえるような熱いプレーだったり、を常に心がけていますので、ぜひ試合を見ていただければと思います。試合以外でもいろいろな自分にハマってもらえたらうれしいです」Q.車いすテニス界の“BIG BOSS”になってください。「頑張ります(笑)」※取材日:2022年4月28日
■全仏オープン2022日程/2022年5月22日(日)〜6月5日(日)開催地/フランス・パリ:ローランギャロス賞金総額/4,360万ユーロ(約59億円)男女シングルス優勝賞金/220万ユーロ(約3億円)サーフェス/クレーコート【特集】全仏オープン2022の記事はこちら
Profile小田凱人 TOKITO ODA■生年月日:2006年5月8日(16歳)■所属: 東海理化 ■世界ランク9位■9歳で骨肉腫を発症。左足が不自由になったため、大好きだったサッカーをあきらめ、10歳から車いすテニスの世界へ。そのきっかけは、国枝慎吾(ユニクロ)選手の活躍を病床で見て、心動かされたから。競技生活を始めて4年後の2020年、18歳以下の世界No.1決定戦「世界Jr.マスターズ」に14歳で出場すると単複優勝。さらに2021年4月26日付のITF車いすテニスジュニアランキングで史上最年少となる14歳11ヵ月18日で1位となると、同年末にITFから車いすテニスジュニアの年間最優秀選手に選出。2022年4月28日、車いすテニス選手国内最年少の15歳11ヵ月20日でプロ宣言をしている。
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