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2022.07.08

選手情報

2児の母マリア、34歳にして初のグランドスラム4強「すべては可能なのだと人々はわかってくれると思う」[ウィンブルドン]

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産休明けから1年弱、34歳にしてグランドスラム最高成績を残したマリア

「私たち2人はお手本なの。戦うこと、信じること、そして進み続けること。それが大切だということを、みんなに知ってもらうことができたと思う」。ウィンブルドン女子シングルス準決勝、親友オンス・ジャバー(チュニジア/世界ランク2位)に敗れたタチアナ・マリア(ドイツ/同103位)は、記者会見で、2人の関係性、プレーを通して、そんなメッセージを伝えられたらうれしいと語った。

【動画】マリア対ジャバー準決勝マッチハイライト&記者会見

2001年にプロ入りしてから21年目、34歳のマリアは、グランドスラムで初めて4回戦以上に進み、ベスト4という結果を残した。その年齢にして上位進出も素晴らしいことだが、夫であるフランス人コーチ、シャルル・マリアとの間に2013年12月に生まれたシャルロットちゃん、2021年4月に生まれたセリシアちゃんと2人の娘を持つ母だというのだから驚きである。2020年USオープン後、産休に入ったマリアはセリシアちゃんを生み、約3ヵ月後の2021年7月末に開催されたWTA125コンコード大会(アメリカ)で復帰を果たしている。そこから1年弱、今回のウィンブルドンでキャリア最高の成績を収めるとは露にも思わなかっただろう。

「私は34歳で、2人の子どもがいる。そしてウィンブルドンで初めて準決勝に進出した。自分を信じて進み、戦い、自分のやっていることを愛し、楽しみ、もちろん人生を楽しむことも、すべては可能なのだと人々はわかってくれると思う」「家族がいても、キャリアを積むことができる、続けることができる。彼女(ジャバー)も、この地球上の女性にインスピレーションを与えている。私たち2人はお手本なの。戦うこと、信じること、そして進み続けること。それが大切だということを、みんなに知ってもらうことができたと思う」、そんなメッセージを受け取ってくれたらと記者会見で語っている。

ベスト4となって53万5,000ポンド(約8,700万円)という大金を手にしたものの、今回のウィンブルドンはポイントが付かない(大会がロシア人、ベラルーシ人選手のエントリーを拒否したため、ATP、WTAがポイント付与しないと決定)。そのため、ランキングの急上昇ということはない。

だから「何もかもが変わらないわ(笑)」と笑う。「ウィンブルドンが終わっても、私のランキングは上がらない。それでも2人の子供と一緒に100位以内に入ることは、私にとって特別なことだし初めて*。今回の結果をポジティブに捉えないとね。自分はこの大きなステージに立てるんだということを認識すべきだし、今回、それを証明することができた。良いプレーヤーを倒すこともできる。だから自分を信じて、ランキングを上げていきたい」「この2週間で、自分自身をもっともっと信じられるようになった。より多くのことに自信を持てるようになった。これからも、この調子で毎日向上していけるといいなと思う」と自分を信じるというポジティブなことを得られたと語る。
*=他の選手との兼ね合いで週明けのランキングでギリギリ100位以内に入る可能性がある。自己最高は2017年11月に記録した46位

印象的だったのは、試合後のシーンだ。ネットを挟み、しばらく笑顔で話すと、ベンチに帰ろうとしたマリアの腕をジャバーが引っ張ってコート中央まで連れ出して、一緒に観客からの祝福を受けた。対戦相手の2人としては、極めて珍しいシーンである。

「私は彼女に『幸せよ』と言ったの。私たちは本当に良い友達。だから、彼女がハッピーで私がうれしいように、私がハッピーで彼女はうれしいと思ってくれる。あの時、『一緒に祝いたい』と言ってくれて、本当にうれしかった。彼女は私たちの家族の一員。自分の晴れ舞台なのに、最後に一緒にお祝いしてくれるなんて、本当に素敵なことだわ。彼女はグランドスラムの決勝に行くのは初めて。自分の晴れ舞台なのに、私と一緒に祝おうとしてくれたのは、本当に特別なことだった」とマリアは、そのシーンについて語っている。

近年、選手寿命が伸びていることは明白だ。さらにセリーナ・ウイリアムズ(アメリカ/同1204位)やビクトリア・アザレンカ(同20位)など、子供を生んでから現役に復帰するという選手もいる。しかし、2児の母となると稀有な存在であることは確かである。マリアの躍進によって、勇気づけられた。そんな人も少なくないのではないだろうか。



■ウィンブルドン2022
[THE CHAMPIONSHIP WIMBLEDON]
・大会日程/2022年6月27日(月)〜7月10日(日)
・開催地/イギリス・ウィンブルドン:オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(時差8時間)
・賞金総額/4,035万ポンド(66億6,160万円)
・男女シングルス優勝賞金/200万ポンド(3億3,030万円)
・サーフェス/グラス(芝)コート
・TV中継・放送予定/WOWOW、NHK

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写真=田沼武男