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2022.06.22

選手情報

男子ツアーでコーチングを試験的に導入。肯定派のムラトグルーは「慣習を“合法化”したことを祝福する」と皮肉

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Photo by Getty Images

ATP「興味をそそるポイントや洞察を生み出すことを目的としている」

6月21日、ATP(男子プロテニス協会)は、ウィンブルドン後の7月11日の週からATPツアーの予選と本戦の試合中に、指定されたコーチ席からのコーチングを認めると発表した。

【画像】以前からコーチング肯定派のパトリック・ムラトグルー氏はSNSで皮肉

これまでATPツアーでは、21歳以下の「Next Gen ATPファイナルズ」でヘッドセットを用いたコーチングを許可していたが、今回の発表によりコーチは指定の席に座れば、ハンドシグナルではいつでも行え、口頭でのアドバイスも選手とコーチが同じ側のコートにいれば可能に。同様のコーチングは、グランドスラムであるUSオープンでも認められるという。

ATPは、「この試みは、選手とファンのためにスポーツ全体の一貫性を確保することに加え、ファンの体験を向上させるために、さらなる興味をそそるポイントや洞察を生み出すことを目的としている」と今回のコーチング導入について説明している。

2018年USオープン決勝では、セリーナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチであったパトリック・ムラトグルー氏が、ファミリーボックスからコーチングをしたとして警告が出されると、セリーナと主審の間で言い争いが勃発。「盗人」などと主審を罵倒したセリーナは、1ゲームを失って大坂なおみ(フリー)との試合に敗れた。

その後、ムラトグルー氏は、「どうしてテニスはコーチングしてはいけないのか」などとコメント。今回のコーチング許可に関しては、自身のSNSで「ATPが、何十年にもわたってほとんどすべての試合で行われてきた慣習を“合法化”したことを祝福する。これ以上の偽善はない」と皮肉交じりに綴った。

また、ステファノス・チチパス(ギリシャ)も2021年に「多くのコーチは、ルールがあるにも関わらず、実際にはコーチングしている」と述べ、「コーチングを認められるべき」と肯定派。これまでツアー大会において、父のアポストロス氏からコーチングがあったと何度も警告を受けている。

コートに立てば戦う人は自分しかいないと、心技体の3つが求められていたテニスだが、今回のコーチング許可でどのように変わるのだろうか。

なお、この試みは2022年シーズン終了時に評価され、来年以降もコーチングを取り入れる可能性があるかどうかを検討するという。

コーチングは、以下の条件の下で許可される。

・コーチは大会指定のコーチ席に座ること
・コーチング(口頭に問わず)は、プレーを妨げず、相手に支障を与えない場合にのみ認められる
・口頭でのコーチングは、選手とコーチが同じ側にいる時のみ
・口頭でないコーチング(ハンドシグナル)は、いつでも許可される
・口頭でのコーチングは、数語または短いフレーズであること(会話は不可)
・いかなる理由であれ、選手がコートを離れる際にコーチは選手に話しかけてはならない
・上記のコーチングの条件を逸脱した場合、罰則や罰金が適用される

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